2023年環境の日を迎えるにあたって(談話)

立憲民主党 ネクスト環境大臣 近藤昭一

 我が国は、海に囲まれ、豊かな水や森林、温暖で四季の変化に富んだ自然豊かな国です。私たちは、この豊かな自然環境を次の世代に受け継いでいく必要があります。

 しかし地球規模では、気候変動による温暖化は進行し、2027年には産業革命前から1.5度上昇を迎える可能性が指摘され、2100年までに1メートル近く海面上昇すると報告されており、そうなれば日本の大都市でも水没などの多大な影響を受けます。生物の絶滅スピードはかつてないほど加速しており、このままでは生態系のバランスが失われ、病気まん延のリスク増加や食料不足が深刻化します。地球環境はまさに危機的状況であり、経済優先一辺倒からの脱却が求められています。

 一方国内では、かつて多くの環境破壊をもたらした公害による被害者の悲劇と苦難の歴史を乗り越えてきたにもかかわらず、アスベストを含む化学物質による健康被害が続いています。有害性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)が国内各地で検出され、地域住民は環境汚染や健康被害など、強く不安を抱えています。特に地下水や水道水、土壌、大気などを通じて人体に取り込んでしまうことは懸念されているところです。

 例えば沖縄では、水道水や地域住民の血液、子どもが通う小学校の運動所の土からPFOSが検出されました。子どもの飲み水はペットボトル水にするなど各家庭で努力していますが、検出されても対処法がない状況です。PFAS被害について問題提起する各地域の住民からは、希望者への血液検査実施や健康相談窓口の設置、汚染源の追及と、土壌などからの除去の必要性が求められています。

 ところが、日本国内の水道水等のPFOS及びPFOAの目標値は、暫定目標値を示すにとどまり、具体的な対策は自治体に委ねられているため、国として住民の不安に寄り添う政策や具体的な行動が不足している状況です。科学的な因果関係が十分に証明されるまで何ら対策を講じずに被害を拡大させるわけにはいきません。

 戦後公害の原点ともいわれる水俣病問題もいまだに解決していません。被害の救済に辿り着くまで長期間に及んでいる経験から、PFASの問題について、汚染と被害の広がりを確実に把握するための汚染原因の調査や住民の健康調査を早急に行うことが必要であり、水道水の目標値を早期に確定させるなど国民の健康を守ることを最優先とした対応をすべきことは明らかです。

 かつての公害問題の経験については、各地で公害資料館などを中心に、二度と公害を起こしてはいけないとの想いをもって語り継ぐ努力がなされています。しかし、御存命の被害者の方の減少などもあって公害の記憶の喪失が懸念されています。

 立憲民主党は、気候変動対策、生物多様性の保護、循環型社会の形成推進は当然として、PFAS問題を一部地域の問題ではなく、日本全体で対応すべき問題であるとの認識に立ち、健康調査などPFAS被害対策を強力に後押しするとともに、公害の記憶、経験のアーカイブ化を推進してまいります。


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