参院本会議で6月1日、「電波法・放送法改正法案」の趣旨説明と質疑が行われ、岸真紀子議員が、(1)監督は政府から独立した機関がすべき(2)周波数の再割り当てによる過疎地や離島などでの地域格差の懸念(3)東北新社の外資規制違反による認定取り消し(4)フジ・メディアHDの外資規制違反――等について質問しました。
冒頭、岸議員は、政府が進める政策や制度は人々の暮らしに大きく関わるからこそ、与党野党を問わず国会が政府をチェックすることが重要だと述べ、昨日成立した本年度補正予算は、国会会期中にも関わらず予備費を積み増すという財政民主主義の原則に反する」と指摘。「国会軽視の姿勢は、誠に残念」「予備費で対応すればいいといった発想は、捨てていただきたい」と述べ、質問に入りました。
(1)監督は政府から独立した機関がすべき
日本では電波と放送行政の権限を総務大臣がすべて持っている一方、日本以外のほとんどの先進国では、政府から独立した機関が監督していると指摘。昨年、法案が見送りとなった理由であった総務省の接待問題は、総務省が強い権限をもっていたからではないかと述べ、「透明性を高めるためには国から独立した機関とすべき」と提案しました。
(2)周波数の再割り当てによる過疎地や離島などでの地域格差の懸念
携帯電話は、国民生活にとって必要不可欠な極めて重要なインフラだとした上で、周波数の再割り当てにより、過疎地や離島をはじめとする条件不利地域などの不採算地域で事業者のサービス提供が後退する懸念を示し、地方との格差が広がらないよう、条件不利地域でも携帯電話サービスの確保が担保されるよう、再割り当てされた事業者への責務や国としての対策をただしました。
(3)東北新社の外資規制違反による認定取り消し
菅義偉前総理の長男が務める東北新社が総務省幹部を接待していた問題に関連し、東北新社が放送法の外資規制違反の状態であることが判明したことから、東北新社メディアサービスに事業継承したものの、認定を受けた時点で違反であったことを理由に総務省は「職権」で取り消しました。放送法93条では、認定の取り消しを受けたものは2年間認定を受けることができないとしていますが、この事案は「職権」での取り消しであり適用外とされています。岸議員は、この処分の取り扱いについてただしました。
(4)フジ・メディアHDの外資規制違反
フジ・メディア・ホールディングスの外資比率が放送法の外資規制に抵触する状態であったことについて、報告時点で違反状態が解消されていたことから厳重注意にどどめ処分はされなかったことから、今後、外資を一時的に大幅に増やし戻すといったことができてしまうのではないかと指摘し、大臣をただしました。