衆院本会議で4月12日、「ロシア経済制裁関連2法案(「関税暫定措置法の一部を改正する法律案」及び「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案)」についての趣旨説明と質疑が行われ、末松義規議員が質問に立ちました。

 外務省出身でもある末松議員は、本2法案は「いずれも侵略国ロシアに対する経済制裁を強化する手続き整備」だとして、不十分な点もあるが基本的に賛同するとした上で、質問しました。

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(1)岸田総理のウクライナ訪問・対中外交

 末松議員は、EU委員長以外にも、東欧の3首脳や英国首相がウクライナを訪れたことを踏まえ、岸田総理に対し、「東洋から初めてウクライナへの熱い連帯のメッセージを直接伝えるために、近々ウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談すべき」と要求。岸田総理は「現地の状況も含め総合的に勘案し、わが国として何をすることが適切なのか不断に検討する」と述べるにとどめました。

 また、末松議員は、「中国のロシアに対する軍事・経済・金融協力が、対ロシア経済制裁の抜け道をつくり、ロシアの継戦能力や経済力を強化することになる」として、北朝鮮の度重なるミサイル発射について協議するためにも岸田総理に対し、「中国の習近平主席と直接会談して、少なくともロシアを支持しないよう説得すべき」と要求。岸田総理は「適切な機会に適切なレベルで対応をしていきたい」と述べるにとどめました。

(2)ウクライナ支援

 末松議員は、林外務大臣がポーランドで日本に在住を希望するウクライナ避難民を政府専用機に搭乗させたが、結果的にわずか20人だけが搭乗したことを疑問視。座席の余裕は150人分あったと報道されており、「海外から見ると、20人という少数は、ウクライナ避難民を受け入れ制限する日本政府の意図の表れだとマイナスに評価する向きもある」と指摘しました。その上で、「元々日本に渡航希望していたウクライナ避難民の総数」を質問したところ、林外務大臣から明確な答弁はありませんでした。

 また末松議員は、英国のジョンソン首相が、4月9日明らかにしたように、ウクライナに対して、「貿易融資枠の拡大や関税引き下げ、通関手続きの簡素化などの経済優遇措置は、ウクライナ復興の観点からも有益」だと提案しました。

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(3)物価高対策

 末松議員は、「現在、急速な円安や原油高、鉱物資源・食料価格の高騰によって、国民生活を困窮させる物価高が現実のものとなっている」ため立憲民主党は、4月8日に総額21兆円の緊急経済対策を発表し、時限的な5%消費減税やエネルギー購入費補助、さらには、ワーキングプアの方々や低年金者・低所得子育て世帯に5万円を給付する生活支援策などと同時に、債務減免や事業復活支援金の上限額(250万円)の倍増などの事業者支援策を提案したと述べました。

 その上で末松議員は、「国民生活を救うためにスピードが命」がだとして、政府は早急に補正予算を組むべきと迫りましたが、岸田総理は「4月中に具体的な対策を取りまとめ、予備費を活用した対応を優先してまいりたい」と述べるにとどめ、政府の物価高対策の遅さが露呈しました。

(4)原発の危険性

 ロシアからのLNG供給に頼っているドイツでさえ、敵対国から、通常ミサイル等の対原発攻撃を想定し、「原発廃止計画を推進」していると末松議員は指摘。その上で、安全保障の観点からも、「原発廃止政策を強力に進めていくべき」と迫りましたが、岸田総理は「安価で安定したエネルギーを確保するため、原子力を含めあらゆるエネルギー源を活用していく」と答弁しました。

ロシア経済制裁関連2法案に対する趣旨説明質疑(末松義規議員).pdf

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