泉健太代表は27日、福島県を訪問し、東京電力福島第一原子力発電所、福島水素エネルギー研究フィールドを視察。そして浪江町庁舎、南相馬市小高区、福島県庁を訪問し、知事、町長、住民との意見交換をしました。福島県が地元の金子恵美、馬場雄基両衆院議員のほか、小川淳也政務調査会長、後藤祐一役員室長、高橋秀樹福島県議らが参加しました。

■視察先の状況等

(1)東京電力福島第一原子力発電所

 泉代表らは、東京電力福島第一原子力発電所を訪問して、以下の施設の見学、説明を受けました。
1.既設多核種除去設備(既設ALPS)セシウム含む62種の放射性物質の除去が可能な設備
2.増設多核種除去設備(増設ALPS)
3.1~4号機原子炉建屋外観俯瞰エリア
4.地下水バイパス設備 地下水が流れ込み汚染水が増えることを防ぐため設置
5.サブドレン浄化設備 地下水をくみ上げる設備
6.海側設備
7.6号機・非常用ディーゼル発電機 電力供給が停止した場合必要な電力を供給
8.雑固体廃棄物焼却設備 放射性固体廃棄物等で処理可能なものを焼却
9.固体廃棄物貯蔵庫(第9棟) 焼却灰やがれき等を適切に保管することを目的とした施設
10.乾式キャスク仮保管設備 使用済み燃料を貯蔵する乾式貯蔵容器を保管建屋から搬出し保管することを目的とする
11.免震重要棟 震災などの災害が発生した際に対策本部を設置する目的で建設された建物
12.高性能多核種除去設備(高性能ALPS)
13.ALPS処理水サンプル ALPSを使って浄化処理した水

20211227_110814 .JPG
(2)福島水素エネルギー研究フィールド(浪江町)

 再生エネルギーを活用した水素製造技術の実用化に向けて、大規模な設備の運用を通じ、必要な技術の確立を目指すことを目的に開かれた福島水素エネルギー研究フィールドを視察。太陽光発電設備や水電解装置、水素貯蔵、供給設備を見学しました。

20211227_131928 .JPG
20211227_132949 _01.JPG
20211227_133636 .JPG
20211227_134126 .JPG
(3)浪江町長との意見交換

 浪江庁舎を訪問し、吉田数博町長から要望書の受け取りと意見交換を行いました。あいさつをした泉代表は、東日本大震災の復興がインフラは進んでいても、心の復興がまだまだ進んでおらず後押ししたいと述べ、「地元の皆さまの生の声を聴かせていただき、町長を先頭に頑張る皆さまを応援したい」とエールを送りました。吉田町長は第3次復興計画に基づき、持続可能な街、住んでみたい街、住んでいたい街にすることを目標にしていると述べ、要望書の以下の6項目を説明し財政支援を要望しました。
1.避難困難区域の取り扱い
2.中心市街地の再生
3.移住・定住の促進
4.営農再開
5.国際研究拠点の整備
6.水素を活用した街づくり

20211227_135916 _01.JPG
20211227_140101-.jpg
(4)南相馬市小高区住民の皆さまと意見交換(南相馬市)

 南相馬市小高区では住民と意見交換。住民からは、大型農業に対する支援と同様に個人での小規模農業への支援や、若い人が農業をする際に定着するための支援、小高区を国際教育研究拠点とするための要望、定住するための仕事が少ないので一緒に働くための支援――などの意見が出ました。
 泉代表は、小規模農業支援について「自民党よりわれわれが言い続けているので、政調会長や農水省ともやり取りしたい」と応じました。

20211227_144933 .JPG
(5)福島県知事と意見交換

 福島県庁舎を訪れ内堀雅雄知事と意見交換。泉代表は今日の視察を振り返り、「国としても改めて福島県を応援することを明確にしなければならない」と述べました。内堀知事は、「今年が震災、原発事故から丸10年。どうしても節目を過ぎると人々の関心が薄らいでいってしまう」と述べ、風化が進んでも風評は根強く残ることを懸念。「立憲民主党には福島の復興を最後の最後まで責任を持って取り組むことを期待する」と求めました。

20211227_172846 _01.JPG

■視察終了後の記者団の取材

 泉代表は福島県知事との会談後、記者団の取材に応じました。質疑応答の要旨は次の通りです。

Q)今回の福島訪問の狙い、県知事らとの意見交換の所感は
 立憲民主党の新体制としても、復興支援は一丁目一番地だと思ってまいりました。体制ができてすぐに、この日程を調整させていただいた。福島県連と受け入れの調整をする中で、年内に視察が可能だということになり、本日お伺いをさせていただきました。内堀知事とは、非常に良い意見交換ができたと思っております。一つは、私が先日代表質問で岸田総理に質問提案をさせていただいた重要な項目のうちの一つ、福島における再生可能エネルギーを100%以上にしていくこと。2040年の予定の前倒しを政府に提案し、岸田総理も前向きな答弁をし前進が図られたことで、知事からも謝意をいただきました。
 今回、水素エネルギーの拠点も視察しましたが、一層さまざまな実証実験を具体化して、福島の県内の経済活性化に資するように進めていきたいということで意見が一致し、われわれも応援をさせていただく話をさせていただきました。
 一方で、やはり非常に厳しい現場。浜通りの各自治体の復興、特に住民が実際に戻って来られないことについては、一生懸命努力をしている中ではあるけれども、風評や風化、さまざまなものと戦いながら着実に進めていると。こうした問題を福島県だけの問題にせず、全国民の問題として、復興は10年で区切りではなく、これからも継続していくことを理解してもらいたいと話がございました。われわれも福島の活性化、特に沿岸部の自治体の賑わいの再生について努力をしていきたい。
 処理水については、県からも要望されているということでしたが、まず一つは県民、そして全国民に対する丁寧な説明、一層の説明が必要だということ。もう一つは、トリチウムを分離する技術については決して諦めることなく、引き続き国として努力をしてほしいということで、県の要望に入っていることも伺いました。われわれとしても政府に対してしっかり要請をしていきたいという話をさせていただきました。

Q)処理水について枝野前代表は「断じて容認できない」という談話等を示されていました。この姿勢は現執行部も維持をされているのか
 今日も説明をいろいろ受けました。いわゆる福島第一原発敷地内の限界、あるいは(処理水を)放出する場合の数値、そういったものの説明を受けていく中で、われわれとしては、やはりまだまだ県民の理解が得られていないと思っております。県民の理解は得られない。だからこそ漁業者、また農業者、そして県民全体に対するより一層丁寧な説明が不可欠であると、現時点ではまだそういう姿勢だということです。

20211227_175401 .JPG