「松江の皆さん、島根の皆さん。この9年間で街は元気になりましたか。経済は良くなりましたか。あなたの暮らしは良くなりましたか。バブルがはじけてからもう30年近く。残念ながら、この松江も、島根も、いや日本全体が実は成長しなくなってしまっている。物価が上がるのに、それに見合っただけ賃金が上がっていない。皆さんの賃金は、物価を差し引くと、実質的には、じわじわじわじわ下がってきた。これが、この9年間の結論です。これでモノが売れますか。私たちには、問題の本質にしっかりとメスを入れて、日本を元気にする具体的なプランがあります。まさに『分配なくして成長なし』です」(枝野幸男代表)。

 第49回衆議院選挙の公示日となった19日、枝野幸男代表は島根県松江市の岸公園で、かめい亜紀子候補(前衆院議員・島根1区)らと街頭演説に立ちました。公示後の第一声となった演説の中で、枝野代表は「所得を再分配して『1億総中流社会』を取り戻す。老後や子育て、教育、雇用、この不安を小さくしていく。これこそが、何よりもの経済対策だ」と主張し、改めて「分配と消費」が主導する経済政策へ、大きく舵を切るよう訴えました。

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■枝野幸男代表

「アベノミクスを転換し、1億総中流を取り戻す」

 松江の皆さん、島根の皆さん。この9年間で街は元気になりましたか、経済は良くなりましたか。あなたの暮らしは良くなりましたか。残念ながら、株価だけは上がりました。もともと株を持っている、恵まれた人たちはさらに豊かになりました。一部の大きな企業や東京などの一部の繁華街だけは、この間、大きく潤いました。でも日本の経済は成長していません。バブルがはじけてからもう30年近く。この松江も、島根も、いや日本全体が実は成長しなくなっている。私たちには、その本質にしっかりとメスを入れて、日本を元気にする具体的なプランがあります。まさに「分配なくして成長なし」です。

 なぜこの間、日本の経済は低迷してきたのか。日本の経済の半分以上、6割近くは国内でモノが売れるかどうか。言い換えると国内消費です。海外に輸出する皆さんは、厳しい競争だけれども、コロナ禍の中で頑張って、そこそこ伸びているんです。でも輸出が日本の経済に占める割合は、2割にも達しません。そこがどんなに頑張っても、国内で物が売れないから経済が低迷しています。

 でもどうしたら国内でモノが売れるようになるのでしょうか。
 皆さんの収入は実は、じわじわじわじわ目減りをしてきています。「アベノミクスで経済が良くなった」と、間違ったことを言う人がいます。実質経済成長率で見ると、安倍さんが「悪夢」と呼んでいた3年3カ月の民主党政権よりも、安倍政権になってからの方が、実質経済成長率は「低い」んです。これが客観的な答えです。そして何よりも、働いてる皆さんの実質賃金は、下がっているんです。物価が上がるのに、それに見合っただけ賃金が上がっていないから、皆さんの賃金が実質的にじわじわじわじわ下がってきた。これが、この9年間の結論です。これでモノが売れますか。

 ましてや年収100万、150万、明日の仕事があるかどうかわからない非正規で働く。こうした皆さんを山ほど増やしてきてしまいました。どんなにいいモノやサービスを生み出しても、買う側にお金がなければ、売れるはずがない。だから国民の皆さん一人ひとりの懐を暖かくする。所得の再分配こそが、景気を良くする第一歩です。

 もう一つ、モノが売れない理由が「不安」です。老後の不安、子育てに、教育に金がかかるという不安、そして、いつ仕事を失うか、雇用の不安。こうした不安が大きい中で、財布の紐が緩みますか。どんなに安くていいモノが売りに出されても、なかなか売れないではないですか。

 所得を再分配して「一億総中流社会」を取り戻す。老後や子育て、教育、雇用、この不安を小さくしていく。これこそが何よりもの経済対策。私たちには、具体的なビジョンがあります。それを実行していくプランもあります。

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「地域を支え、多面的な機能を果たす1次産業を、国の責任で支えていく」

 もう一つは、1次産業です。今、外食産業が落ち込んだ影響で、米の価格が急落しています。でも、それだけではありません。実は安倍政権になってから、その前の3年間、せっかく米価が上がっていたのが、下がりました。何故、民主党政権の時に米価が上がったか。それは戸別所得補償制度をしっかりと導入をして、その代わりに食糧の生産調整、これを国が責任持って皆さんにご協力をお願いをする。それがしっかり機能していたからです。ところが安倍政権以降の自民党は、それをやめてしまいました。地域を支えているのは、1次産業。農業、畜産業、林業、水産業。なかなかご商売という意味では、うまくいかない方がたくさんいらっしゃる。でも「お金にならないから」と言って、切り捨てていいのでしょうか。1次産業は地域社会を支えて、食糧を支えてくれています。

 昨年の春、急にコロナが広がったら、マスク一つ入ってこなくなりました。大変なことになったじゃないですか。食糧でこんなことになったら、どうするのですか。だから食糧は、国内でしっかりと生産、確保しなくならない。それを守っていただいている1次産業の皆さんが、明日の暮らしに不安を持つ。こんな国でいいのですか。

 私たちは戸別所得補償制度を復活させる。そして1次産業は、米作りだけではありません。中山間地であれば、例えば災害を防ぐ機能があります。緑は二酸化炭素を吸収する。カーボンゼロに向けた温暖化対策に向けた、大きな役割もあります。水産業は、国境を守ってくれている。そういった役割もあります。多くの、多面的な機能を担って頂いている。でもそうした皆さんが、生活が不安定で低収入。それは政治や国の責任で、皆で支え合うべきではないでしょうか。

 私たちは、この1次産業の多面的機能、これを国がしっかりと強化する。こうした仕事に携わってくださる皆さんが安心して働くことができる、そしてお子さんやお孫さんが「親父の仕事を継ぎたいな」と希望した時に、「もう大変な仕事だからやめておけ」などと言わなくてもいい、そのような社会を取り戻したい。

「『お互い様の支え合い』の社会へ」

 私たちには具体的なビジョンと、具体的なプランがあります。是非皆さんの力で、もうひとつの道を歩んでいきませんか。社会は「お互いさまの支え合い」で出来ています。どんな人も、自分の力だけでは生きていけません。このコロナ禍の中で、外国からの観光客で「儲かるはずだ」と思っていた人が、あっという間に倒産・廃業の危機に迫られました。コロナのような感染症では、いくらお金を持っていても、社会的地位があっても、自らの命を守れない。そういうことがあります。だからみんなで支え合う。その代わりに、この間、アベノミクスで恩恵を受けていただいた皆さんには、しっかりと負担を多めにお願いをする。その「当たり前」を当たり前にしましょう。「まっとうな政治」を取り戻そうではありませんか。

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