衆院本会議で5月30日、「地方自治法改正案」に対して吉川元議員が反対討論を行いました。

 冒頭、吉川議員は「想定されていない事態を想定した、およそ立法事実足りえないものを根拠にこの法案が国会に提出されたときはわが耳を疑った。想定されていないものを対象にどのように法律を作るのか、それこそ想定を超えた法案。このような立法が許されるなら、どのような法律でも作ることが可能になってしまう」と指摘し、「このありえない立法過程が委員会審議における政府答弁の混乱、自家撞着をたびたび引き起こした」と批判しました。

 吉川議員は、2000年の分権改革によって「国と地方の関係は、中央省庁の通達行政がまかり通る上下・主従の関係から対等・協力へと大きく変わり、法的拘束力のある権力的な関与は行えなくなった」と経緯に触れ、「今回の指示権の創設は地方自治に再び暗雲を漂わせるものであり、分権改革に逆行するもの」と反対しました。

 吉川議員は、政府案に反対する理由として、

(1)「新型コロナ対策を例に国の指示権拡大を企図するのであれば、その前に、国が打ち出した数々の対策に誤りはなかったのか真摯に検証することから始めるべき」「反省を抜きに、指示さえできれば解決したというのは、責任を自治体に押し付ける厚顔無恥も甚だしい」と強く批判しました。

(2)全国知事会をはじめとする多くの関係団体から、拡大された国の指示権行使の際には、事前に関係自治体と十分な協議、調整が求められていた。しかし、改正案は、地方からの要求に真正面から答えたものでないことは明らか。

(3)国の指示権拡大が、現行法の国の「関与の原則」の下にあり、地方分権の原則にのっとったものを担保する条文がない。運用次第。

(4)改正案で設けられた国による応援の要求及び指示の規定の必要性――等を指摘しました。

 吉川議員は、立憲民主党が、指示権行使を極めて限定的にするため、国の地方への「関与の原則」の維持などを柱にした修正を要求したが、与党に却下された経緯にも触れました。

 吉川議員は、想定していない事態に対して、「国が行うべきは、現場を抱える自治体の声を聴き、必要な支援を迅速に行うこと」、平時では「事態が起こった時に自治体が自らの判断で柔軟に対応できるように国の権限を委譲し、地方の自主財源を充実させること」「更なる分権改革を強力に推し進めること」と強調しました。

 最後に吉川議員は「国から地方への税財源の移譲を含め、分権改革は道半ば。分権を強力に押し進め、地方からこの国を豊かにするため、立憲民主党は全力を傾注する」と訴えました。