参院本会議で20日、岸田総理の施政方針演説をはじめとする政府4演説に対する代表質問が行われ、党参院議員会長の水岡俊一議員が登壇。水岡議員は(1)災害対策(2)日中・外交(3)人権政策(4)気候変動問題(5)沖縄問題(6)教育(7)子どもの貧困(8)ガソリン価格高騰(9)人口減少――の各分野について質問しました。

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■災害対策

 冒頭、水岡議員は阪神淡路大震災から27年を迎えた1月17日が今国会の開会日と重なったことから、「総理はじめ大臣は誰一人被災地に赴くことは出来ず、追悼、復興の思いを共有することをしなかった。『悲しく、辛い』『しかし、忘れてはならない』記念日を重要視しなかった」と指摘。1日だけでも遅らせることができなかったのかと質問しました。
 岸田総理は、予算編成作業などを総合的に勘案し決定、その上で施政方針演説で震災について触れたと述べるだけで、それ以上の説明はありませんでした。

■日中・外交

 日中国交正常化50周年となる今年、日中間に横たわる課題の解決のため、どのような課題に対して解決の努力をするのか問うと岸田総理は、中国に対しては「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求め」、共通の課題については「建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と述べました。

 また岸田総理の掲げる「新時代のリアリズム外交」が具体的にどのようなものか問うと、(1)普遍的価値の重視(2)地球規模課題の解決に向けた取り組み(3)国民の生命と暮らしを断固として守り抜く取り組み――を3本柱とした外交を積極的に進めていきたと述べました。

■沖縄問題

 水岡議員は、辺野古移設問題について、2019年の住民投票の結果約72%もの「反対」が明確に示されており内政的には結論が出ているとして、むしろ県民の意思を受けて外政的に米国と交渉し直すことではないかと問いました。
 岸田総理は、辺野古移設が唯一の解決策という方針を米国と確認してきており、「これからも丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築いていく」と答弁しました。

■教育

 教育行政について、水岡議員は次の3点について問いました。

 1.近年の教職員の成り手不足に加え、感染症対策で業務量が膨らみ、その結果として体調や精神を崩し、さらに人員不足が加速するという負のスパイラルに学校現場は陥っていると指摘。この現状をどう分析し、どう打開していく考えか。
 2.GIGAスクール構想においてのメディアリテラシー教育の重要性についてどのような考えを持っているか。また、GIGAスクール構想の充実、少人数学級化、教職員の加配を進めていく考えはあるか
 3.個人情報の漏洩で個人の更生が妨げられるなどの問題が生じており、「忘れられる権利」が主張される社会となっている。教育データを保存する仕組みにより不当な選別・差別が起こり人権侵害が助長される懸念に対して、どのように対処するつもりか。

 岸田総理は、(1)教師の魅力を高めるための取り組みを進めていく(2)メディアリテラシーを含む情報活用能力の育成、小学校35人学級の計画的な整備、加配定数など必要な教職員定数の確保を進める。(3)教育データの利活用については個人情報保護のルールに沿って丁寧に検討を進めていく――と答弁。
 いずれも具体的に踏むこんだ話はなく、岸田総理の熱意は感じられない答弁でした。

■子どもの貧困

 18歳以下への10万円の給付金について、直近の離婚などで実際に養育している親の手元に届かず受け取れない子どもたちが推計で4万人も存在していいると指摘。立憲民主党は18日に「離婚世帯子ども給付金支給法案」を提出したことを紹介し、困窮するひとり親世帯へは一刻も早い給付が求められると訴えました。
 岸田総理は、基準日以降に離婚した世帯への制度的な対応は難しい面があると述べ、自治体に地方創生臨時交付金を活用して支給を検討するよう求めるなどの対応で支援を行っていくと説明しました。

【質問全文】代表質問-水岡議員.pdf

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