立憲民主党 政務調査会長
長妻 昭

 政府は10月28日、総合経済対策を閣議決定した。

 現在、国民の暮らしは、長引くコロナ禍、物価高騰、低賃金、年金減少の四重苦により「生活氷河期」とも言うべき深刻な状況に直面している。こうした状況に鑑み、我々は4月、そして今月14日に緊急経済対策を策定して、本格的な補正予算の編成を迫ってきたが、政府・与党は今日まで後手後手の対応に終始してきた。まず以てこの対応の遅さを厳しく批判するものである。

 今回ようやく決定された経済対策についても、支持率目当てで徒に予算規模を膨らませたために年度内に全てを執行することは到底不可能な上、その場しのぎの不合理な内容であると断ぜざるを得ない。昨年度の補正予算も規模ありきで策定されたために、当初予算と合わせて20兆円以上も年度内に執行することができなかった。「生活氷河期」を迎える今、まずは年度内に迅速・確実に国民の懐に届く経済対策が求められている。我々の策定した「『生活氷河期』を乗り越えるための緊急経済対策」は、政府と異なり、直接家計に届く支援に重点を置くものである。

 電気代・燃料費等の負担軽減策の必要性は我々も共有するが、政府のように高騰分を補助する方式では、その場しのぎにしかならない。我々が訴えているように、現下の状況を奇貨として、大胆に予算を投入し、家電の買い替え支援などの省エネ・再エネ投資を強力に推し進めることで、構造的にエネルギー価格の高騰に強い経済・社会の実現を目指すべきだ。また、高騰しているのは電気代・燃料費だけではない。政府・日銀の無策も相まって、あらゆる物価が上昇を続けている。最も効果的なのは、直接家計に届く給付であり、我々は子どもと中低所得者世帯への現金給付を大胆に推し進める。

 政府は、子育て支援について、来年1月1日以降に生まれる新生児1人あたり計10万円分のクーポンを支給するとのことだが、妊娠届と出生届それぞれの提出時に5万円分ずつ支給することや、そもそもクーポンの形で支給することなど、あまりにも不合理な制度設計と言わざるを得ない。これでは無駄に事務費が嵩むだけでなく、支援が届くまでに時間を要することが想定される。我々が主張する18歳以下の全ての子どもへの10万円給付の方が優れていることは明らかであり、その実現に向けて働きかけを強めていく。

 政府は、補正予算の規模を膨らませるために、本来は当初予算で措置すべき中長期的な課題に関する項目も経済対策に盛り込んでいる。例えば「『新しい資本主義』の加速」として挙げられている政策等は、今「生活氷河期」で苦しい状況にある国民生活を改善するための対策ではなく、到底年度内の執行が見込めないものである。本来は、来年度予算編成の中で必要性を吟味し、綿密に制度を設計した上で実施すべきものだ。

 また、新たに「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」を創設するとのことだが、国会の事前議決の例外である予備費を新設することは、財政民主主義を形骸化させるものであり、断じて容認できない。そもそも岸田政権は既に「新型コロナウイルス感染症対策予備費」を「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」に改め、使途を拡大し、巨額の予算を積み上げるなど、国会軽視の予算編成を行ってきた。その姿勢が改めて強調されたものであり、厳しく糾弾する。

 立憲民主党は、国会で徹底的に議論を尽くし、これら政府の経済対策の問題点を厳しくただすとともに、国民の暮らしを守り、日本経済を再生させるため、果敢に提案を続けていく。

【談話】総合経済対策の閣議決定にあたって.pdf