衆院憲法審査会が3月30日に開かれ、立憲民主党の枝野幸男議員が発言しました。衆院の初代憲法調査会長を務め、論議の中心を担った中山太郎元会長の逝去を受け、元会長を偲ぶとともに、今後の議論のあり方について提起しました。

 中山元会長が憲法論議の中心を担っていた時代について枝野議員は、「どの勢力が多数派となろうと、従うべき規範が憲法である以上、違いを強調するのではなく、一致点を探して、その一致点から議論を進めるという認識が共有されていた」と説明しました。その結果、「調査会の最終報告書は、全会一致にこそならなかったものの、その文言の一つひとつを、議決には反対した会派も含めてすべての会派で丁寧に協議し、客観的で中立的な報告書として取りまとめることができた」と述べました。

 一方、最近の憲法審査会のあり方に関して枝野議員は、「中山先生の時期には遠く及ばないにしても、あの当時とは似ても似つかぬ状況で、私個人としては、建設的な合意形成について悲観的を超えて絶望している」と強い懸念を示しました。その上で中山元会長から学んだことを踏まえ、「各党各会派が、それぞれの改憲案を提起し主張をぶつけ合うというのは、真に国民を巻き込んだ幅広い合意形成をする上で、超え難い障害になる」と問題提起しました。

 こうした認識から枝野議員は、「議論の方向性を一致できそうなテーマは何なのかという点から、すべての会派間で真摯に議論し、その合意に基づいて、会派間で段階的に方向性を確認しながら順次具体化していく」べきと提案しました。その一致できそうなテーマに関して、先の報告書に示されていると指摘し、「ここをスタートラインに、合意形成可能な論点と方向性はどこにあるのか、もう一度考えていただくことを強く望む」と力を込めました。