2023年1月23日から6月21日まで開会した第211回通常国会では、政府が提出した法案等70本のうち、立憲民主党は80%に賛成しました。

※議員立法提出数=立憲民主党が提出会派の議員立法数+委員長提案の議員立法数

●211国会提出議員立法内訳 立憲民主党単独13本 野党共同16本 委員長提案12本

●提出41本のうち、成立12本、継続審査25本、否決1本、未了(廃案)3本

●未了3本=参議院に提出した3法案
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案
 難民等の保護に関する法律案
 入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案

●否決1本=LGBT理解増進法(議連案を立憲民主党が提出したもの)
 性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案

※修正案の提出は6本(衆議院5本、参議院1本)で、うち3本が可決しました。
可決された修正案3本は以下の通りです。
( (1)(2)=衆議院、(3)参議院 )( (3)については原案反対 )

(1)新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対する修正案

(2)刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する修正案 ※関連記事

(3)脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案に対する修正案

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立憲民主党が提出した議員立法は41法案です。そのうち12法案が成立しています。

立憲民主党提出法案はこちらをご覧ください。

【立憲民主党が反対した閣法】

・新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案
(反対理由)危機管理には、コロナ対策の検証と、エビデンスや専門家の知見を活かす司令塔機能の強化が必要であるが、新設の感染症危機管理統括庁は、専門性がなく、指揮命令系統も複雑であり、機動的かつ強力な司令塔機能とはなっていない。また、内閣官房の所掌事務が無制限に拡大する可能性があり、業務肥大化・行政改革の観点からも問題がある。

・脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案
(反対理由)政労使が脱炭素化に加速度的に取り組むための公的資金面も含めた支援の主旨は十分理解できるが、GX経済移行債で調達される政府資金が原子力発電所の新増設に関わる投資にも向かう点は我が党の基本政策に抵触するほか、GX推進戦略やGX経済移行債への国会関与のあり方などに課題がある。

・脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案
(反対理由)再エネの導入拡大支援は十分評価できるが、原子力発電の運転期間のさらなる延長を可能とすることは安全性に疑問があり、原則40年の運転制限制が骨抜きになるため。また原子力規制委員会の独立性を損なうおそれがあるほか、原子力発電利用に係る価値の明確化は我が党が目指す原子力エネルギーに依存しない社会の実現とは相容れない。

・国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案
(反対理由)住民への充分な説明や合意形成がないこと、住民のプライバシーの侵害の恐れがあること、強力な監視社会なるのではないかなど、スーパーシティ構想の問題点は何も解決されていない。法人の農地取得の全国展開について、目的外使用や転売又は開発行為等により農地が荒廃するのではないかなどといった懸念も解消されていない。

・行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案
(反対理由)国民皆保険制度を掘り崩す健康保険証の廃止、マイナンバーの利用事務や情報連携先のなし崩し的な拡大、公金受取口座登録のオプトアウト方式の導入に反対。「束ね法案」の審議のあり方に重大な疑義。マイナカードを巡るトラブルの続発は、制度の信頼を根底から揺るがしかねず、国民の不安や懸念を払拭するのが先。

・地方税法等の一部を改正する法律案
(反対理由)現在、6対4となっている国税と地方税の割合について、いまだ抜本的な税源移譲が行われていない。問題の多い「ふるさと納税」の抜本的な見直しが行われていない。森林環境税及び森林環境譲与税について、使途や譲与基準の見直しが行われていない。自動車関係諸税の見直しが不十分である。

・裁判所職員定員法の一部を改正する法律案
(反対理由)裁判官の定員管理などについて、昨年の附帯決議で政府の取り組みを求めたが、この間の対応は不十分であった。本法案は司法制度改革の失敗を象徴するもので、反対した。

・出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案
(反対理由)国際社会から繰り返し批判されている現行の難民認定制度や収容送還制度を抜本的に見直すことが求められていたが、本法案では何ら対応がなされなかった。難民認定申請の回数を2回までに制限することは、保護されるべき難民が生命を脅威にさらされる領域に送還されかねず問題である。また、退去命令違反に罰則を創設することが、長期収容の解消につながるか大いに疑問である。

・我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案
(反対理由)政府は、今後5年間で総額43兆円規模の巨額防衛費を確保するために、約17.1兆円が追加で必要になるとしている。しかし、「財源の確保」を名乗りながら、本法案で確保されるのは3.4兆円の税外収入のみで、残る大部分の財源の確保に関する規定は全く存在しない。国民に負担をお願いする立場でありながら、このような生煮えの欠陥法案を提出すること自体、国会軽視であり、本来的には廃案にすべきものである。

・所得税法等の一部を改正する法律案
(反対理由)本法案では、インボイス制度について、免税事業者がインボイス発行事業者(課税事業者)になる場合に消費税の納税額を抑える措置等が盛り込まれたが、これらは経過措置であり、根本的な解決とはなっていない。また、NISA制度の抜本的拡充自体は否定しないが、金融所得の低率分離課税により生じている「1億円の壁」の解消策は示されず、格差是正の取り組みが極めて不十分である。

・全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案
(反対理由)本法案は、社会保障の根本的な問題に手を付けず、かかりつけ医の規定も今と何が変わるのか分からない不十分なものである。また、本法案は後期高齢者医療制度が出産育児一時金の費用の一部を支援する仕組みを盛り込んでいる。しかし、政府が法案の審議中に出産費用の保険適用の導入検討の方針を示したため、法案の前提が変わり、政府の方針が不明確になった。

・国立健康危機管理機構法案
・国立健康危機管理機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
(反対理由)本法案で創設する機構は、米国CDCと比べて、人員や予算、所管分野等の面で見劣りし、岸田総理が言う「日本版CDC」と呼べる組織になっていない。また、本法案は、機構が地方衛生研究所等に対して研修等の支援を行うこと等を規定しているが、地方衛生研究所等の法的根拠は曖昧なままで、感染症対策において重要な役割を担う地方衛生研究所等の体制強化が期待できない。

・道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案
(反対理由)政府は2005年の道路公団民営化によって、高速道路債務の確実な返済と無料化を国民に約束したものの、今後92年間もの長期にわたって料金徴収期限を延長し、事実上無料化を放棄した。責任ある高速道路整備政策について国民の納得を得るプロセスから目を背け、未来世代への責任を果たすことから逃げた政府の姿勢は到底許容できない。