立憲民主党は6月6日、「刑法等の一部を改正する法律案」を沖縄の風と碧水会の3会派共同で参院に提出しました。同法案は、インターネット・SNS上などの誹謗中傷への対策を行うため、刑法に加害目的誹謗等罪を創設するとともに、犯罪被害者保護法やプロバイダ責任法を改正するものです。提出者は、有田芳生、髙良鉄美、嘉田由紀子の各議員で、真山勇一、打越さく良の両議員も提出に参加しました。
法案提出後の記者会見で、筆頭提出者の有田議員は、政府が5月に「侮辱罪に係る現行犯逮捕の可否」について「実際上は想定されない」とする統一見解を公表して侮辱罪での現行犯逮捕はしないとしたにも関わらず、二之湯智国家公安委員長が国会質疑であいまいな答弁を繰り返しているとして、「現行犯逮捕を現場で行う可能性がある」と厳しく批判しました。
立憲民主党は、閣法・刑法等一部改正案の衆議院審議段階で、4月20日に閣法への対案を提出し、5月13日には閣法への修正案を提出しました。対案では、侮辱には当たらないものの相手の人格を攻撃する誹謗中傷行為を正面から刑法の対象としつつ、名誉毀損の場合と同様の特例を設けることで政治家などへの正当な批判などは罰せられない仕組みを提案するとともに、発信者情報の開示を幅広く認めることを可能にする改正案を示しました。また修正案では、侮辱罪の厳罰化のうち、1年以下の懲役・禁錮を削除する提案を行い、侮辱罪による逮捕を現状通りに制限して表現の自由の萎縮を回避するものとしました。
有田議員は、今回の議員立法について、党が衆院に提出した対案と修正案を合わせたものと説明。また、「侮辱罪の法定刑に30万円以下の罰金を加えたことが参議院での法案の大きな特徴だ」としました。その理由として、年間約20~30件程度の侮辱罪の立件のうち、科料9000円の判決がほとんどだとして、「プロバイダーを特定して、個人を特定して、裁判をやったら、結局侮辱罪で9000円ではあまりに低くすぎる」と指摘しました。