6月8日、委員長の職権で開かれた参院法務委員会で入管難民法改正案(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案)の採決が行われ、自民・公明両党や、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決しました。

 本法案は、難民認定申請中の外国人について一律に送還を停止する現行ルールに制約を設け、3回目以降は原則として申請中でも送還できるようにする内容が盛り込まれています。

 参院の審議では新たに、大阪入管医師が酩酊状態で外国人収容者を診察した疑いが浮上、ウィシュマさん事件後も入管の医療体制が改善されていないことが明らかになったことに加え、難民審査参与員の審査がまともに行われず、「申請者に難民がほとんどいない」とする立法事実が揺らいでいます。

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 「強行採決反対」「審議続行」などと声が上がるなか、「立憲民主・社民」を代表して討論に立った石川大我議員は、「会派全員の思いを一つにしてこの法案への断固反対を表明する。審議は尽くされた、そんなわけはありません。審議は続行すべき。現段階での採決はありえない。この法案は一般的な法案とは違う。人の命がかかっている」と強調。本法案の成立により、迫害を受けた母国に強制送還され、逮捕され、投獄、拷問、虐殺を受ける恐怖に震えている人が数千人の単位でいる、成立したら強制送還されるから自ら命を絶つと言っている人がいることを知ってほしいと訴えました。

 石川議員は、多くの難民申請者に会い、全国の入管施設で面会して歩いてきたと述べ、政府案に賛成する人と自分たちとの違いを「この法案で失われてしまう命が見えているか、見えていないかだ。与党の皆さんは、入管法改正で苦しむ人々の命が見えていない」と指摘。「人の命を奪う法案には絶対に反対だ」と表明し、討論を締めくくりました。