新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会が4月25日、国会内で開かれ、立憲民主党から小川淳也新型コロナウイルス対策本部長が出席(中島克仁 本部長代理がオブザーバー出席)しました。今回の協議会は、新型コロナウイルス感染症の5類への感染症法上の位置付け変更の前としては、最後の開催となることが見込まれています。

 協議会では、「新型コロナウイルス感染症の「5類化」に伴い対応を求める事項」(下記参照)として、6つの柱と24の項目からなる事項を提示し、政府・与党に協議を求めました。

 協議会後の会見で、記者団から、今後の政府・与野党連絡協議会の枠組みのあり方を問われた小川本部長は、「5類移行後、よほどの事態の急変がなければ要請するつもりはない」としながらも、「ただし、直近の感染状況が上向きになっていることを踏まえ、5月8日以降はビビットな感染状況・死亡者数等の公表自体がなくなるため、救急搬送困難事案の件数がどうなるか等を注視しつつ、その状況次第では再協議を求める可能性を残している」と述べました。

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■新型コロナウイルス感染症の「5類化」に伴い対応を求める事項

2023年4月25日
立憲民主党・無所属


○大規模な第9波の感染拡大が懸念されるなか、今般の「5類化」は必ずしも感染の収束ではなく、今後とも感染状況には常に注意を要することを国民に周知徹底すること。

一.これまでの対策の総括並びに今後の状況変化に万全を期すこと

1.迅速かつ確実に受けられる検査体制と、十分な量の全ゲノム解析機器・試薬の確保や地方衛生研究所等の人員、予算等の体制拡充、感染対策としての下水検査研究など今後の新たな変異株を早急に発見する体制整備に努め、新たな変異株による重症者数や死亡者数の増加を迅速に検知して、急激な感染状況の悪化を把握できるようにするとともに、万が一の事態に的確に対応できるようにすること。

2.人口、年齢、地域ごとの感染状況把握のため、無作為な抗体検査など、感染状況や病原性等の把握の根拠となる数理的なデータを収集・分析すること。

3.今後も感染状況悪化などの兆候が見られた際には、速やかに政府・与野党連絡協議会を開催し、緊急対策等に関する協議の場を設けること。
4.3年以上にわたる政府のコロナ感染症対策の実状と課題、費用対効果に関する科学的検証・総括を行い、今後の感染症禍に備えた対策を講じること。


二.引き続き医療提供体制の充実等に努めること

5.新型コロナウイルス感染症に係る医療費の負担の在り方については、早期受診を促し、国民が安心して医療を受けられるよう、引き続き患者負担の軽減に努めること。

6.感染症法上の位置づけの変更後も、当面の間、新型コロナウイルス感染症患者に対応した病床・人員を引き続き確保・調整するための財源を確保し、クラスターが多発した高齢者施設をはじめ、検査、医療・介護提供体制を整備・強化すること。並びに、各地のコールセンターをはじめとして、当面の間、発熱患者等の相談体制を存置するとともに、地域の医療連携による入院調整機能を強化すること。

7.医療を必要とする人が迅速・確実に必要な医療を受けられるという観点から、保健所と医療の各々の役割(機能)を明確化すること。平時にコロナ感染時の対応を依頼する医師を登録して有事に迅速な検査・治療の実施を可能とする患者・医師・医療機関中心の仕組み(コロナかかりつけ医制度)に転換すること。

8.第8波までの間には、救急搬送を依頼しても搬送先が見つからないなど、必要な医療にアクセスできずに自宅で亡くなる事案が多数発生した。病床逼迫、搬送受入れ困難の原因・課題、他の疾病への影響を明らかにするとともに、対策を講じ再発防止をはかること。

9.現下の物価高のなかにおいても十分な医療・介護提供体制を確保するため、一定の支援を講じるとともに、医療・介護従事者の待遇改善が着実に実施されるよう、診療報酬並びに介護報酬の引上げなどを実施すること。

10.医療関係職種国家試験について、新型コロナウイルス感染症に罹患するなどして受験が認められなかった者が多数いる場合には、今後も再受験などの救済制度を検討すること。

三.ワクチン・治療薬等の対応について

11.ワクチン接種については、予防接種法上の位置づけの検討並びにワクチン効果の検証を行いつつ、高リスク者をはじめとする国民の安心を確保する観点から、当面の間、希望者について接種費用を全額公費負担とすること。

12.治療薬・検査キットの生産・流通体制について、感染症法上の位置づけの変更後も、治療薬・検査キットの十分な供給が確保されるようにすること。

13.国産ワクチンや国産治療薬が可及的速やかに普及するよう、その開発、製造の支援を強化すること。

14.製薬会社とのワクチン契約の検証など、ワクチン接種の費用対効果を検証すること。国民から理解を得るために、ワクチンの確保量、廃棄量について積極的な情報開示及び検証を行うこと。自治体のワクチン接種事業の検証に取り組むこと。

15.ワクチンの有効性及び安全性の検証、副反応情報など、具体的情報を正確・迅速に伝えるなど、ワクチンに関するリスク・コミュニケーションを一層強化すること。

四.コロナ後遺症及びワクチン副反応に関する調査研究・治療体制整備並びにコロナ後遺症患者及びワクチン副反応被害者の治療・救済について

16.コロナ後遺症(罹患後症状)及び死亡事例を含むワクチン副反応(後遺症を含む)の調査研究・治療・救済体制については、昨年の臨時会で行われた感染症法改正における衆議院修正の趣旨を踏まえ、十分な予算措置及び特別な体制整備を行うこと。

17.ワクチン接種後の死亡事例及び後遺症について、速やかな被害者救済につなげること。

18.後遺症とみられる症状に悩む人の相談体制を整備するとともに、地域の医療機関で迅速に治療を受けられるようにすること。

19.後遺症への理解・啓発を行うとともに、後遺症の影響で仕事を失ったり休業を余儀なくされたりする人が相次いでいることから、職場への復帰や再就職を支援すること。

20.ワクチン副反応の健康被害救済制度について、どのように申請をすればよいのか不明で国や自治体でたらい回しとなった、窓口となる市町村の対応が不十分、申請後の進捗状況が不明といった指摘があることから、厚生労働省に健康被害救済の申請を伴走してサポートする体制を整備する等の健康被害救済への申請を容易にする取組を実施すること。

五.事業者・労働者への支援について

21.多くの事業者はコロナ特別融資を受け経営を継続している。債務返済について、返済スケジュールの再調整や債務減免などについて柔軟に対応を行うこと。

22.職場でのコロナ感染に関する労災認定については、職場での安心感を確保するため、当面の間、引き続き同感染症の特性に鑑みた適切な対応を行うこと。

23.ワクチン接種を就職や就労、実習などにおいて強制する、もしくは未接種者を排除するなどの人権侵害を行わないこと。

六.学びの保障について

24.新型コロナウイルス下の生活が、子ども・若者の心や体にどのような影響をもたらしたのか検証を行うこと。パンデミック世代の子ども・若者に、失われた学びの時間を取り戻すため、十分な教育機会の提供などの取り組みを早急に進めること。

以上

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