【談話】2024(令和6)年度予算の成立にあたって

                                立憲民主党 政務調査会長
                                        長妻 昭

 本日28日、2024(令和6)年度予算が成立した。

 一般会計総額は112.6兆円に上り、2年連続で110兆円を超過した。一方で、税収は69.6兆円に留まり、巨額の不足は新規の国債発行で賄うこととされている。先般、日本銀行が、11年にわたって続けてきた「異次元の金融緩和」を終了したことで、「金利のある世界」が戻りつつあるが、こうした状況下での更なる債務の膨張は、財政の持続可能性に影響を与えかねない。政府は歳出構造の正常化を急ぐべきだ。

 財源確保の在り方にも大きな問題がある。例えば、防衛費は、過去最大を記録した昨年を大きく上回り、7.9兆円規模とされたが、「防衛増税」の実施時期決定は再び先送りされた。その上、歳出改革については、削減した予算の具体的な内訳を示せない「真空切り」が横行するなど、肝心の財源確保ができないまま歳出だけが先行するという極めて無責任な状況となっている。
 子ども予算については、医療保険料と併せて徴収される「こども・子育て支援金」で1兆円の財源を確保することとされているが、これでは、まさに子育て世代でもある現役世代の手取り額が減る上に、事業主負担も重くなるため、賃上げ意欲が削がれ、正規雇用の抑制にも繋がりかねない。政府は実質的な負担増は生じないと繰り返し強弁しているが、この間の予算審議で、これが詭弁であることは明白になった。子ども予算の財源確保策が子育て支援に逆行するという本末転倒の事態で、到底認められるものではない。

 また、政府・与党は「能登半島地震の復旧・復興のための予算が含まれている」ことを頻りに強調して本予算の衆議院通過を急いだが、実際には具体的な予算は含まれておらず、予備費が積まれているのみだ。
 予備費での対応には、(1)内閣の裁量で支出できるため、国会のコントロールが及ばない、(2)政策の有効性についてのチェックが十分に働かず、効果的でない施策が行われる可能性がある、(3)他の「予見し難い予算の不足」が生じる可能性もあることから、そもそも全額を能登半島地震対応に使うことは難しく、被災地の財政需要に応えきれない懸念がある――など、様々な問題があり、首肯し難い。
我々は、このように問題の多い予備費ではなく、補正予算で対応することを度々求めてきた。政府には、被災地の実情を踏まえ、速やかに補正予算を編成することを改めて強く求めるものである。

 このように、本予算は課題山積の巨額予算であるにもかかわらず、この間、自民党の裏金問題をはじめとする不祥事の追及に貴重な予算審議の時間を奪われたことは、誠に遺憾である。
立憲民主党は、引き続き、国会審議等を通じて、政府の問題点をただすとともに、「もっと良い未来」の実現に向けて、政策提案を続けていく。