岡田克也幹事長は5月19日、岡山県吉備中央町を訪れ、原田謙介・岡山1区総支部長とPFAS*の問題について「円城浄水場PFAS問題有志の会」の皆さんと意見交換しました(写真上は意見交換の様子。参加者保護の観点から岡田幹事長、原田総支部長のみ撮影)。
岡山県吉備中央町の浄水場から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」が国の暫定目標値を超える数値が検出され、その後の調査で水源だったダムの周辺に多数置かれていたフレコンバッグ(大型の梱包袋)に入った使用済み活性炭からPFASが漏れ出て拡散した可能性があるとみられています。活性炭はPFAS除去に使われることも多く、置かれていた活性炭は保管していた業者により撤去されています。
同町では今回のことを受け浄水場の水を飲んでいた約1000人の住民などを対象にした健康への影響を調査する基本方針を発表。血液検査や継続的な健康調査は、町が主体となり公費で実施する予定です。
今回の意見交換で、牧場を営む方は「牛は水を多く飲む。PFASを含んだ水を10年以上飲んでいたのでショックを受けた。調べたところ製品には全然影響ないということが分かり安心した」、現在は年金生活者で役場で働いていた方は「役場のOBとして水の問題は恥ずかしいという気持ちで(問題に取り組む)皆さんに関わっている」と語りました。
今後行われる健康調査については、「(今回のケースを)論文にしてもらい、今後こうしたことが起こらないよう、しっかり調査をしてもらいたい。しかし、論文にするには10年近く継続的に調査・研究しなければならないが、そういう姿勢が見られない」といった意見や、「環境省は血中濃度と健康へ影響に関連があるとする知見がないという。だからこそ調べてほしいのだが、『だから調べない』と環境省はなってしまう」「血中濃度を測ると無用な不安をあおるといわれた」「田舎の住民に対してだからなのか『PFASによる健康影響がある可能性はほどんどない』などと伝えられた。データで大丈夫だと提示してもらいたい」という意見がありました。
また、環境省が水道水についてPFOSとPFOAの合計値で暫定目標値を設定しているものの測定は任意であり「測っても公表をためらう自治体があり、一度公表すると対策をしなければならない。実際に問題が発生した場合、対策は自治体に任され、健康リスクが高くなった住民は自主的に病院に行かなければならず、因果関係の証明もいまのところ困難で、治療も大変」との話がありました。
最後に「法律でPFASの基準値・規制値を設けないと自治体は手探りでの対応になってしまう。法律の定めがないと被害住民が置き去りになってしまう」と語り国レベルでの対応を求めました。また、「この問題は超党派で取り組んでもらいたいが、自民党は今、裏金問題や政治献金の問題で企業との癒着もあるので、個人的にはあまり期待はしていない。立憲民主党の皆さんにリーダーシップをとってもらい、住民の立場からの規制値を作ることをお願いしたい。さらに産業廃棄物としてのPFASがこれから問題化していくと思う。全国的に製造や使用に携わった企業が中心となり、処理についても責任をもってやってもらいたい」と訴えました。
岡田幹事長は「責任の問題もある。有害性が認められれば回収の問題も出てくる。土壌の入れ替えなどもある。そうした話が進んでいくためには、まずは基準値・規制値を明確にしないといけない。もう一つ、どういった影響が出てくるのか医学的な知見が必要。党の政務調査会の環境部門でもこの問題を扱ってきた」と述べ、この問題について引き続き取り組んでいくことを示しました。
*PFASは人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、水や油、汚れをはじき熱に強いため、焦げつきにくいフライパンのコーティングや包装紙、防水服などのほか、消火剤などにも使われています。一部の種類は自然界で分解されにくく、また生物に取り込まれると体内に蓄積しやすいとも言われており、人への有害性も指摘されはじめています。代表的なものにPFOSやPFOA、PFHxSがあり、現在この3つは国際条約で製造・使用禁止となっています。