参院予算委員会は3月6日に一般質疑を行い、小西洋之、小沼巧、高木真理各議員が岸田総理らに対し質問を行いました。

■小西洋之議員

参院予算委員会 小西洋之

 小西議員は、「質問項目は事前通告し、岸田総理に確認した上で答弁するようにお願いしてある」と述べた上で、「いつ安部派幹部7人はキックバックを再開したのか」「岸田総理として安部派7幹部に確認したのか」と問いましたが、「党としての聴き取り調査の中で確認ができなかった」と答え、当該通告をしたにもかかわらず確認しなかったことを明らかにしました。

 自民党の裏金議員の脱税疑惑について、「なぜ確認をしないのか」と小西議員があらためて問いましたが、岸田総理は「党の調査で確認されなかった」「検察の捜査を経た上で立件されなかった」との答弁を繰り返すばかりでした。

 衆院政治倫理審査会における裏金議員の発言の食い違いについても、岸田総理は「実態把握に努めているが、現在確認できていない」と述べるだけでした。

 裏金問題の実態解明にやる気のない岸田総理に対して、小西議員は「先頭に立たないのであれば総裁を辞めるべきだ」と強く批判しました。

 小西議員は、安部派のキックバックが20年前あたりから始まったと言われていることから、森元総理の関与は客観的に明らかだと指摘し、「通告をしているにもかかわらず岸田総理が確認しなかった理由」を説明するよう求めましたが、「党として確認できていない」との答弁を繰り返しました。

 小西議員は、「安部派幹部が共謀して個人資金に提供したのか等の疑惑を岸田総理が調査をして調査結果を弁明する必要がある」として、岸田総理に参院政倫審への出席を求めました。岸田総理は「必要性を感じていない」と拒否しました。

■小沼巧議員

参院予算委員会 小沼巧

 小沼議員は、農林水産予算の総額について、民主党政権の頃は年度の平均額が3兆2000億円、それ以降の自民党政権下では平均額が2兆9000億円と、1割近く減少していると指摘しました。これに対し岸田総理は「数字も大事だが、災害対策などさまざまなできごとの中で必要な予算が計上されている」と答弁するにとどめました。

 小沼議員は(農業と発電を両立させる)営農型太陽光発電と農地転用の問題も取り上げました。地主が食料の生産のために貸与していた農地を生産者から返還させ、太陽光発電業者が高額で農地を借り上げ、食料以外の作物に転用し営農型太陽光発電を行うといったケースが相次いでおり、農地転用規制のあり方を問題視しました。また、今般の農地法の改正案でも農地転用の許可基準の強化といった内容が含まれておらず、市町村からは条例で農地転用の許可基準を定めたいとした声があることについて、総理の見解を求めました。岸田総理は、「農地転用許可の際に事業の実施状況を報告させる仕組み、また違反転用を公表する仕組みをあらたに設けることによって、不適切な転用の防止に向けた取り組みを行う」と答えました。

 さらに、小沼議員は外国人等による転売目的等の農地取得の問題にも言及。日本が加盟するGATS加盟国のなかでも、外国人等の土地の取得及び利用を制限する権利を留保する国があるため、日本も留保するべきと総理に求めました。岸田総理は「GATS(サービスの貿易に関する一般協定)に新しい留保をつけると補償措置等、日本として失うものも出てくるためハードルが高い。国内外の差を設けない形で実質的な成果を上げる方が効率的」と答弁し、外国人のみを対象とした農地取得規制については否定しました。

■高木真理議員

参院予算委員会 高木真理

 「地方や小規模事業者、訪問介護事業者から大きな悲鳴が上がっている」と切り出した高木議員は、党として武見厚生労働大臣に申し入れた訪問介護の基本報酬引き下げ撤回等について取り上げました。全産業平均の給与は月額36.1万円であるのに対し、介護職員の給与は月額29.3万円、訪問介護従事者の給与は月額28.3万円(2022年賃金構造基本統計調査)であることを厚労省に確認。全国的に人口減少で人手が足りないなか、こうした低賃金で人手を確保できると思うかと武見厚労大臣の見解をただしました。

 高木議員は、今般の介護報酬では、物価上昇率と同水準の2.5%のベースアップを求めているという武見厚労大臣に対し、民間企業と比べて報酬が低いこと、なかでも訪問介護は低く、小規模事業者(訪問回数200回以下)では収支差率も1.2%と、これ以上引き下げられたらもたないと指摘。他サービスと比べて高い水準の加算率の処遇改善加算等には一定の理解を示しつつも、「訪問介護の場合は介護を提供している時間しか基本報酬がつかないという構造自体が収入を厳しくしている」「利用者宅同士が離れているところでは移動時間が無報酬になり、処遇改善加算がついたとしても基本報酬が下がれば事業所が潰れてしまう。結果として、その事業所がカバーしていたエリアでは介護難民が生まれ、一人ひとりの生き死に関わる大事なケアである、訪問介護を受けられなくなる人が出てきてしまう」と述べ、あらためて撤回を求めました。

 少子化対策をめぐっては、政府が「2030年代に入るまでが、少子化トレンドを反転できるラストチャンス」と謳っていることに、高木議員は「産む世代が減っていくことは変えられない」と違和感を表明。「1994年のエンゼルプランから30年、ほぼ自民党政権のもとで成功しなかったことをあと6年でやり遂げられるのか、ぜひ方向性を間違えないようにしてほしい」と求めました。

 子育て支援金については、なぜ税ではなく医療保険とあわせて徴収するというおかしな制度ができたのかと加藤大臣に尋ねましたが、明確な答弁は得られませんでした。