衆院憲法審査会が3月9日開かれ、立憲民主党の城井崇議員が発言しました。憲法を論じるにあたってしっかり守っているのかという観点から2点を追及しました。
まず、岸田総理が施政方針演説で「政治とは、政府における議論と検討によって政府が決断した方針や予算案・法律案について国会の場で議論をし、実行に移す、そうした営みである」などと発言したことについて「憲法の定める議会制民主主義の認識が間違っている」と指摘しました。憲法にある国民主権に基づいて内閣法が「内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対して連帯して責任を負う。」と規定し、行政権の行使に対する民主的統制の重要性を強調しているところだが、先の総理発言はその趣旨に反すると問題視しました。
また、野党から憲法53条に基づいて臨時会召集の要求が出されても、召集がなされない、あるいは長期にわたって召集されない事例が相次いでいる事態について「憲法違反の疑義がある」として2つの問題を指摘しました。1つは、政府が必ず召集される常会が開かれるまで待てば、召集義務を果たしたと解釈してしまうことは、53条の「効力が無力化されてしまう」と疑問を呈しました。
もう1つは、長期にわたって召集されないことで、議員立法の提出権がある国会による内閣への関与が確保できないという問題について言及しました。臨時会の審議事項が内閣提出案件に留まらず、議員提出案件も含まれることから、「内閣の準備不足を理由に召集をのばすことはできない」とする長谷部恭男早稲田大学教授の判例解説を紹介した上で、「召集期限を明確化し、国会による適切な行政監視を行うことが必要」と提案しました。