泉健太代表記者会見

2023年5月26日(金)10時31分~11時11分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/MHBfE9Rq5eo


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○参院予算委員会 集中審議について

【代表】
 おはようございます。
 きょうは、まずは午後から参議院予算委員会ですね。立憲民主党は、13時40分から田名部匡代参議院幹事長、そして、森本真治議員が14時20分からということになっています。この参議院予算委員会も我々として国民の皆さんの生活目線で訴えをしていきたいと思います。

○議員立法「地位利用第三者児童虐待防止法案」を提出

【代表】
 続いて、きょう先ほど、10時ですか、衆議院の事務局に児童虐待防止法の改正案を提出しました。
 これは、ジャニーズの問題で、被害を受けた方が国会に話を聞いてほしいという依頼があって、立憲民主党のほうでは話を伺う場をつくったというところから、被害の実態がわかってきたこととともに、その被害者の方々が法律を変えてもらいたいという要望をしたということも受けて、私たちとしては法改正の可能性というのを探ってきました。
 その中で、児童虐待防止法というのは保護者・監護者をそもそも対象にしているので、例えば会社での契約関係にある場合だとかが除外されてしまっている。そもそも加害者の対象から外れてしまっているということで、これを問題視しまして、第三者であっても、その地位利用をした形での性的被害を起こした場合には、これは児童虐待に当たると、そういうような法案を我々として提出をいたしました。
 ただ、本来は自民党・公明党と協議をするはずだったし、つもりだったし、その段取りが進んでいたのですね。自民党の側の法案担当者も我々は聞いていました。自民党側からこの人が出てくるよと、そして一緒に協議が始まるというふうに聞いていたのですが、ある意味、突如自民党の側から説明があって、与野党協議には応じられないという話に、急展開になってしまいました。
 そのときの自民党側の理由というのは、公明党が独自の救済案を出しますという話でした。「独自の救済案」が何なのかは、まだ全く不明です。見えてきません。ただ、被害者の皆さんは、やはり早期のこの法律の改正を望むということでありましたし、いつまた何どき新しい被害が発生するとも限らない。ある意味、法の抜け道的になってしまっていて、こうした地位利用の性犯罪を防ぎ切れないのではないかという懸念がある以上は、立憲民主党としては、改めてですが、他の政党、与野党に呼びかけて、今国会での成立を目指したいと思います。そして、引き続き与党にも協議を呼びかけたいと思います。
 柔軟な姿勢で、被害者を救うために各党の理解を求めていきたいと思いますが、本当に、本来進むはずだったこの与野党協議が急遽潰れてしまったというのは、今の自民党と公明党の対立や混乱も関係しているのか、よくわかりませんが、与党内の足並みがそろっていない。自公の間の足並みがそろっていないということが明らかになっているという状況です。
 改めて、早期の法案成立、今国会での法案成立を目指したいと思っています。

○マイナ保険証をめぐる一連のトラブルについて

【代表】
 そして、マイナンバーです。これは本当にマイナンバーカード、今、続々とというか、ひもづけの誤りが出てきているということで、国会でも取り上げてきましたし、大きな問題になっていると思います。
 それは気持ち悪いですよね、自分の医療情報だと思って保険証の中身を見ようとしたら、全く他の人のデータが入っていた。ということは、自分のデータはまたほかの人のところに記録されてしまっているかもしれないということで、そもそも河野大臣はこういったデメリットは全くありませんというようなことを言っていましたが、大きなデメリットが今生じているということであります。
 この他人の保険証ですとか、公金の受取口座とのひもづけなどで、別人、他人と交ざってしまっていたり、ぐちゃぐちゃになってしまっているということ。やはり進め方がかなり強引だったのではないかと思っています。やはり個人情報の取扱いということについて、政府はもっと慎重に事を進めなければいけないし、対策を十分に取らなければいけないと思います。
 確かに、考えてみれば、この間、例えば(新型)コロナが始まったときに、人の行動記録を記録するアプリを導入したときも不具合が次々と発生した。幾ら政府がつくるシステムだからといって、不具合が起きない、万全だということはやはりないのだというふうに思っていますので、政府としては二重三重にここを慎重に対応していくということが必要だと思います。
 改めて、私たちは今、参議院で審議中ですが、保険証を廃止してマイナンバーカードを実質的に義務づけるということについては、法案にはこれは反対をしています。やはり紙のものも残しながら、両方を順次進めていくとか、このデータの管理をしっかりやっていくということが大事ではないかと思います。

○少子化対策の財源問題について

【代表】
 次は、私の予算委員会の質問でも取り上げましたが、この少子化対策、子育て支援の財源に、社会保険料の上乗せをしていくということ。これは何か、今、額も月500円とか、いろいろなことが言われていますが、現役世代、かつ、まさに子どもを産み育てようと思っている当事者の人たちに次々と冷や水を浴びせる、そして実際の歳出改革は全然具体化させていないという姿勢が明らかになりました。
 こういう社会保険料上乗せのメッセージなどが先行すれば、やはりこの国は、ラストチャンスと言いながら、もう少子化対策のラストチャンスだとか言いながら、そして、異次元の少子化対策だと、子育て支援と言いながら、結局温かくないのねという印象、イメージがどんどん当事者の間に広がっているということを大変懸念しているし、やはり自民党政権では根本的にこの子ども・子育て支援に抜本的強化をしようという気持ち、決意、覚悟がないんだなということが明確になっていると思います。
 それをするのが立憲民主党の役割だと思っていますので、国民の皆様から応援をいただいて、私たちとしては、子ども・子育て支援、そして教育無償化、ここを主軸に予算の配分を変えていくのが立憲民主党だということを私としてはやはり強く訴えていきたいし、全国の仲間たちにも訴えてほしいと思っています。まさに立憲民主党がやるべきことがここにあるのだと思っています。

○憲法論議 衆参憲法審査会で議論

【代表】
 続いて、きのうも衆議院の憲法審査会が開かれています。ここでは、国民投票広報協議会、国民投票の事務局を担う協議会についての議論がなされました。
 立憲民主党としては、国民投票というのは、やはり国民の皆さんが、何について投票するのか、どこが論点なのかということを冷静に見極められる環境が必要だと思っています。これが、広告規制、CM規制がなければ、財力のある側がもうとにかく世の中を埋め尽くすようなCMを打って、そして、いっときの世論をつくりかねない。それは時に国益に反したりする、あるいは公平性を大きく逸脱するような行為もあり得るというふうに思っていますから、やはりこの全体の上限規制だとか、こういうことについてはやらなければいけないと思いますし、当然ながら、仮にですが、そのCMがフェイクニュースだったらどうするのかということも当然大きな懸念点としてあるわけですので、そういうところをきちんと整備する必要があるということを言ってまいりました。
 その憲法改正だ何だということも、中身の議論が幾らあったとしても、この国民投票法が整備されなければ、それは実際には国民投票が行われなければいけないということですので、改めて、この国民投票法の整備、これがきちんとした公平性や正当性が担保されるものにならなければいけないという論点は立憲民主党として訴えていきたいと思います。
 また、参議院のほうでの憲法審査会で合区の問題も話し合われましたが、自民党の側からも合区解消は憲法ではなく法律の改正で対応可能だということの意見も出てきて、これは各党もそういう意見を述べていますので、私たちとしては、憲法改正の項目ではなくなった、もはや憲法改正の項目ではないというふうに考えているところであります。

○岸田首相秘書官に関する報道について

【代表】
 続いて、岸田総理の息子、総理秘書官。政務秘書官というのは、いわゆる首席秘書官とも言われる立場ですね。岸田総理の息子さん。
 まあ、息子に甘過ぎですね。もう一つ一つ言及するまでもない話だと思います。国から給料をもらっている公務員ですから、その給料をもらっている公務員が公邸の中でそういうさまざまなことをしていたら、では、処分を受けるのか受けないのか。総理としては、息子を特別扱いしないと、一公務員であるということを踏まえて公正に適正に厳正に処分をしていただくのが普通ではないかと。それがないとして、厳重注意だけならば、甘過ぎだと。息子に甘過ぎだということになると思います。

○旅館業法改正案 宿泊拒否の削除について与党と合意

【代表】
 続いて、旅館業法は、なかなかそんな新聞で大きく報じられるものではないのですが、コロナ禍で、宿泊について、検温だとか、そして、さまざまなその体調を聞くだとかということが必要にはなってきている時代ではあるのですが、一方で、ハンセン病の患者団体などからは、宿泊拒否ということで大きな差別を受けた事例、社会問題になった事例もあるということで声をいただいて、我々のほうからそういった声を重く受け止めて、自民党に再三法案の修正を求め、また、呼びかけてまいりました。
 自民党のほうでも相当に法案の修正をしてきたということをもって、この新型コロナなど特定感染症の症状のある人に対する宿泊拒否を可能とするという部分を削除したということをもって、我々はこの修正案を了承したということです。
 ですから、やはり立憲民主党、野党第1党として、日々こうして直すべき法案を直す。例えば刑法についてもそうです。公訴時効を広くしていくだとかということも今回しましたし、そして、未成年の性行為の同意年齢(引上げ)についても、これまで以上に修正を勝ち取ることができたというように、実際に当事者や、実際に声を上げている方々の、その声をしっかり受け止めて、法案のさらなる修正に日々取り組んでいるというのが立憲民主党であるということ。これはなかなか表に出ませんが、ぜひ皆さんにも報道してもらいたいなというふうにも思っております。

○入管問題 維新・梅村議員の発言について

【代表】
 そして、まだ解決していない問題ということで言うと、維新の梅村議員が、まだウィシュマさん、ご遺族に謝罪をされていないということ。これは改めてですが早急に謝罪をすべきであるということもお訴えをしたいと思います。

○大阪府の高校授業料「完全無償化」案について

【代表】
 また、きょう、ちょうど朝日新聞さんに記事が出ていましたが、大阪の高校の「完全無償化」ですね。これはまさに自助というか新自由主義的な考えなのかもしれませんが、痛みを一方だけに押しつけてしまうと教育の質が下がってしまうということが書かれている記事だなと見ました。
 私立学校、私立高校に授業料の上限を、無理やり抑えさせて、そして、学生のほうは無償化にするということなのだけれども、一方では、私立学校のほうで本来それ以上に受け取るはずの授業料を受け取れなくなるということになると、私立学校の先生の給料が下がる、私立学校の施設整備が滞る、私立学校の教育の質が落ちるということになりかねないということです。
 今、賃上げも進めていく局面ですよね。そして、公立の学校の先生においても、給特法の廃止、学校の先生の働き方改革も言われているときですよね。そういう中で、大阪のその制度で、高校の先生方の給料が大阪では私立学校はなぜか伸びなくなるとか、あるいは学校の施設整備がどんどん遅れてしまうとか、こういうことになってしまうというのは、少しいびつな高校の無償化になってしまうのではないかと思います。
 国からもしっかり予算を出して、公立ももちろんですが、私学についてもきちんと施設整備ができる環境をむしろつくっていかなければいけないので、大阪のこの高校無償化を全国に広げるというのは、我々としてはやめなければいけないと思っております。

○「りっけん新人女性大集合!」を開催

【代表】
 そして、きのうは我が党の党本部で、ジェンダー本部が主催をして、新人女性議員集合ということでイベントを行いました。リアル参加も含めて、多くの自治体議員に、当選した仲間たちに参加をしてもらいました。
 立憲民主党、これからも、例えばその中で出た意見、きょうも一部新聞で報道してもらっていますが、朝の演説を大前提にされて、朝の演説をしなければ勝てないというふうな選挙スタイルそのものを変えないと、子どもの世話をしたり、子どもに朝食を食べさせて園に送り出すということの役割が女性ばかりになっているのもおかしいし、そして、そういうことで外で演説している方だけが評価される政治もおかしいというような意見も出たりしました。女性特有の抱えている課題というものも出てきています。
 そういったことを立憲民主党としては先頭に立って解決・改革をしていきたいし、そして、立憲民主党としてさらに女性議員の数を増やして、国会の中、議会の中もより多様な視点で議論が行われるようにしていきたいと思っています。


■質疑

○岸田首相秘書官について

【時事通信・木田記者】
 まず、冒頭でお話のあった総理の息子の秘書官の件だが、処分が甘いということだが。

【代表】
 「処分が」というよりも、総理が子どもに甘い、息子に甘いのではないですか。「処分が」ではないですね。

【時事通信・木田記者】
 厳重注意では不十分ということをおっしゃったと思うが、どういった処分をすべきか。

【代表】
 いや、それは向こうが考えることです。

【時事通信・木田記者】
 岸田翔太郎氏がこのまま秘書官を続けることは適正だとお考えか。

【代表】
 それも総理が考えることではないですか。世の中がどう見ているのか、周りがどう見ているのかを、総理が考えるべきですよ。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(1)

【時事通信・木田記者】
 別の話題で、次期衆院選に関して。公明党が、東京28区での独自候補擁立を自民側に拒否されたことを受けて、東京都内の選挙区で自民党候補を推薦しない方針を決めた。自民・公明両党の関係が悪化している現状をどう受け止められているかと、次期衆議院選挙に与える影響をどうご覧になっているのかお聞きしたい。

【代表】
 連立というのは政策合意ができないときに壊れるのかなとか、選挙協力というのは政策が合致しないときに壊れるのかなと思っていたのですが、まさに政策ではないところで信頼関係が壊れるということで、選挙連合だったというふうに思います。
 そして、加えて言えば、やはりこれは全国にも波及すると思いますね、いろいろな形で。そう思います。

○LGBTQの人権を守るための法整備について

【時事通信・木田記者】
 別件で。昨日、日本維新の会と国民民主党がLGBT理解増進法案の対案をまとめた。内容としては、超党派議連の案で「性自認」となっていた部分を「ジェンダーアイデンティティ」とし、また、シスジェンダーなど多数派も含む全ての人々が安心できるよう求める留意事項を盛り込んだことなどがポイントとなっているが、この法案の評価をお聞きしたい。

【代表】
 きのうも当事者の方々が集まった集会があって、後退する案には残念だという声を聞いてきました。
 本来、超党派で、当事者の方々も含めて、そして、もう言わずともさまざまな国民の方々のことにも配慮して超党派案ができていますから、これがやはり最も適切な法案だと。今、立憲民主党が出す形になっていますが、本来は各党が合意している案ですので、では、その各党合意案はもう合意ではなくなったのかということも問われてしまうと思いますので、改めて、超党派の長く精緻な丁寧な議論をしてきた中での理解増進法、本来の理解増進法ということが最も適切だし、できるだけというか、そちらのほうでやはり法案の成立を協力していただくということがあるべき姿ではないかと思います。

【時事通信・木田記者】
 関連して。後退する案は残念だという当事者の声もあるということだが、代表ご自身は維新・国民案に関しては後退したものだとお考えか。

【代表】
 はい。

【時事通信・木田記者】
 具体的にどういった部分が問題だとお考えか。

【代表】
 「性自認」という言葉を使うというのは、これも超党派で合意をしたことです。
 そして、シスジェンダーの皆さんへの配慮というのは、法に書かなくてもこれは当然のことだし、今までもそういうふうに行われてきているわけです。
 いわゆる当事者の方々が、さらに肩身の狭い思いをしてしまうということも指摘をされています。
 そういったところですね。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(2)

【フリーランス・宮崎記者】
 先週の記者会見でのご発言に関して一点確認したい。立憲と共産の地域ごとの政策協定に関するところだが、代表は「立憲民主党で、地方レベルにおいて、例えば勝手に協定を結ぶとかということは、普通あり得ないと考えております」と。前回までに、「市民連合」、安保法制を廃止して立憲主義を回復する市民連合の各地域の世話人と、例えば立憲民主党長野県連と、共産党と、あるいは社民、れいわ、さらには国民民主党が入っている場合も、2年前の長野県の参議院補欠選挙はそうだったが、例えば東京の江戸川とかだったら地元の若手の僧侶の方が世話人といった形で、「市民連合」を介しての立憲民主党地方組織と共産党地方組織の政策合意というのは、今後原則としてあり得るのか。

【代表】
 先週お話ししたとおりかなと。今のお話を伺っていても、先週お話ししたとおりかなというふうに思っています。私が言っているのは、先週言ったことですね。

【フリーランス・宮崎記者】
 各地の「市民連合」を介して。

【代表】
 私が言ったのは先週言ったことですので、そのほかのことについては何かああだこうだと言っていることではないということです。

【フリーランス・宮崎記者】
 原則としてはあり得るということか。

【代表】
 そのほかのことについては何も言っていないということです。

【NHK・高橋記者】
 公明党と自民党の関係の関連だが、これは全国にもいろいろな形で波及すると思うということだが、どういったことが考えられるのかということと、立憲民主党の選挙に与える影響についてどう考えていらっしゃるか。

【代表】
 立憲民主党の選挙には別に何か影響があるものではないと思います。とにかく一喜一憂しないということですよ。他党のことだし、それで有利になるとか不利になるなんていうことを、何というか、ぬか喜びなんてしてはいけないと思います。
 立憲民主党は、とにかく自分たちの、今、政策を真摯に訴え続けること。そして、信頼を得ること。各候補者が地域を回り、地域の皆様から「この人を議会で働かせたい」と思うような日々の活動をしていくことであって、ほかの党がこう動いたから有利だ不利だなんていう考え方は、立憲民主党の中にこそ慎んでもらわなければいけないと思っています。
 やはり、首都東京で、都議会でも自民党と公明党が協力関係を解消するということで、もちろんこの後、修復をしていくという可能性も我々としてはあると思っていますから、現時点のことでしかないですが、信頼関係が今はなくなっていると。「信頼(関係)は地に落ちた」と言っているわけですから。それを東京だけのメディアに言っているわけではなく、公明党の幹事長が「自民党と公明党の信頼(関係)は東京においては地に落ちた」という発言が全国で放送されるわけですから、これはやはり影響はあると思います。

○大阪府の高校授業料「完全無償化」案について

【朝日新聞・木佐貫記者】
 先ほど大阪の高校無償化の話を代表はされたと思うが、教員の給料とかが下がる中で子どもの負担だけをというのは一方的な形だというふうにおっしゃっていたが、代表としては、教育無償化は予算委員会でも多く訴えられたが、この事例からしてどういうのが教育無償化としてあるべき姿なのかというのをもう少しお聞きしたい。

【代表】
 今まさに朝日さんからの質問で、(冒頭発言で)朝日さんの記事を引用させていただきましたが、そこには、例えば大阪府の私学への補助金というのは生徒1人当たりだと全国で46位ということですね。ですから、大阪において、これは順位はついてしまうものとはいえ、大阪での私学助成が1人当たり全国46位であるということを考えると、私学助成を増やしていくということで、この公立だけではなく私学に通う子どもたちの教育環境の改善を図っていくということも私は重要ではないかなと考えます。

【朝日新聞・木佐貫記者】
 ただ、一方で財源とか、さまざまな問題もある。

【代表】
 もちろん。財源は当然ですよね。ですから、私が今言ったことというのは、教育予算をそもそも増やすということです。これは大阪だけではなく、国も当然だと思います。だからこそ先日の予算委員会でも教育の無償化が大事だということを言ったし、そして、防衛費に5年で43兆円までかけるのではなく、それはやはり国家の予算のバランスとしても、もっと、今、教育や子育てに予算を使わなければ、武器は増えて、人は減って、国は廃れるということになりかねないということも予算委員会で訴えたところです。

○「国会審議」「懲罰動議」等について

【フリーランス・小山記者】
 幾つかあるが、憲法審査会で国民投票法の議論が始まっているのをけさ聞いてきた。そのことが一つと、環境委員会で、G7サミットの前の日米首脳会談だと思うが、日米の小型モジュール炉の研究開発の協同について約束が交わされたと。ちょっと内容的には残念だなというようなところがあったが、もやもやと今週もずっとしており、「原発をとめた裁判長」という映画を見に行ったが、そういった話題に頭をさらわれてしまって、原則というのを無視しているような国会運営、与党の方々の議論が気になるが、日々泉代表はどのようにご覧になっているか。

【代表】
 私たち、一般論というか、国会を見ていて、熟議が足りないと思うところは多々あります。
 個別の委員会は、小山さんが見ていただいているものと私がまた見られるものとは異なってしまうので、個別のことはちょっとわかりかねるところがあります。

【フリーランス・小山記者】
 個別のことはわかりかねるというのは、国民投票法のことと、原発の。

【代表】
 今、小型モジュール炉の云々という話は、私も環境委員会を見ていませんので。

【フリーランス・小山記者】
 ぜひご覧いただきたいと思う。それから、きのう、れいわ新選組の櫛渕万里議員、以前同じ党でいらっしゃったと思うが、懲罰委員会にかけるということで、彼女自身の演説があったが、れいわは全国を2019年からかなり細かく回られて名もない人々の悲鳴を聞いてきたわけだが、その演説内容が歴史に残る演説になったのではないかというような声も上がっている。国民の窮状を訴えたあの演説の内容について、どう思われたか教えていただきたい。

【代表】
 国会での演説というのは、全て歴史に残っております。それは一つ一つが大事な演説であって、その中で、人の胸の中や頭の中に残るかどうかというのは、それぞれの人によるのかなと。国会の中でも、日々、例えば法案が通るときに、当事者の方々などは特にそれを歴史に残る演説だというふうに捉えられる方はあるわけですので、一つ一つがまさに歴史に残るものです。議事録にも残るものだと思います。
 櫛渕議員については、冒頭やはり全議員にお詫びをしていました。その後に、やむにやまれぬという言い方はしていましたが。国会の中での懲罰というのは常に慎重を期して行わなければいけないものであると思っています。そういう中で、今回が初回ではなく複数回になったということが、おそらく重い、今回の懲罰委員会に付されるということにつながったのだろうと、そのように考えています。

【フリーランス・小山記者】
 関連して。野党第1党が与党をチェックして、こういうところはちょっとよくないのではないかということで発言される。他野党が野党第1党をチェックする面があるのではないかと私は考えるが、その点はいかがか。常に小政党や新政党というのは下克上を目指して突き上げてくるので、ちょっと言葉が汚い場合もあるかと思うが、国民民主党も含めて、そういった立場にあることをどう普段からお考えなのか教えていただきたい。

【代表】
 それぞれの政党にはそれぞれの考え方や戦略があるので、それはその政党の中で決められることかなと思います。
 立憲民主党としては、やはり政府の行いの中でおかしなところがあれば、これは指摘しなければいけないし、そして同時に、我々であればこうするという考え方をより伝えていかなければいけないと思っています。
 やはり、いろいろな、政権の側からスキャンダルだとか醜聞なるものが聞こえてきたときに、私たちは、でも、常に考えなければいけないのは、例えば何か問題が上がってきたときに、そういう与党の側から問題が発生したときに、それを国会質問なりでもし扱うとなると、必ず、本来訴えようとしていた国民課題の時間が多少なりとも削られてしまうということについては、本当にこれは、その分、与党に質問時間をよこせと言いたいところなのですが、実際には、与党のスキャンダル分、予算委員会の時間が増えるとかというのはなかなかないので、そうするとやはり大事なのは、本来我々が国民のために取り上げようと思っていた課題。これをやはりきちんと取り上げなければいけないというところは、改めて党内全体で共有をしていく必要が僕はあるのではないかと思っております。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(3)

【北海道新聞・今井記者】
 共産党のことで伺いたい。選挙協力をやらないという代表の発言について、立憲の所属議員から複数、SNS等で、共産党とやることに何が悪いんだという意見や、協力しないということについて反対の声というのが出ているかと思う。代表はこれらの議員の意見、声というのはどう受け止めているか。

【代表】
 おそらく、記者さんの認識がちょっと事実ではないことになっているのではないかなと。たしか、共産党と、何とおっしゃいましたか。

【北海道新聞・今井記者】
 テレビ等の発言では選挙協力をやらないというふうにご発言された。

【代表】
 いや、違う違う。ほかの議員さんが言ったというところで、一緒にやるのが何が悪いんだという話でしたね。

【北海道新聞・今井記者】
 ちょっと正確ではないかもしれないが。

【代表】
 そうですね。そこがまさにそうで、例えば法案だとかで一緒に提出をするだとか、そういうことはあるのですよ。だから、一緒にやるのが全部悪いという話はそもそもないということですね。
 私が言ったのは、やはり今、立憲民主党というのは、とにかく他の党に頼るなということなのです。皆さんが国会議員ではないので、何か皆さんに演説しているみたいになってしまいますが、とにかく立憲民主党は、確かに自民党政権をひっくり返すために野党の力を最大化するということが野党第1党の責任でもあるということで、前回の総選挙までにやはり野党の協力というのを進めてきた経緯はあるのです。ただ、やはりそういう中で、立憲民主党の主張が消えてしまったとか、立憲民主党に投票してくださいという言葉をどこかで言うことをちゅうちょしたりしてしまってきた経過があって、それがやはり立憲民主党の訴えの浸透につながらなかったと思っているし、まず私たちは、そもそも全国各地で候補者が決まって、その地で例えば立候補を表明して活動していくときに、頭の中とか、鉛筆をなめながら、「うーん、この党には何万票あるから、よし、これで僕の票が何万票増えた」とか、「私の票は、この他党の票があるから、この分だけは上積みできる」とか、そういう考え方でいてはいけないということなのです。
 やはり、とにかく立憲民主党の公認で国政選挙に出るという以上は、立憲民主党として選挙区の中で、小選挙区で勝つということが大事なのであって、他党協力を前提にするなということ。これはもうとにかく党内にしっかり浸透させていかなければいけないと思っていて、先日も全国の総支部長会議があったときにも、そのことを私は総支部長に言いました。
 やはりそういう、きちんと党として自立する気概と、当然ながら党の訴えを前面に押し立てて、有権者の信頼を得る。これがとにかく大事だということを私は今言っています。

【北海道新聞・今井記者】
 党としてそういう協力しないでやるというのはもちろん大事かと思うが、ただ、地域によって、北海道もそうだが、これまでなかなか関係がずっとよかったという地域、一緒にやってきたところもあるかと思うが、その何か影響みたいのというのは。

【代表】
 とにかく、やはり立憲民主党として支持を得られるように全力で活動してほしい。これが党代表の考え方です。