独立行政法人国立科学博物館は8月7日、「クラウドファンディング(CF)」を開始(募集期間は11月5日23時まで)。オリジナル図録やトートバックなどの返礼品(リターン)が話題となり、わずか9時間で目標の1億円を達成、本日時点で4.3万人超からの支援で計約7億104万円を集めています。

 立憲民主党はこれを受けて22日、会派文部科学部門会議(部門長:菊田真紀子衆院議員)を国会内で開催。国立科学博物館からCFに至る経緯や寄付の状況について、文化庁から国立の博物館等の経営状況についてヒアリングしました。

 今回のCFプロジェクト「地球の宝を守れ/国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ」は、国立科学博物館の3つのミッション「「調査研究」「展示・学習支援」「標本・資料の収集・保管」のうち、その根幹である「標本・資料の収集・保管」が昨今のコロナ禍や光熱費、原材料費の高騰によって、資金的に大きな危機にさらされていることに加え、今後も安定的に活動を続けていくためもの。「#地球の宝を守れ」を合言葉に支援を呼びかけています。国立科学博物館理事の栗原さんは「自助努力や国からの支援だけでは(資金が)追い付かない」と実施に至った経緯を説明。予想を上回る額が集まっていることには、コレクションをより活用する形で、全国の美術館、科学博物館等で分散開示するなど総合的に考えていくと話しました。

 質疑応答では、物価の高騰等は運営に欠かせない基盤的経費との認識のもと、予備費や補正予算で対応する考えはないかとの声や、説明のあった筑波研究施設の収蔵庫の様子に「500万点もあっても一般の皆さんに観ていただく機会がないと何のために収蔵しているのかという批判も出てくる。国も責任をもって新設していくべき」「毎年8万点ずつ増えていくのに対してどのような体制を取る考えなのか」等の意見が上がりました。

 熊谷裕人参院議員は「今回のCFに7億円も集まったのは、国に『もっとしっかり予算を付けろ』という国民の皆さんの叱咤激励もあると思う。国民の声を背に受けてしっかりと予算要求してもらえるとありがたい。われわれも必要があれば後押しをしていきたい」と発言。菊田衆院議員は「今回破格の額が集まったのは、『日本の宝を守れ』『日本の科学技術を守れ』という、国民の皆さんの危機感の表れだと思う。ここに甘んじてはならず、基盤経費等必要なものは付けていく。何でもかんでもCF、自助努力で頑張ってくださいというのは大変だ。一方で、独立行政法人としての今回の先進的な取り組みが全国にいい形で波及していくことも期待していきたい」と力を込めました。