立憲民主党環境部門(部門長:近藤昭一ネクスト環境大臣・衆院議員)は7月3日、PFAS汚染が報告される東京・多摩地域を視察し、現地の不安の声や自治体・国への要望についてヒアリングしました。

 水は、生きる上で欠かせない、生活の基盤を支える重要な資源です。しかし、近年、PFAS汚染が日本各地から報告され、水に対する不安が高まっています。政府は、暫定基準値や健康リスクに関する検討会は開催するものの、汚染が報告された地域から求められている血液検査や水質検査等については手引きの公表や限定的な調査しか行わず、自治体や個人に任せています。いまだに終わらない水俣病など公害の経験から学び、一日も早い実態把握を行うべきです。PFAS汚染は一部地域の問題ではなく、日本全体の問題、何よりも大切な「水」の問題であると認識し、措置を講ずる必要があります。

PFAS濃度が高く、取水停止となっている井戸のある給水所を視察

 国分寺市内でPFAS濃度が高かったために井戸の取水を止めている給水所を視察しました。そこでは、昔は井戸水源100%でしたが、いまは需要の多い時間のみ、川の水を溜めて使っているとのことでした。東京都水道局からは、国の基準値がないので義務ではないが、情報収集の観点から定期的な水質検査をしていること、井戸の原水や給水栓の水質は見ているが、それよりも上流は確認が難しいことなどの報告がありました。

 参加した議員からは、井戸からの取水再開や、地下水のPFAS汚染を除去するために、くみ上げて浄化するなどできないか等の質問があり、それに対し東京都水道局からは、水道局の敷地面積は現在でも目いっぱい使われており、新たな施設を整備することが難しいことや、今後も安全でおいしい水道の確保を目指したいとの回答がありました。

多摩地域住民からのヒアリング

 午後には、多摩地域の住民に、政策提言や実施されている取組、不安の声などを伺いました。
 住民のみなさんから伺った主なご意見は次の通りです。

・ これは公害問題である。
・ 地下水も私たちの人体も汚染されている。
・ (血液検査をした)全員からPFASが検出されていて、一人としてゼロの人がいない。
・ 風評被害を防ぐためにはしっかりした情報公開が必要で、隠すことは余計に不安をあおることにつながる。
・ 食品安全委員会の数値はパブコメにたくさん意見が出たが、原案通りとなったことに違和感がある。
・ 広範な疫学調査であるエコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)について、中々調査結果が出てこないが、PFASに関連して国会で報告いただきたい。
・ 生産農家を加害者にしないでほしい、など

 視察団長の近藤昭一衆院議員は、「これまでおいしくきれいだとして活用してきた水の汚染が進んでおり、汚染の原因者を特定していく必要がある。水俣病の二の舞にならないようにしなければならない。国民の皆さんの命を守る、生活を守ることが政治の役割だと思うので、法律や条例、予算にしっかり反映していかなければならない」と述べました。

 長妻昭政務調査会長は、「国連のビジネスと人権作業部会の報告書が5月末に報告書を出したが、それに対して政府は、東京都の文章を丸写しして国の意見として提出しており、その中で“いたずらに不安をあおる”と記載していることはまったく考え難い。厳重に抗議したい。国の歩みがあまりにも遅く、許容度は欧州の60倍としている点も、なんとか打開したい」と述べました。

 今回の視察には、近藤議員、長妻議員のほか、末松義規、大河原まさこ、森田俊和、早稲田ゆき、馬場雄基各衆院議員、川田龍平、奥村政佳各参院議員が参加しました。

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