2023(令和5)年2月22日
立憲民主党 財務金融部門会議・税制調査会


 「異次元の金融緩和」で進んだ財政規律の喪失と巨額の累積赤字、税・社会保険料の逆進性による格差拡大、応能負担の低下による財源不足など、日本の財政は深刻な問題を抱えている。一方で、未曽有の少子高齢化、進行する地球温暖化、厳しさを増す安全保障環境など、乗り越えなければならない国政上の課題は多い。

 これらの諸課題を解決するためには、従来の財政政策を抜本的に転換し、以下の3本柱から成る「新しい財政政策」を実行する必要がある。今後、それぞれの項目について関係部門と連携して検討を進め、できるだけ早期に具体策を示す。

1.国家財政に「PDCAサイクル」を確立

 財政規律の維持や効率的・効果的な支出を実現するためには、国家財政におけるPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを確立する必要がある。

 具体的には、中期財政フレームの再設定、国会への独立財政機関の設置、国会の決算監視を次年度予算編成に反映する仕組みの強化により、その実現を図る。

2.「控除から給付」で所得格差を是正

 消費税や社会保険料の負担は、所得が低いほど所得に占める負担率が高まる。所得格差が拡大する中、この逆進性を緩和する方策を強化する必要がある。

 具体的には、消費税を税率5%へと時限的に減税した後、高所得者に有利な消費税の軽減税率を一定額の給付(付き税額控除)に改め、所得税負担については高所得者ほど有利な所得控除から税額控除ないし給付への転換を進め、その実現を図る。

3.「応能負担」を回復し、未来のための財源確保

 現在の日本の税制は、担税力に応じて負担をするという「応能負担」の原則が弱まっている。冒頭に掲げた国政上の課題を解決するためには、海外への資本逃避につながらないよう、大企業や富裕層の協力を得ながら財源確保に努める必要がある。

 具体的には、納税者の権利や課税手続きを明確にする「納税者権利憲章」を策定し、所得税の累進性強化、法人税の累進化等の改革、相続税・贈与税の負担能力に応じた改革を進め、その実現を図る。

以 上

20230222【立憲民主党】「新しい財政政策」について(中間報告).pdf