岡田克也幹事長は11月28日、国会内で記者会見を開き、(1)自民党派閥の献金問題(2)消費税減税に関する発言――等について言及しました。

(1)自民党派閥の献金問題

 岡田幹事長は、自民党の派閥の献金の問題について、一つの問題点として、「政治団体からのパーティ券の購入について、政治団体が発表した数字と各派閥の数字が異なっている。訂正したということになっているが、政治団体にとどまるのかどうか。仮にミスによって起きたと信じるなら、同じようなミスが企業についても起きている可能性が高い。20万円以上購入しても記載されていない可能性があることになるので、しっかり確認する必要がある」と述べました。

 二つ目として、「過少申告の疑念がある。通帳などに当たればある程度のことが把握できるはずだ」と述べました。

 岡田幹事長は、「『訂正した』『聞いている』と言う発言をなされるが、派閥のトップ、事務総長が検証して、はっきりと断言すべき」「政治に対する不信感は除去できない」「総理の指示もそういう趣旨で受け取った。各派閥の自ら点検をして、そういった疑惑がないということを断言することが議論の大前提」と述べました。

(2)消費税減税に関する発言

 岡田幹事長は、日曜討論での消費税についての自身の発言について誤解がないよう説明するとして、「今回の物価対策として消費税の減税は考えられない」「法改正等を要するため短期的な経済対策としてなじまない」とこれまでの党の考えを発言したことを強調しました。


岡田克也幹事長記者会見

2023年11月28日(火)15時00分~15時22分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/CY6JuXsL-iA


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○予算委論戦 自民5派閥の収入不記載問題について

【幹事長】
 私からは冒頭2点。
 第1点は、予算審議、参議院の議論も含めて見ておりますと、自民党の派閥の、献金、パーティーの問題がしばしば取り上げられております。これは前も会見で申し上げたと思いますが、基本的に二つの問題があるということです。
 一つは、政治団体のパーティー券の購入については、政治団体が発表した数字と各派閥の数字が異なっているということで問題になったわけでありますが、そして、それは訂正したということになっておりますが、問題は、政治団体にとどまるのかどうかということです。仮にミスによってそういうことが起こったという説明を信じるとすると、同じようなミスは会社(購入分)についても起きている可能性が高いと考えるのが普通だと思います。したがって、会社についても、20万円以上購入した会社について、それが(政治資金収支報告書に)記載されていないということは常識的に言うとあるというふうに考えざるを得ないので、それがあるかないかをしっかり確認することが求められていると思います。
 もう一点は、過少申告というか、パーティー券の売上げがそのままきちんと収支報告に記載されていないのではないかという、そういう疑問であります。これについても、通帳などを当たればある程度のことは把握できるはずであります。
 今まで、訂正をしたとか、聞いているとか、そういう表現がなされるわけですが、これはやはり各派閥のトップあるいは事務総長が自らきちんと検証して、聞いているではなく、ないならないとはっきりと公の面前で断言されることが必要だと、そうでなければ政治に対する不信感というのは除去できないと思っております。総理の指示もそういう趣旨で私は受け取っておりまして、各派閥のトップないしは事務総長が自ら点検をして、自らの言葉で、そういった疑惑はないと、先ほど申し上げた2点について、ないということを断言されることが議論の大前提だと思っております。現時点ではそういうことになっておりませんので、誰かに責任転嫁できるような、そういう言い方で逃げている限りは、それが真実であるということは非常に疑わしいと言わざるを得ないと思います。

○「物価高を克服するための緊急経済対策」について

【幹事長】
 2点目は、さきの「日曜討論」で私が消費税について発言したことについて、若干、ネットの世界でいろいろと報道されております。
 これは誤解があってはならないので申し上げるわけですが、私が申し上げたのは、この物価対策として消費税の減税というのは考えられないと思いますというふうに、「この物価対策として」というのは、つまり今回の物価対策であります。その上で、所得税の減税と同じように時間がかかる、したがって我々は、その7兆円の中に含まれていないということを言ったもので、何か新しいことをもちろん言ったものではありません。もうそのことは、その場のやり取りを見ていただければ明らかだと思っております。
 先般、11月22日、長妻さんが「一連の報道について」ということで3点にわたって考え方を整理した紙を出されました。これは私も事前に相談を受けて確認をしたものであります。ここの、一、二、三の2番目のところ、「現時点においては、党として、今年度中(2023.10から2024.3)を射程においた緊急経済対策を議論の上でまとめ、給付金支給やガソリン減税などを盛り込んだ総額7.6兆円の対策を公表・決定したところである。この中に消費税の減税は含まれていないが、これは法改正等を要するため短期的な経済対策(今年度中の対策)としてなじまないという理由によるものである」と。このことを私もなぞって発言をしたということであります。何か新しいことを言ったものではもちろんございません。
 衆議院選挙公約策定については、これは別途決定していくということになるというのは、長妻ペーパーの三のところで述べているとおりであります。


■質疑

○予算委論戦について(1)

【読売新聞】
 まだ予算委員会やってはいるが、総括というか、この岸田政権でいろいろな課題が逆に多くある中で、どういった点を集中的にやってきて、その結果として、総理の答弁などを聞いて現在岡田幹事長が考えられていること、印象に残っていることがあれば教えていただきたい。

【幹事長】
 いろいろなことが話題になりました。万博のこともそうですし、防衛費の話もきのう議論になりました。子ども対策の財源の問題。負担増になるのかならないのか。
 いろいろな疑問に対して、きちんと答えておられないと思います。もう少しきちんと答えられないと国民の信頼は戻ってこないと思っています。

○自民5派閥の収入不記載問題について(1)

【NHK】
 1点目、冒頭にもあったが、政治と金の問題で、翻ってみると、この派閥のことだけではなく、政治と金の問題で三役が辞任されたりということもあった。国民の信頼という点において、どのような影響を与えているかというところは、どのように感じられるか。

【幹事長】
 政治家個人が、もちろん(政務)三役であったりするわけですが、いろいろな不適切な対応をしていたということがあるという話と、派閥が組織ぐるみで何かやっていたかもしれないという話は、ちょっと次元が異なるのだと思います。しかも、全ての派閥にこれはわたっているわけですから、やはりここはしっかりと説明し切らないと、政治不信、派閥に対する、あるいは、その派閥の集合体である自民党に対する政治不信というのは取り除けない。
 そういう意味で、訂正しましたとか、あるいは、適正であると聞いているとか、そういう言い方を派閥のトップなり事務総長が言うというのは、全く説明になっていない。そこをきちんと説明しないと国民の不信は拭えないということは強調しておきたいと思います。

○旧統一教会財産保全法案について

【NHK】
 加えて、別件だが、旧統一教会の、救済に向けた法案で、二つの法案が出されており、審査入りし、金曜日には連合審査も控えている。自民・公明・国民の案にはどのような課題があり、どのように協議を進めていきたいか、お考えがもしあれば教えていただきたい。

【幹事長】
 自民・公明・国民の案を我々は否定しているものではありません。もちろん、例えば義務を果たさないときに、どういう問題、例えば罰則とかですね、担保するための措置が十分なされているかどうかというと、とてもそうは思えないわけです。だから、そういうところの問題はありますが、法テラスの強化の問題も含めて、そこの部分については、法律が必要かどうかは別にして、決して否定されるものではないと思います。
 しかし、その話と財産保全の話は全く違う話なので、やはり財産保全のための法律は、これは絶対に必要だと考えております。
 憲法違反、「日曜討論」でも公明党の方から信教の自由に反するというご指摘がありましたが、これは見当違いだと思います。信教の自由になぜ反するのか。これは財産を保全しているだけなので、それが憲法違反というのは理解し難いことです。例えば教会の施設を使用することは別に制約されていないので、それを売却したり担保権を設定することが制約されるということで、それが信仰の自由に反するというのは全く理解し難いことであります。
 それから、国も解散命令を出すようにということで裁判所に訴えたわけです。解散命令が確定しますと当然清算手続に入る。管財人も設定されて、まさしく財産が清算されるわけです。その前段階で、そこに至るまでの過程で自由に財産を処分して、金庫が空っぽになっても、結局それになすすべもないというのは、明らかに法律として整合性を欠いていると思います。したがって、一定の保全のための法律は必要だと。これは論理必然的にそういうことだと思っています。
 自民党の中にもそういうふうに思っている方は結構いらっしゃるのだと私は思っております。したがって、しっかり話合いをすれば、歩み寄りの余地は十分にある。ただ、問題は日程があまりないことなので、非常に急がれる話だと思っています。ぜひテーブルに着いて、歩み寄ってやっていただきたいと思います。

【朝日新聞】
 今の質問に関連して。そうすると、今の与党と国民民主党の案との間にはまだ隔たりがあると思うが、幹事長がおっしゃる財産保全の規定がない限りは、例えば見直し規定とか、何か附帯で今後も引き続き見直しを続けるみたいなことでは、とてもちょっと折り合えないという認識でよろしいか。

【幹事長】
 もちろんこれから話合いをしますので、あまりこう入口から結論を言うつもりはありませんが、もしそういった保全の法律がないときに、実際に訴えて、実は私の地元・四日市でも90歳の女性の方が1億4000万の賠償請求を決断されて裁判所に訴えるということが決まりました。そういうふうにして、裁判は時間がかかりますよね。そのときに実際に金庫の中が空っぽだったということになったら、これは二重に、大変なエネルギーを使って裁判を起こして、しかも結局何も取り戻せなかったということになると、これは二重のペナルティのような、そういうことになってしまいます。

○補正予算案への対応について

【朝日新聞】
 別件だが、この間の補正予算案の賛否に関して、衆院を通過する際、国民民主党は賛成、維新も万博のこともあり賛成に回った。こうした2党の対応についての評価をお願いしたい。また、それに加え、立憲民主党、野党第1党としての立場だが、本来野党が一枚岩になって与党と対峙するというのが国会のあり方としてもいいのではないかと思うが、そうしたことに対する影響も含めてお答えいただきたい。

【幹事長】
 非常に残念なことです。
 維新は、やはり万博予算がいわば人質になってしまったと。予算委員会のやり取りを聞いていますと当然反対するんだろうなというふうに思っておりましたが、最終的にそうはならなかったというのは、やはり万博予算というのが大きかったんだなと思っています。
 国民民主党は、ガソリン価格の暫定税率、この問題で交渉に入るということで賛成に回られたようですが、もちろん、このガソリンの暫定税率を一定の範囲の中で停止するというのは私たちも求めていることなので、その交渉が進むことは歓迎したいと思いますが、それと補正の話というのはリンクする話ではないと思います。
 かつ、総理も玉木代表も、総理も交渉を始めると言った以上は、交渉したけれども結論は出ませんでしたという、昨年のようなことは、2回繰り返したとしたら、それは総理ご自身の責任。それから、玉木さん自身も、それをもって予算案に賛成すると言った以上、認められないということになれば、それまた、いわば政治生命を懸けてやっておられる話だと思いますので、ここまで来た以上は認めないという結論はないのだろうと思っていますが、期待していますが、自民党税調の話などを聞いていますと少し距離があるようで、年末、相当大議論になるんだろうなと思っています。

【朝日新聞】
 立憲民主党として、野党として一枚岩になれないことについては、何か影響があるとお考えか。

【幹事長】
 自民党さん、あるいは政府は、いろいろ手を尽くして(野党の)分断に入っていると。それに残念ながら乗せられる形になっているということだと思います。

○自民5派閥の収入不記載問題について(2)

【朝日新聞】
 もう一つだけ。政治資金規正法、パーティー券の問題に関してだが、現段階でもしお考えがあればだが、立憲民主党として政治資金規正法そのものをもっと見直すというような働きかけとか動きということは今のところ考えはあるか。

【幹事長】
 そういう議論は当然あります。我々は、パーティー、献金について、これ(企業・団体によるパーティー券購入や献金)を認めないという基本的スタンスです。
 特に、やはり献金は5万円で名前が出ます。パーティーは20万円です。いろいろな意味でパーティーのほうが緩いのですね、仕組みとして。そういうものについて、少なくとも政治献金と同じレベルで規制していくということは私は必要なことではないかと思います。
 今回のことも、はしなくも、その緩さというものが表に出てしまった事案だと思っています。

○予算委論戦について(2)

【毎日新聞】
 きのう河野大臣が予算委の最中にスマートフォンを使って答弁したことで、予算委員長から注意を受けることがあった。玉木代表などはルールを見直す方向で議論してもいいというような趣旨の話をされているが、立憲民主党、また、岡田幹事長のお考えとしてはいかがか。

【幹事長】
 幹事長のレベルですぐに答えを言うような話ではないと思います。必要があれば議運の場でしっかり議論されればいいと思います。

【毎日新聞】
 議運の場で議論していくことに関しては、特に。

【幹事長】
 ただ、質疑中にスマートフォンをいじって検索して答えを見つけると、当然質疑時間って制約されますよね。そういうやり方がいいかどうかというのは、私は、簡単に認められる話ではないだろうと思っています。

○「物価高を克服するための緊急経済対策」について

【時事通信】
 冒頭の消費税のことについて伺いたい。昨年に出した消費税の減税法案について、そのときも物価高騰というところが背景というか理由だったと思うが、今回の経済対策に盛り込まなかった理由との整合性を改めて伺いたいのと、消費税減税については長期的には党として訴える可能性、余地があるということなのか。その辺について伺いたい。

【幹事長】
 減税については、先ほどの紙に書いたとおりです。一、二、三、きちんと書かれていますので、お読みください。
 それから、今回、補正について我々は議論して、この補正に関して、3月までということですので、先ほど言いましたように、これから法律改正してということになると、それはとても3月までに間に合いませんので、そういう意味で今回の経済対策に含めることは適切ではないと判断したものであります。

【時事通信】
 あわせて、きょう夕方に税調のほうでも議論があるが、今後、消費税に関して、さまざまな意見が党内にあると思うが、党としてどういうふうに議論をまとめていきたいか、長期的にどういうふうに考えているか伺いたい。

【幹事長】
 先ほどの紙に書いてあるとおりです。

○大阪・関西万博 更なる国費負担について

【共同通信】
 冒頭も少し万博のことに触れられたかと思うが、きのうの予算委員会で自見万博大臣が、万博の費用について、更に800億円、会場整備費とは別に837億円、国の負担が増えるというか、837億円に負担が上ると明らかにした。これまでも全体像がなかなか示されないような印象もあるが、こういった政府の答弁、姿勢についてどうお考えか。

【幹事長】
 まず、自見大臣の言われたことは、予算書に書かれている内容を述べられたものだと私は理解しております。補正予算の、その予算書の中に。
 たしか九百何十億という数字だったと思うのですね、全体で。私の記憶に間違いがなければ。その中には、債務負担行為、約200億も含まれていると。これは警備費用ということですね。ということですが、では、(会場整備費の)500億のプラス、3分の1だと、その3分の1の額がどこかに計上されているはずですよね、政府が負担するのは。それが予算書を見てもよくわからないので、もう少しきちんと整理して、全体の3者で分担して負担する新たな500億の話、それから、(会場整備費に含まれない)日本館についても当初予算に計上されているはずですから、今回追加的に出てきたものは、例えば物価の上昇をどう見て、数字をなぜプラスアルファで多額の金額を計上したのかとか、相当しっかりと聞かないとわからない話ですから、それをわかりやすく、そもそもの全体像から、トータルで幾らかかって、そのうちそれぞれの項目についてどうで、当初予算はこうで、各年度の当初予算、そして補正予算、わかりやすく説明する責任が当然あると思っています。