政府が示した「安保三文書」の問題点について(声明)
立憲民主党 代表 泉健太
政府は本日、「国家安全保障戦略」をはじめとする「政府三文書」を取りまとめた。
しかし政府から一切の具体的説明も、国会での議論も、国民的合意もないままに、政府がこれまでの防衛政策を大きく転換させる「反撃能力の保有」「防衛費GDP比2%」を記載したことは、大きな問題であり、立憲民主党は容認できません。
まず政府与党の反撃能力については以下の懸念を持っています。
(1) 政府見解では、「我が国に対する攻撃の着手」があれば、先制攻撃にあたらないとされているが、正確な着手判断は現実的には困難であり、先制攻撃とみなされるリスクが大きい。
(2) いわゆる存立危機事態において、我が国による相手国領域内への攻撃を否定していない。
(3) 「反撃能力の行使は、専守防衛の枠内」と述べているが、その態様が日米同盟の盾と矛の関係を変えるものであるならば、それは専守防衛を逸脱する可能性がある。我が国は、日米同盟の基本的役割分担を維持し、自衛隊の装備体系および運用は「必要最小限度」でなければならない。
以上のことから、立憲民主党は、自公合意に基づく政府三文書の「反撃能力」には賛同できません。
また立憲民主党は、「真に必要な予算を積み上げた結果としての防衛費の一定の増額」は有り得ると考えていますが、政府が示した、防衛費を5年間で43兆円、5年後にはGDP比2%の約11兆円に倍増させようとする方針は、積み上げになっていない「数字ありき」の額であり、合理性に欠けています。国会での説明も議論もなしに、このような大幅増を決め、しかも歳出改革の具体的プランも示さぬまま、復興特別所得税を含む「防衛増税」を行うのは論外です。
今回の政府三文書は、岸田総理自身が述べている通り「安保政策の大転換」であって、このような文書の決定に際しては、国民とその代表者たる国会への説明と論戦が絶対に必要です。立憲民主党は、我が国の防衛政策への国民の理解共感を誠実に得るためにも、また我が国の防衛政策を担う責任政党としても「外交安全保障戦略の方向性(仮称)」をまとめ、国会での議論をリードしていきます。
以上