衆院本会議で5月17日、政府提出の「こども家庭庁法案」「こども家庭庁設置法整備法案」と立憲民主党が提出した対案「子ども総合基本法案」、ならびに自公案(こども基本法案)、維新案(子ども育成基本法案)の討論・採決が行われました。立憲民主党から堤かなめ衆院議員が登壇し、政府提出2法案に反対、立憲民主党の対案に賛成、維新案に反対、与野党協議の結果を踏まえ自公案に賛成の討論を行いました。
堤議員は冒頭、立憲民主党は「かねてから、チルドレン・ファーストの理念を掲げ、子ども・子育て政策を一元的に立案、遂行する子ども省の創設を訴えてきました」と述べ、「ようやく私たちの考えが浸透してきたことと思いますが、政府案には理念や実効性において、大きな懸念」があると表明しました。
堤議員は、政府案では新組織の名称が「こども家庭庁」であることを疑問視。立憲民主党は、社会全体で子どもを支援すべきと考えているとして、「ひとり親家庭や家庭のない子どもたち、また、親による虐待を受けて苦しんでいる子どもたちも増えていることから、あえて『家庭』という言葉は使わず、子どもの最善の利益を図ることを正面に据えた方がよいのではないか」と訴えました。
また岸田総理が、「令和版所得倍増」「子ども政策予算の倍増」「資産所得倍増」と「3つの倍増」を次々と打ち出しているが、5月1 3日衆院内閣委員会での泉健太代表の質問に対し、岸田総理が「いつまでに倍増するとかそうした期限は区切っていない」と答弁したことを踏まえ堤議員は、「具体的な計画がないことが、明らかとなりました」と指摘しました。
その上で堤議員は、日本のこども政策予算が先進国で最低レベルであることを踏まえ、立憲民主党の対案で規定しているように、「子どもたちを、子育てを、社会全体でしっかり支える、そのためには、(こども政策の)予算の倍増が不可欠」と強調しました。
また、政府案に規定がない一方、党の対案では規定している「学校において、いじめなどの重大な権利侵害事案が起きた際に、子どもの権利擁護の状況を政府から独立した立場から監視し、原因を究明するために、必要な調査及び再発防止のための勧告を行うことができる『子どもコミッショナー』を設置する必要性」を改めて訴えました。
党の対案「子ども総合基本法案」は委員会で並行審議されましたが、与党が対案を否決し、さらに政府案に対し党が提出した修正案も否決したため、政府案には「反対せざるを得ない」と堤議員は述べました。
他方、自公案(こども基本法案)については、与野党協議の結果、党の対案に明記していた「子どもの権利条約の理念」、「子どもから若者までの切れ目のない支援」、「子どもに関する個人情報に対する取扱い」、「子どもコミッショナー設置の今後の検討」が盛り込まれたとして賛成すると述べました。
最後に堤議員は、立憲民主党は、過度に「家庭」に責任を負わせるのではなく、社会全体で子どもの育ちを支えるという理念のもと、チルドレン・ファーストの政策を進めていくと訴え、討論を終えました。