立憲民主党は6月20日、第3回目の「性被害・児童虐待」に関するヒアリングを国会内で開催。ジャニーズ事務所での性被害当事者である元ジャニーズJr.で現在36歳の中村一也さんから話を聞きました。立憲民主党は、このたびの事案等を受け、子どもの性被害を見かけた場合、警察に通報する義務を盛り込んだ児童虐待防止法の改正案を国会に提出していますが、与党などとの協議が整わず今国会での法改正は見送られました。
中村さんは、ジャニーズ事務所入所の経緯から、研修生としてレッスン前日にマネージャーから連絡が来ることになっているものの、数百人の中から毎週人が入れ替わり、連絡が来なかったらそこで活動終了という中学生としては過酷な状況にあったこと、そしてJr.時代の2002年10月19日、タッキー&翼のコンサートに出演した夜、ジャニー喜多川氏の自宅に泊まった際に性被害に遭ったことを告白。ジャニー氏の性加害をきっかけにジュニアの活動から離れた中村さんは、この事実を知って「訴える」と言う母親に対しては、訴訟を起こすことでより多くの人に知られてしまうと止めるよう話したと言います。今回、実名・顔出しを決意した理由について、「告白をした元ジュニアたちの勇気ある行動に後押しされたから。彼らは芸能界や日本社会における未来の子どもたちを守るために声を上げている。自分もその一助になれたらと思った」と話しました。
ジャニー氏による性的虐待をめぐっては、2004年に少年たちへの性加害の真実性を認める高裁判決が確定したにもかかわらず、その後も放置され会社へのペナルティがなかったことも問題視し、「声を上げられる環境を」と要望。「絶対犯罪」だと断じ、性被害を受けた児童本人が声を上げる難しさを指摘しました。
ジャニーズ事務所は5月下旬、外部専門家による再発防止チームを設置、6月上旬には公式サイトで「第三者委員会としての機能を有している」と対策に理解を求めていましたが、中村さんはジャニーズ事務所からは一切連絡がなかったため、実態調査を求める意味もあって事務所のウェブサイトからコンタクトを取ったところ、謝罪はないままに心のケア相談室からの折り返し連絡があっただけだと説明。「(被害当事者たちが)これだけ声を上げているのにうやむやにされているようで納得がいかない。個人情報までさらされてメリッはトない。真摯(しんし)に向き合った対応をしてほしい」「事実を認めてジャニーズ事務所自体の行動に起こしてほしい」と求めました。
ヒアリングには、ジャニーズ事務所の性加害問題を受け設置された政府の関係府省連絡会議の内閣府・こども家庭庁・警察庁・法務省・文科省・厚労省の担当職員も参加。6月13日に第1回会議を開き、声を上げやすい環境づくり、心理的サポートを含めた被害者支援の充実に向けて有識者や支援者からのヒアリングを実施、来月の中頃をめどに対策強化策を示す方針だと述べる一方、対応については消極的な姿勢に終始し、児童虐待防止法改正を検討の対象とするかの質問にも答えませんでした。
中村さんは、政府に対しても、もっと積極的な対応をしてほしい要望。「これだけ声を上げているので法改正はぜひ実現していただきたいが、検討という形で逃げられてばかりで話にならない」と悔しさをにじませました。