野田佳彦代表は2月24日、都内で開催された2025年度定期大会後に、同会場で記者会見を行い、(1)野党連携(2)新年度予算の修正協議(3)政権交代――等について話しました。

(1)野党連携

 記者団から「参院選に向けて野党連携をどう図るか」を問われた野田代表は、国民民主党との政策協議を踏まえた上で、「選挙でもなるべく協力関係を作っていきたい」としました。一方で、野党候補者一本化に向けた「予備選」実施の提案をしている日本維新の会については、「(提案を)真摯に受け止めてお互いに納得ができるものを作り上げていきたい」と話しました。その上で、「多くの野党に(連携に)参加してもらえる環境整備にむけて、(立憲と他の野党の)両者が汗をかいていかねばならない。国会中にやれることはなるべくたくさんやって、夏の参院選に臨んでいきたい」と連携に向けた意気込みを語りました。

(2)新年度予算の修正協議

 記者団から新年度予算の修正協議の進捗状況について問われた野田代表は、「明日以降、早い段階で(与党との)協議が行われるだろう」とし、政府の修正案に対する対応の賛否については、「その時の対応をよく見て判断したいと思う」と話しました。

(3)政権交代

 記者団から、党大会内の代表あいさつで政権交代という言葉をあまり出さなかった理由と、政権交代への覚悟について問われました。野田代表は、政権交代は「ホップ・ステップ・ジャンプ」の三段跳びであるという考えを踏まえ、昨年の衆院選で50議席増やしたことは「ホップ」、そして次の参院選が「ステップ」であるとし、「これも躍進させて、『ジャンプ』で政権交代をしたい」と話しました。

 さらに、財源を確保した上で新年度予算の修正案を示したことを踏まえ、「いざ衆院選で本当に国民が政権選びに入った時に、これまでの挙措動作、国会での審議の仕方が問われてくる。そこは意識したい」と野党第1党としての責任感を語りました。


野田佳彦代表記者会見(定期大会終了後)

2025年2月24日(月・祝)15時45分~16時06分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/FtTdAWvEOfY


■冒頭発言

  • なし

■質疑


■冒頭発言

(なし)


■質疑

○2025年度定期大会を終えて

【NHK】
 2問あるが、1問ずつ伺いたい。
 1問目だが、先ほどの挨拶の中でも国会上での野党連携について話されていたかと思う。参議院選挙に向けて、維新との予備選であったり、また、連合会長のお話にもあったように国民との政策協議などもあると思うが、その辺も含め、野党との連携について、どのように図っていきたいか。改めてお考えをお願いしたい。

【代表】
 この国会中に、例えば国民民主党とは連合を介した政策協議を早く始めて、そして、4月頃をめどに一定程度の合意を取りつけて、選挙でもなるべく協力関係をつくっていきたいと思いますし、維新の皆さんからは予備選のご提起がありますので、これは真摯に受け止めて、お互いに納得のできるものをつくり上げていきたいと思いますし、多くの野党に参加していただけるような環境整備を両方が汗をかいていかなければいけないなという、この国会中でやれることはなるべくたくさんやって夏の参議院選挙に臨んでいきたいと思います。

【NHK】
 今のに関連して。選挙での連携の前提として、やはり国会での連携も大切だというお考えはいかがか。

【代表】
 きょうも申し上げましたとおり、我々のつくった予算修正案は、他の野党に配慮しながら、いわゆる最大公約数的なやつをまとめながらの修正案を出していますし、そういうことの繰り返しだと思いますので、これからのいろいろな法案審議も野党が連携して実現できる可能性が高まりますから、その反復練習の中から選挙につなげていけばいいなと思います。

【NHK】
 2問目になるが、現在審議が行われている新年度予算案について伺いたい。挨拶の中で高額療養費の話もあったが、現時点での修正協議、まだ進んでいないと思うが、今後どう対応していきたいか。現時点での政府の対応に対しての賛否についてもあればお願いしたい。

【代表】
 まだ賛否を言える状況ではないと思いますが、あす以降、早い段階で協議が行われるだろうと思いますので、そのときの対応をよく見て判断していきたいと思います。

【朝日新聞】
 きょうの代表の挨拶の中で、政権交代という言葉があまり見受けられなかったように感じた。代表として政権交代への覚悟をいかにお持ちかと、あわせて、具体的にいつの選挙までにどういう道筋で政権交代を達成したいか、戦略やお考えがあればお願いしたい。

【代表】
 いつも三段跳びで表現していますが、去年の総選挙で「ホップ」で50人議席を増やすという形で、これは一定程度前進できたと思います。次は「ステップ」が参議院選挙で、これも躍進をさせていただいて、次の「ジャンプ」で政権交代ということで、3段構えで考えています。ただ、これは3段目がいつ来るかわかりませんが、準備はしっかりとしていきたいとは思います。
 きょうは参議院選挙を念頭に置いていますので「政権交代」「政権交代」と自分の口では言っていませんが、議案書にいっぱい入っていますから、その認識を薄れているわけでは全くありません。

【朝日新聞】
 今国会では、ほかの野党と一線を画し、財源を示しながら、責任ある態度、責任ある野党という姿勢をかなり示していると思う。政権交代に向けて、この責任ある姿勢というのがかなり大事だとお考えなのかと思うが、その辺りはいかがか。

【代表】
 いざというときの、例えば衆議院選挙で具体的に本当に政権選びに国民が入ったときに、これまでの挙措動作というのが問われてくると思いますので、財源を示しながらの予算であるとか、そういう国会での動き方、審議の仕方も問われてくると思いますので、そこは意識をしていきたいと思います。

【読売新聞】
 きょう党大会では参院選に向けた方針を確認する場になったと思う。現状の候補者の擁立状況や、1人区で候補者の一本化を進めるような準備・進捗状況について、現状どのように捉えているか。

【代表】
 きょう段階で、選挙区で27人の公認(内定)及び推薦で、比例で9名だったと思います。現状はそういうことです。27人のうち1人区が半分強、擁立をしていますので、更に空白区を埋めていきたいと思います。かなり加速度的に進んできていると思っています。

【読売新聞】
 きょう党大会の挨拶の中で、この150日間の戦いが参院選の勝負を決するというような発言があった。参院選に向けた国会での審議の山場は現時点でどのようなところにあるとお考えか。

【代表】
 もう日々山だと思っていますが、特に予算修正のところで、我々もしっかり実現できるものはしっかり取りにいきたいと思いますので、加えて、年度末までの(議論において)企業・団体献金の禁止についてどういう結論を得ることができるかどうか、あるいは後半国会は選択的夫婦別姓などが争点になってくると思いますので、これは野党をまとめながら実現できるテーマばかりだと思いますので、そこに心を砕いていきたいと思いますし、今はあくまで国内問題で言いましたが、トランプ政権の動き次第ではいろいろな荒波が押し寄せてきますので、議案はいろいろ増えてくる、争点が増えてくる可能性もありますが、そういうものはしっかりと指し示せるように頑張っていきたいと思います。

【読売新聞】
 以前「武装解除」すると言った一方で、きょうは「戦闘モードに入る」という発言もあった。例として高額療養費の政府方針の撤回を例に挙げられたが、ほかに何か「戦闘モードに入る」というものが分野だったり政策であれば教えていただきたい。

【代表】
 いや、基本的には、国会運営にも責任ある立場だと思っていますし、前に申し上げたとおり、予算を人質にして何とかということはそもそも考えていませんと申し上げてきたとおりです。
 とは言いながらも、例えば高額療養費の問題というのは命に関わる問題なので、多少国民生活に支障があるような例えば暫定予算を組まざるを得ないなんていうことは全然願ってはいませんが、そうなっても、命に関わる問題はやはり最優先で我々がやはり要求し実現をしていかなければいけないという決意をきょうは語りましたので、決意が自民党に届くように期待をしたいと思います。

【共同通信】
 きょうの挨拶の中で代表は、立憲民主党の影が薄いぞと地方どこに行っても言われると、叱咤激励というよりも叱咤ばかり受けているとおっしゃった。今のこの現状の認識を改めて伺いたい。

【代表】
 今申し上げたとおり、事実関係でそういうお話が多いので、それはしっかり受け止めて頑張っていきたいと思います。

【共同通信】
 代表は、今回の修正協議もそうだが、財源をセットにして示し、責任政党としての姿勢を示されているが、なかなかそれが、地方の集会などでも消費税減税に対する要求があったりもして、理解がまだ浸透していない部分もあるかと思うが、そこの苦悩というかお悩みは。

【代表】
 いや、苦悩は全くありません。ぶれないで行きます。どんな会場でもそれはいろいろなお立場の人が一人や二人は必ずいますから、そういう声にも耳は傾けていきますが、基本姿勢はぶれないで行きます。

【テレビ朝日】
 先ほど「戦闘モードに入る」というお話があったが、命に関わる問題なので、与党に望ましい態度が見られなかった場合は、不信任案の提出などという可能性もあるのか。

【代表】
 あまり「たられば」の話はしないほうが、まだいいと思います。不退転の決意で実現をしていくということです。

【テレビ朝日】
 不信任案の提出とまでは行かずとも、望ましい態度が見られなかった場合は、野党としてどう立ち向かっていく方針か。

【代表】
 早く望ましい態度をしてくれるように期待しています。

【テレビ朝日】
 具体的に、特に。

【代表】
 あまり「たられば」の話は、まだしません。

【産経新聞】
 選択的夫婦別姓について伺いたい。本日の党大会の挨拶でも言及があったが、選択的夫婦別姓の法案の提出時期、具体的にどういった時期をイメージされているか、もしあれば伺いたい。

【代表】
 これはもう実務者の準備状況次第ですので、なるべく多くの野党が賛同できるように、共同提出できるように、まずやってもらうということと、あとは、与党でも賛同者が出てくる可能性が高いわけですから、そちらの動きなども見ながら、実現本部をつくりましたので、しっかり情報をキャッチしながら進めていただければと思います。時期まで私が言うのは僭越だと思っています。

【産経新聞】
 本日採択された活動計画の中の、広報活動の部分で、発信強化をするという中で「何をする党なのか明確にする」と記述されている。野田代表の中で、この立憲民主党という党はそもそも何をする党なのかということを、お考えがあれば伺いたい。

【代表】
 やはり政権を取りにいくということですので、その意味では、今、国民が一番困っていらっしゃるテーマには光を当てて、そして、しっかりと法案や予算として提示していくということが当面のことだと思いますが、中長期的には、やはり外交・防衛については現実的路線で、政権交代があっても180度転換するということのないように、安心感のある政党であると。それから、財源提示をしているということも、これも財政についてはやはり安心感があるという、そういうところは醸し出していけるように頑張っていきたいと思います。

【産経新聞】
 本日の党大会とは関係ないが、弊社が今月22日・23日と世論調査を行い、その中で、立憲民主党の支持率は6.9%と、先月の10.1%から減少した。その一方、国民民主党は先月の7.2%から増加して9.8%と、立憲民主党を上回る結果となった。このような立憲民主党の支持率が伸び悩んでいる現状、その要因はどこにあるとお考えか。

【代表】
 逆に、立憲が上がって国民が下がっている世調もありましたね。日経とか読売とか、ありますので、一喜一憂しないで行きたいと思います。御社の数字だけで一喜一憂しないようにしたいと思います。

【産経新聞】
 一喜一憂しないでということだが、今後参院選に向けて支持を広げていくという意味では支持率も一個の指標になると思う。そういった中で、支持率を上げていく、支持を広めるために、どのように行っていきたいとお考えか。

【代表】
 150日間トータルで存在感を示していきたいと思います。じわじわと。

【朝日新聞】
 今、立憲民主党が特に重視している政策は、予算の修正案の内容などを見ているとある程度は理解できるが、一般の有権者から、立憲民主党の今の看板政策は何かということをよく読者の方からも質問をいただく。今の立憲民主党の看板政策は何か。

【代表】
 看板政策というか、今の国会の中での最大の争点は高額療養費の問題だと思っていますので、この問題でしっかりと(政策を)実現していくということが大事だと思っています。看板政策というか、当面の一番の課題だという意味で申し上げました。

【朝日新聞】
 今の質問に関連するが、政権交代を目指すには、やはりこの党といえばこの政策という看板政策がどうしても有権者の心を動かすためには必要になってくると思う。そうしたものについてどのようにお考えかと、立憲民主が政権交代で目指す社会像はおそらく今の自公政権とは全然違うものだと思うが、そうした基本的な考え方も含めて、立憲民主党はどんな政権をつくりたいと思っているのか、改めてお聞きしたい。

【代表】
 ワンポイント・イシューでアピールしようとは思っていません。問われれば答えていけるという総合デパートで行きたいと思います。その安心感が大事だと思っているのですね。  その上で、自民党との違いがあるならば、やはり格差を広げてしまったのが自民党だと思いますので、この格差を是正していくということと、大きな団体・企業に政策をゆがめられる政治ではなく、やはり個人個人、一人一人に光を当てていくという、そういう立ち位置を明確にしていくということが大事だと思っています。

【「FACTA」】
 きょうの党大会で、立憲のユーチューブを2月末までに4万と。今は3万7000くらいで、私も一つ申し込んだが。実は衆議院選挙前、国民もたぶん3万くらいだったが、今は24万くらいだ。要するに、10月の衆議院選挙のうねりを、SNSを含めた空中戦の部分で明らかに後手を引いているのではないか。この中にも、45歳未満の衆議院の先生方が40人近くいると。そうすると、その稼働率も含めて、また、きょうの党大会を見ていても、今、立憲が圧倒的に支持層が少ない20代・30代の人に刺さるようなコンテンツがどれだけあるのかというのが率直なところだ。先ほどの「戦闘モード」というのはまさにこの部分でやらないと次の都議選でも参議院選でもあまりいい結果が出ないのではないかと思うが、この空中戦の遅れについてどうご覧になっているか伺いたい。

【代表】
 広報のチームで一生懸命PRしています。幹事長の下にもチームをつくりましたので、その結果がだんだん出てくるように期待をしたいと思います。

【ニッポン放送】
 前回、野田代表就任のときに私は党内ガバナンスのことについて伺った。野田代表は、13年前の民主党時代のときに比べて、一度決めたことに反することをする政治文化は随分消えてきたと。その上で、丁寧な議論をして意思決定をしていきたいと述べられた。代表就任から5カ月だが、5カ月前に比べて、党内の雰囲気というか、ガバナンスに何か変化を感じられているか。その実感があるかお聞きしたい。

【代表】
 多様性のある政党だと思います。多様性というのは、これは金太郎あめのような集団ではなく、多様な意見があって、それを集約したときには武器になっていくと。いろいろ自分では気づかないことを気づく人たちもいっぱいいるということですから、それは武器にしていかなければいけないと思います。
 その多様性で、それがまとまりがないということには現時点ではなっていないと思いますし、「次の内閣」や常任幹事会の意思決定は、いろいろな議論をしながらも、まとまって対応してきていると思います。

【ニッポン放送】
 先ほど「総合デパート」とおっしゃったが、まとめるにはやはりご苦労もあるのか。

【代表】
 特に私が苦労しているというよりか、皆でそういう気持ちを持ち合ってやっていると思いますが、熟議というのは国会だけではなく党内もそうだと思いますので、丁寧な議論を積み重ねながら合意形成していきたいと思います。

【フリーランス】
 宮嶋さんの質問の関連で伺いたい。目標は4万人で、現在の登録者数は3万7900くらい。呼びかけたときの数が3万5426。1週間たってこの数字で、2500ほど増えているが、25日までにあと2100というのは同じペースでやってもなかなか到達が難しいと思う。一方、各党の登録者数は、ユーチューブだけではないと思うが、立憲民主党だけが極めて少ない3万台で、ほかは大体10万台、れいわなどは2019年から始めて35万3000の登録者数がある。例えば私が会見に出ている国民民主党、立憲民主党、維新のほうを見ると、国民民主党は参加者数がすごく多く、コメントを出している人が、大体同じような顔ぶれの人がいるが、コメントの勢いが榛葉さんの会見などは一番力強いが、立憲民主党になると極端に少なくなる。大体同じ顔ぶれなので、たぶんそれは票に対しては参考にはならないと思うが、関心を持っている層に対してでもこういう状況であり、関心のある層に対してのアピールも弱いのではないか。単に自分たちで正しいことを主張しているとか、いいことなんだからとか、国民のためになるんだからというよりも、むしろ国民が本当に何を求めているのか、そういった国民に刺さるところは何なのか、単なる数字とかそういったものではなく、どういうふうに言えば国民の本当の心に「この政治家は、この政党は、自分たちのために考えてくれるのではないか」と刺さるのかというのが、ほかの政党に比べて見せ方が弱いのではないかと思う。内容については知っていたらものすごくいいことだし国民のためになるとは思うが、一方で、ぱっと聞いただけでは「じゃあ、何なの」という感じで素通りしてしまうようなところがあると思うが、その辺りはいかがお考えか。

【代表】
 これまで発信してきている政策とか、培ってきた考え方、コンテンツについては自信を持っているつもりなのです。発信の仕方が非常に弱いし、工夫が足りないというご指摘は、これはもう受け止めざるを得ない。猛省すべき課題だと思っていますので、何とかもがきながら改善しようと、今やっているところですので、ぜひ引き続きお知恵をおかりできればと思います。

【「FACTA」】
 挨拶を伺いながら、これまではやはり我慢モードというのか、予算を人質に取るようなことは、2012年当時にそんなことがあったような気がするし、そういうことはしないんだと。しかし、予算が通れば、ここからは本当に言論戦の、要するに「戦闘モード」というのか、しかも190人のパワーゲームだとおっしゃっていたが、その190人がこれからどういう形でリアルパワーをやっていくのか。「戦闘モード」というのを、少しお考えを伺いたい。

【代表】
 きょうもちょっと申し上げましたとおり、国会を動かす力はやはり議席の数、リアルパワーだというのが、長い自分なりの政治経験の中で感じてきたことですので、それをやはり生かしていくということ。
 しかも、九つ、衆議院では委員長ポストを握っていますので、それらも生かしていくということが、自分たちの意見を実現していったり、あるいは、それが存在感を示していくという意味では武器になると思いますので、先ほど企業・団体献金の禁止とか選択的夫婦別姓とか言いましたが、そのほかにもいっぱい各委員会転がっているんですよね。実は予算委員会以上に与野党が伯仲していたり、野党のほうが多い委員会とかあるのです。例えば租税特別措置のチェックなどをやると相当にいろいろないいこともできそうだと思っていますので、そういうものを各委員会ごとに洗い出して、戦略的に考えていきたいと思います。

(以上)