医療のDXは喫緊の課題であり、立憲民主党は、国民の管理が目的ではなく、国民の利便性を向上させることを最優先にした医療分野のデジタル化を推進する立場です。しかし政府は、2024年秋の健康保険証廃止を打ち上げるなど、いわゆるマイナ保険証の普及第一の拙速・強引な取組みによって、マイナ保険証の利用率は低迷し、かえって医療DXの信頼を損ねています。そこで、立憲民主党はマイナンバー在り方検討プロジェクトチーム(座長:逢坂誠二衆院議員、事務局長:奥野総一郎衆院議員)において「マイナ保険証に関する基本的考え方」を取りまとめ、10月12日の泉「次の内閣」閣議で了承しました。

マイナ保険証に関する基本的考え方(2023年10月12日).pdf

 「不安払拭なくしてデジタル化なし」であり、「マイナ保険証に関する基本的考え方」では総論において国民皆保険の下、患者が医療を受ける権利を最大限に尊重するとともに、高齢者や障がい者などに対して万全の対応を行い、アナログによる手段を一定期間並存させることで、真に「誰一人取り残されない」仕組みとすることを求めています。そして基本原則として、(1)患者本位で、個人がより納得し、メリットを享受できる医療の実現のための仕組みとすること、(2)自己の医療等情報や当該情報へのアクセス履歴は、本人が確実に確認できること、(3)患者が医療機関で受診する際に、他の医療機関で受診した際などの医療等情報を活用する場合は、メリット、デメリットを分かりやすく説明するとともに、分かりやすい方法で本人の了解を得ること、(4)医療情報は、個々人の機微に触れる問題でもあり、他の情報よりも特別厳格な情報保護を行うことを挙げています。

 また、マイナ保険証のあり方として、(1)一定の条件が整うまで現在の保険証を存続させること、(2)マイナンバーカードの取得が申請主義であることを踏まえ、マイナ保険証の利用はリスクと便益を自分で判断して決めるべきであり、本人の選択制とすること、(3)マイナ保険証に紐付ける情報範囲の拡大は慎重に行うとともに、情報の紐付けとその活用はあくまでも本人の了解を条件とすること、(4)先進的な諸外国の例(例えば、デンマーク等)や専門家の知見なども参考にして、現在のマイナ保険証以外で情報管理がさらに厳格な仕組みの導入も早急に検討することを盛り込んでいます。

 そのうえで、マイナ保険証の進め方について、(1)さまざまなトラブルの原因把握と対応策を講じること、(2)2024年秋の保険証の廃止の延期、(3)マイナ保険証を利用しないと不利になることは行わないこと、(4)高齢者や障がい者など医療ニーズが高い人が排除されないようにすること、(5)DV・ストーカー・虐待等被害者が取り残されないよう適切な対応策を講じること、(6)マイナ保険証に関する政府の考え方を総点検し国民の多くが納得できる手順と日程を再構築することなどを求めています。

 立憲民主党は、「マイナ保険証に関する基本的考え方」に基づき、次期臨時国会冒頭に「保険証廃止延期法案」を提出することを予定しています。また、マイナンバー在り方検討プロジェクトチームは、今後、マイナンバー制度及びマイナンバーカードの問題点や課題について検討を進め見解をまとめることにしています。