泉健太代表は6日夕、衆参両院本会議で同日おこなわれた岸田総理の所信表明演説を受け、国会内で記者団の取材に応じました。

 泉代表は、岸田総理の所信表明演説の印象について、「分厚い中間層」「ボトムアップ」「分配」など立憲民主党が掲げてきた、訴えてきた言葉が随所にあったことに、「野党の役割はこういうところにもあるのかなと実感した」と皮肉を交えてコメント。そうしたなかで岸田政権との違いをどう見せていくかとの問いには、「言葉と実態ということだと思う。言葉は言葉として、われわれの言葉を取り入れられたことは、われわれの言ってきたことが正しかったということではあるが、言葉だけで終わるものではない。『新しい資本主義』は本当に新しい資本主義なのか、成長と分配の好循環は本当に実現するものなのか。1つひとつ具体的に論戦をしていきたい」と意気込みを語りました。

 また、「論戦し甲斐がある演説だった」とも述べ、特にコロナ対策に関しては「抜本」という言葉が繰り返されていたことに言及。「これまでの政府のコロナ対策に問題があったことの証明なのかなと思いながら(聞いていた)。この『抜本的』にという言葉が本当に実施されるのか、無料のPCR検査、ワクチン接種、入国規制等々、実際の具体的な今後の政府の施策を見ていきたい。経済対策においては、きちんと必要な支援が国民に届くのかを見ていきたい。中小企業に対する事業復活の補助金についても、第4波、第5波で多くの国民が困っているときにはその支援制度がなく、今感染が収束している中で、ようやく制度が作られるということになる。そういった意味でのスピード感は問うていかなければいけない」と述べました。

■16日間の臨時国会会期

 政府は過去最大の総額35.9兆円の補正予算案を提出しながら、わずか16日間の会期であることを問われると、「われわれとしては国会における審議、各委員会においても大臣の所信を聞き、分野ごとの対策について詳細を明らかにしていきたい、論戦をしていきたいという思いはある」と発言。その上で、当初の予定よりも国会の会期、予算委員会の審議日数が増えたことを一定評価し、「われわれとしては、これまで散々国会の開会を求めてきた。国民の皆さんの期待に応えるであればもっと早くから国会を開きたかったという思いもあるが、この限られた日数の中で最大限議論をしていきたい」と力を込めました。

■子育て世帯への10万円給付について

 子育て世帯への10万円給付をめぐっては、立憲民主党の後藤祐一議員が衆院予算委員会の理事懇談会で、現金給付とクーポン券による給付と2回に分けることで事務経費が余分に約900億円かかることを明らかにしました。この点を問われた泉代表は、「1つは、本来子ども関する政策は、所得制限を設ける性質のものではないということ。そして、今回のように急に1回きりの10万円給付をするよりも、児童手当の制度をしっかりと拡充していくことの方が真っ当だと思う。経済対策という要素や子育て支援という要素が混ざってしまい、結果として何のための給付なのか目的がよく分からない。しかも一括10万円給付をすれば事務費は変わらないにもかかわらず、わざわざ時期を遅らせて、そしてクーポンにして、各自治体にも相当な負担をかけることになる。ワクチン3回目接種だけでも大変ななか、地方も困惑をしている。一括給付する自治体については、政府は特例で認めようとしているようだが、もっと地方の自主性に合わせて現金一括給付ができるよう、せめてそれぐらいはするべきではないか」と指摘しました。

■「文書通信交通滞在費」法改正について

 国会議員に支払われる「文書通信交通滞在費」をめぐり、日本維新の会と国民民主党は同日、日割りでの支給や使いみちの公開の義務づけなどを可能にする法案を共同で国会に提出しました。今回共同提出とならなかったことについて泉代表は、両党は国会開会日の提出に1つの意義を見出されていたのではないかとの見方を示し、立憲民主党は新体制発足後に党内手続きを進めているところであり、数日内に法案を提出する予定だと説明。自民党がまず日割りでの支給を先行した法改正を主張していることには、「国民の皆さまの納得というのはそこだけではないと思うので、『決して日割りで終わらない』ということの中で、『国会の日程上日割りだけは(成立させたい)』と与党がもし言うのであれば、野党各党にその説明をすべきだ。われわれも日割りに反対をしているわけではないので、与党には誠実な対応を求めたい」と述べました。

 加えて、自民党は全会一致しなければ今国会での成立を見送る可能性もあるなどと報じられていることには、「自民党が反対していないのであれば、基本的には法案は通る。しかも野党各党も反対をしていないのであれば、その努力を自民党はすべきであり、自民党の本当のやる気が問われる」とけん制しました。