災害・緊急事態局は9月30日、宮崎県入りし台風14号による被災状況を視察しました。視察には、ネクスト内閣府担当大臣(災害対策)の杉尾秀哉参院議員、災害・緊急事態局の局長の森山浩行衆院議員、同局事務局長の渡辺創衆院議員が参加しました(写真上は、被害状況を説明するピーマン農家の春吉さん)。
台風14号は18日夜から19日朝にかけて九州を縦断。九州を中心に西日本で記録的な大雨や暴風となり、9月15日の降り始めからの総雨量は、九州や四国の複数地点で500ミリを超えました。
■国道327号道路崩壊現場
諸塚村役場で、西川村長や日向土木事務所の平部所長らから崩落現場の状況についてヒアリングを行いました。
平部所長から、台風14号の前に線状降水帯が発生。その後、14号の影響により雨量が多くなったため耳川の水位も上がり浸水被害も多く発生。また道路も浸水したため壊れていると説明がありました。
諸塚村は、2005年の台風14号でも耳川の氾濫により川沿いの商店街が甚大な被害を受けました。その後、かさ上げをして護岸を整備し復興したものの、今回は想定を上回る雨量により、再び河川の水が商店街に流入しました。
視察した崩壊現場は、諸塚村と椎葉村をつなぐ道路(国道327号)で古園1号トンネルの諸塚村側。現在は全面通行止めとなっています。
視察後、記者団の取材に応じた森山局長は、今回の現場を視察し、工法が難しいこともあり人手やお金をかければすぐに復旧するものではないと感じたと述べ、技術や知恵が必要との認識を示しました。また、国に激甚災害指定を求めるとともに、必要な資材や技術の後押しをしていきたいと述べました。
まもなく臨時国会が始まることもあり国会での対応を問われると、「災害対策は与野党を越えてやるものだ。この5年ほど、われわれも災害局という活動をして全国の被災地に行っている。今回も激甚災害指定をきちんと出していただくとともに国としてできることは全部やるんだということで後押しをしていきたい」と述べました。
■国富村の農業被害
中部農林振興局の日高局長、中部農業改良普及センターの蛯原所長の案内で、ハウスピーマン農家であり国富町の野菜振興協会の会長でもある春吉さんから被災状況を聞きました。
春吉さんは「想像を絶する風、雨、そして水上がりが非常に早かった」「自分の身を守るのが精一杯」だったと当時を振り返りました。膝上程度(約50cm)浸水したことで、ハウスの換気扇が停電になっても稼働するように用意してあった発電機や、薬の散布道具、暖房機などが水没。県内の農家では他に、発育を促進させる炭酸ガス装置や、最近ではIT化しているため関連の機器などが被害にあったと説明しました。また10月半ばには寒くなってくるため、それまでには暖房装置の復旧が必要だと訴えました。
現在、ハウス内の土壌を消毒するため、5日間隔で4,5行程を進めています。折からの資材や燃料の高騰もあり、また商品の単価も上げられず、今回の台風の被害で非常に苦労しているとの話がありました。
春吉さんは、「災害などでも価格が変動することなく安定できれば、生産者や仲卸、販売店もうまく潤うのだが」と語り、ようやく新型コロナが落ち着き居酒屋なども営業し始めたところでの台風被害だが、とにかく前向きにやれることをやっていきたいと語りました。