岡田克也幹事長は12月5日、国会内で会見を開き、(1)常任幹事会の報告(2)旧統一教会の財産流出を防ぐ法案(3)自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題――等について発言しました。
(1)常任幹事会の報告
特別職給与法改正に伴う期末手当増額分を寄付する件について、岡田幹事長は、総額約2490万円のうち、国内分野として社会福祉法人中央共同募金会「赤い羽根共同募金」に約1490万円、海外分野として特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム「緊急災害支援基金」に1000万円を寄付する旨を報告しました。
女性活躍推進法に照らした党の取り組みとして、女性の活躍がさらに推進されるよう、2025年末までに党職員の管理職に占める女性割合・各部局における女性割合・全体における女性割合のいずれも35%以上とするなど、目標値を決めて実現していくと述べました。
次期衆院選に向けた候補者の公認内定について、埼玉8区に市來伴子さん(新・元杉並区議会議員)、埼玉11区に島田誠さん(新・元寄居町長)、東京18区に松下玲子さん(新・元武蔵野市長)、兵庫7区に岡田悟さん(新・ダイヤモンド社記者)の4人を決定したことを報告。合計で169名(選挙区168名)が決まっています。
(2)旧統一教会の財産流出を防ぐ法案
同日、衆院本会議で自民・公明、国民3党提出の法案が可決したことに関連し、「財産全体の保全は極めて不十分」としたうえで「われわれの望む修正の一部が実現したこともあり、『無いよりは当然あった方が良い』ということで賛成した」と述べました。
同日の日弁連との意見交換でも「両方の法律(自民・公明、国民案、立憲・維新案)を成立させてもらいたい」との話があったと語り、参院での審議もあることから「どこまではっきりした答弁をとるか」も重視していきたいと述べました。
(3)自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題
「問題は不記載、裏金かということ」と述べ、キックバックした分の不記載だけでなく、実際の売り上げよりも少ない金額を記載していた可能性にも言及し、「いまのところ派閥の問題ではあるが、広がりから見るとリクルート事件に匹敵する」と語り、「自浄作用をしっかり発揮しなければ国民から自民党そのものが否定されることになりかねない状況だ」と指摘しました。
岡田克也幹事長記者会見
2023年12月5日(火)17時03分~17時24分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/076uT48pde0
■冒頭発言
■質疑
- 旧統一教会系団体トップと首相の面会について(1)
- 自民党派閥のパーティー券問題について
- 教育無償化を実現する会について
- 旧統一教会系団体トップと首相の面会について(2)
- 終盤国会の対応について
- 「日露核廃棄支援協定」「大阪・関西万博の建設費問題」等について
■冒頭発言
○第90回常任幹事会を開催
【幹事長】
まず、常任幹事会の報告です。3点申し上げたいと思います。
第1点は、先般の特別職の給与法改正に伴う期末手当増額分の寄附ということで、寄附する方針は既に常任幹事会において決定されておりますが、その寄附する先について、きょうご承認をいただきました。全体で2490万円という非常に大きなお金でございます。1490万円は社会福祉法人中央共同募金会「赤い羽根共同募金」に、そして、海外分野として1000万円を特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームに寄附をしたいと考えております。改めて代表のほうから、それぞれに出向いてセレモニー的なことを考えたいと思いますので、そのときにはぜひ取材をお願い申し上げたいと思います。
2番目ですが、資料をご覧いただければと思いますが、女性活躍推進法に照らした立憲民主党の取組についてということであります。101名以上の従業員、働く人のいる、そういう組織については一定の届出などが求められております。我が党はそこには至らないのですが、党としての目標を定め、女性の活躍が更に推進されるようにしたいと思っております。お手元に資料があるかと思いますが、参考資料のところをご覧いただきますと、現状の数字が下段に書いてあります。他党と比べると、例えば公明党さんと比べたら、女性の割合(は高いが)、我が党は全体で32.6%、管理職は29.3%であります。賃金格差は96.3%、育休の取得は女性は100%などなどとなっております。これを更に、25年末までの2年間で、管理職に占める女性割合あるいは各部局における女性割合をいずれも35%以上に引き上げる、党職員全体に占める女性の割合も35%以上などなど、目標値を定めて、それを実現していくということをきょう確認したところでございます。これが第2点です。
第3点は、次の衆議院選挙に向けての候補者の公認内定4名であります。資料がお手元にあるかと思いますが、まずは埼玉8区、市來伴子さん。現在は大河原雅子さんの政策秘書をやっていただいていますが、元杉並区議会議員、我が党の山梨県における国政の候補者でもありました。ここは所沢の小選挙で現職を破って元我が党の候補者が市長になるという、そういう選挙区が含まれております。ここに市來さんを充てるということが一点。
第2点は、埼玉11区、前回も出ていただいた島田誠さんであります。元町長であります。
第3点が、東京18区、菅(直人)さんが現職でおられますが、その後を、前武蔵野市長である松下玲子さん。
そして、兵庫第7区、岡田悟さん。元毎日新聞の記者、東京本社の経済部の記者でありました。現在はダイヤモンド社のビジネスメディア局、「週刊ダイヤモンド」編集部の記者であります。休職で選挙に臨んでいただきます。
この4名が決まりまして、これで衆議院議員の候補者としては169名、選挙区では168名ということになります。
以上が常幹のご報告であります。
○旧統一教会財産散逸防止特例法案の衆院通過を受けて
【幹事長】
それから、それ以外のことについて。
もう既に旧統一教会の財産保全法については先ほど代表がだいぶお話しになりましたので、繰り返すことはございません。財産全体の保全は極めて不十分だと思っておりますが、与党案に、与党と国民民主党の案について、我々の望む修正を一部実現した上で、ないよりは当然あったほうがいいということで賛成をいたしました。
ただ、それで十分だとは全く思っておりません。附則の中に見直し規定も入っていますが、それで間に合うかどうか、非常に懸念をしているところであります。
きょう日弁連の会長を初め役員の皆さんとの意見交換がありましたが、その時点で日弁連のほうからも両方の法律を成立させてもらいたいというお話がございました。そこに至らなかったのは非常に残念ですが、なおここはしっかり状況をウォッチしながら臨機応変に対応できるようにしていきたいと思います。まだ参議院での審議が残されておりますので、ここでどこまではっきりとした発言・答弁を取るかということも重視していきたいと思っているところであります。
○自民党派閥のパーティー券問題について
【幹事長】
それから、自民党のパーティーの話ですが、いろいろな人がいろいろなことを言って、やや議論が混乱していますが、問題は、不記載、裏金化ということであります。
どういう不記載があったかというのは幾つかのバリエーションがあるようですが、おそらく、たくさんパーティー券を売り過ぎて、その戻りの不記載というだけではなく、派閥そのものの不記載、つまり実際のパーティーの売上げよりも少ない額を記載していた可能性もあるのではないかと思っております。つまり、派閥の裏金づくりですね。そういうこともあり得るのではないかと思っております。
私は、これは本当に自民党の、今のところ一つないし二つの派閥の問題ではありますが、広がりから見るとリクルート事件に匹敵するなと思っております。リクルート事件のときには逮捕者が最終的には2人、自民党1人、公明党1人ということだったと思います。それは職務権限ということでその2人に絞られたということですが、今回の不記載というのは、幅広く不記載の人がいるわけなので、より広がりは大きいのだと思っております。
党として自浄作用をしっかりと発揮しなければ、国民からもう自民党そのものが否定される、そういうことになりかねない状況だと思っております。そういう危機感を持って岸田総理にもしっかりと対応してもらいたいと思っているところであります。
■質疑
○旧統一教会系団体トップと首相の面会について(1)
【朝日新聞】
2問お願いしたい。1問目は、統一教会と岸田総理との関係の問題で、朝日新聞が報じているところだが、岸田首相が自民党の政調会長時代に教団の友好団体のトップと面会していたと報道している。ただ、総理の説明はこれまでのところ、同席者としていたかどうかの認識がないと、写真が出てもなおそうした説明を繰り返している。こうした首相の説明についてどのように見ているのか、どうした対応を求めていくか、幹事長のお考えをお聞きしたい。
【幹事長】
総理の説明は4日と5日で変わっていますよね。4日は「大勢の同行者がおられたと記憶しております」と。5日になると「同行者がいた」ということで、「大勢の」というのが説明から抜け落ちているということです。その一つを取っても、きちんと事実を確認して誠実に説明していないというふうに言わざるを得ないと思っております。
写真を見ると、何か(旧)統一教会の方の、その名刺入れの上に名刺が乗っていますから、これは総理と名刺交換したのだろうなと。写真を拡大してみるとあるいはわかるかもしれませんが。名刺交換すれば当然どういう人かというのはわかるわけなので、そういう意味でも不誠実な発言を繰り返していると思います。
○自民党派閥のパーティー券問題について
【朝日新聞】
もう一問。先ほども言及あった自民党のパーティー券の問題だが、先週も同じようなことを聞いて恐縮だが、きょう、共産党としては政治資金規正法の改正案を提出すると。企業・団体献金を全面的に禁止するという内容だそうだが、こうしたほかの野党も含めて、何か法律の抜け穴に対してもう少し網をかけるような見直しというのは、今のところお考えはいかがか。
【幹事長】
そういう議論はこれから当然あるのだろうと思っています。ただ、全面禁止と、我が党もそういう考え方ですが、そこまで行ってしまうと、おそらくかけ離れていて、争点がぼけてしまうという面もあると思います。
それから、パーティーの規制が献金と比べて非常に甘いと思いますので、20万と5万を取っても公開基準が全然違うわけですね。
そういうところはしっかりこれから立法論として議論していかなくてはなりませんが、そこに一遍に飛んでしまうと、今の問題から目を背けることにもなりかねませんので、まずは説明責任をしっかり果たさせるということが重要です。何があったのかということが全く明確でないし、逃げて説明していませんので、そこをしっかり説明させることがまずは大事。
制度論は、事実が解明されて、そして、場合によっては司法的に起訴されるとか、そういったことがあるのかどうかわかりませんが、そういったことは一連のことが収まったところで制度の議論ということだと私は思います。
【朝日新聞】
関連して。先ほど幹事長もリクルートに匹敵するほどの大きな問題だとおっしゃっていたが、国会の中で野党としてはどのように追及していくお考えなのか。今のところ想定では8日の集中審議しかないが、それで十分なのか。不信任とか、いろいろな戦い方もあるかと思うが、その辺のお考えは今の段階ではいかがか。
【幹事長】
集中審議は非常に大きな機会だと思います。あとは、とにかくしっかりと説明責任を求めていくということですね。
現実には、やはり検察の調べが進んでいると思いますので、おそらく与党側は何も答えないでしょう。だから、検察も、これだけいろいろなことが明らかになってきた以上、しっかり、とことん調べてもらいたいと思っています。
○教育無償化を実現する会について
【共同通信】
先週、国民民主党の話だが、前原誠司代表代行が離党と新党結成を表明された。幹事長はかねて国民民主党とは大きな固まりをつくるということを繰り返し述べられてきたかと思うが、逆に更に小さくなる事態になってしまった。このことについて受け止めをお願いしたい。
【幹事長】
小さくなったというのは、国民民主党は小さくなっていますが、野党全体で小さくなったわけではありません。
前原さんの新党も、いろいろなことが言われていますが、何といいますか、一直線で物事が動くわけではない。政治というのは常にいろいろな変化というのはあり得ますから、懐深く対応していくべき話ではないかと思っています。
もちろん目の前の京都市長選挙がありますので、ここは完全にお互い違う候補者を立てて戦っているわけですが、だからといって全てにおいて前原さんの新しい党を外に押しやる必要はなく、懐深く対応していきたいと考えています。
【共同通信】
前原さんは、ほかの党、維新・立憲等々を含めて他党との連携ということも視野に入れられていると思うが、今後の向き合い方としてはどういうふうにお考えか。
【幹事長】
是々非々ですね。協力できる部分もあるのだろうと思います。
【共同通信】
まさに他党のことではあるが、党内では除名も含めた厳しい処分を求める声が上がっているということだが、どういう処分が適切かとか、そこら辺はいかがか。
【幹事長】
それは私に聞く質問ではないと思います。お答えしません。
○旧統一教会系団体トップと首相の面会について(2)
【NHK】
朝日新聞が質問した、岸田総理と旧統一教会の幹部が面会していたという関連で伺いたい。不誠実な対応を繰り返しているとおっしゃったが、党として説明を求めるとか、国会の中で説明を求めるとか、そのようなお考えはあるか。
【幹事長】
当然、機会を見てそういった対応をしたいと思います。
○終盤国会の対応について
【時事通信】
先ほどの質問で少し言及があったが、内閣不信任案提出の必要性について伺いたい。会期末が近づく中で、臨時国会では出さないことが多いと思うが、岸田内閣の支持率がかなり低くなっている中、政務三役の不祥事だとか、派閥の問題、あとは経済対策の批判を浴びている点など、不適格だと、そういうところは多いと思うが、内閣不信任案提出の必要性についてどう考えているか伺いたい。
【幹事長】
不信任案については、私は一切コメントしないことにしております。
○「日露核廃棄支援協定」「大阪・関西万博の建設費問題」等について
【フリーランス】
核兵器禁止条約の締約国会議がニューヨークで行われ、塩村あやかさんが出席されたが、全然違う方面からの話で、ロシアの外務省から1993年に締結した核兵器削減分野における二国間協定の終了についての通告が来たと。これは日本の岸田外交が反ロシア政策をしているからだという話が出ているが、これについてご承知されているか。または、お考えなどをお聞きしたい。
【幹事長】
我が国としては、かなり経済的にも窮地に陥った当時のロシアに対して、核兵器を処理するための資金支援、技術支援も含めて、条約に基づいて対応してきた、そういう問題だと思います。もう既にそういう段階はかなり終えているので実害はないと思いますが、日本がそこまでしっかりと丁寧に窮地に陥ったロシアに対応したということは忘れてもらっては困ると思います。
【フリーランス】
次に、礒崎元補佐官が自民党を離党した。これは政界引退に当たるということだが、小西議員が追及した内容によってこの結論が得られたと思うが、こちらについてはどう思われるか。
【幹事長】
ちょっとどういう事情で離党されたのか私は承知しておりません。
【フリーランス】
もう一つ、万博のリングだが、よくテレビに出ているコメンテーターの森山さんという建築アナリストの方が、フェイスブックで、建築家の方々から意見を集めて、せいぜいリングは100億円だろうと、自分で少し上乗せして考えてみても180億円が上限ではないかというふうにコメントを出していらっしゃるが、これについてはどうか。
【幹事長】
専門家ではないのでわかりませんが、別の言い方をすると、1度で1億円、(360度で)360億円ということで、いかにも高いなという感じはしますね。だから、内訳はどうなっているのか。材料費とか工費とかですね。そういうこともしっかり説明責任を果たしてもらいたいと思います。
【フリーランス】
パビリオンの発注に関して、工期が追いついていないような話があったが、この実態についても森山さんのほうでは、参加国からの発注をされた後にエージェントが二つくらい入って、日本のブローカーも入って、それからファンド会社も入ってというようなことで、日本の建築会社が信用が置けないという意味でこの話を受けていないということが明らかになったが、こういった事情についてはどう思われるか。
【幹事長】
一人の個人の方の、専門家だと思いますが、発言について幹事長としてコメントするつもりはございません。