衆院本会議で11月7日、国立大学法人法の一部を改正する法律案の趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主党・無所属を代表して菊田真紀子議員が質疑に立ちました。

 本改正案は、(1)事業規模が特に大きい国立大学法人について運営方針会議の設置(2)国立大学法人等が長期借入金と債券発行ができるといった資金調達範囲の拡大と、土地等の貸付けに関する届出制の導入(3)東京医科歯科大学と東京工業大学の統合――を軸とするもの。

 なお、運営方針会議の委員は、文部科学大臣の承認を得た上で学長が任命・解任することとしています。

 菊田議員は、大学のあり方を根本から変える法案であり「大学関係者の意見を十分に聞くこともなく拙速に結論を出すべきではありません」と述べ、慎重かつ丁寧な審議を強く求めました。

 菊田議員は、2020年に菅総理(当時)が日本学術会議の会員任命を拒否したことを取り上げ、運営方針委員の任命に文部科学大臣の承認を必要としている理由と、大学の自治・学問の自由に対する不当な介入につながることはないと断言できるのか問いました。

 盛山文部科学大臣は、学長の決定権限の一部を営方針会議に移譲するため、文科大臣が学長を任命する現行制度上の趣旨を勘案し、主務大臣の関与として大臣が承認する手続きを規定していると説明。大学の自主性・自律性に鑑み、学長任命の規定にならい承認は申し出に基づいて行うものと規定していると述べました。

 大学の統廃合推進の流れに関連し菊田議員は、短期的な成果や経済波及効果に偏重せず、多様な分野の研究を支援する息の長い取り組みも国家にとって必要だと述べ、大学の基盤的経費である運営費交付金や私学助成を増額すべきと指摘しました。

 また、光熱費や物価高騰に円安まで重なり、学費の値上げに踏み切っている私立大学が相次いでいるとした上で、東京や関西の3000人以上の大学と比べ、地方に多い300人未満の小規模大学で値上げを行う大学は少ないと指摘。安易に統廃合を促すようなことはせず、地方の大学への支援を手厚くする考えがあるかただしました。

 盛山文部科学大臣は、増額について「前年度と同額程度」と述べるにとどまり、地方大学への支援については、現状の説明に終始し踏み込んだ答弁はありませんでした。

 自見地方創生担当大臣は、現状の支援について説明。「今後とも地方創生の観点から、地方大学の活性化に向けた支援を積極的に進めて参ります」と表面的な答弁にとどまりました。

 また今回の質問では、冒頭に山田太郎文部科学大臣政務官と柿沢未途法務副大臣の辞任に触れ、「女性との不適切な関係を持つ人物を『青少年の健全な育成の推進に関すること』を所掌する文部科学省の大臣政務官に任命し、選挙違反を主導する人物を『法秩序の維持』を任務とする法務省の副大臣に任命する人事のどこが『適材適所』なのか」と厳しく指摘しました。

「国立大学法人法改正案」菊田真紀子本会議原稿_最終稿.pdf

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