立憲民主党は9月5日、職場における熱中症対策の徹底を求め、塩崎彰久厚生労働大臣政務官に申し入れました。

 今年7月の気象庁発表の日本の月平均気温は、統計を開始した1898年以降で最高値を記録する暑さとなりました。職場における労働者の安全と健康に対する熱中症の危険度は一層高まっています。職場における熱中症による死傷者は昨年1千106人であり、その内31人が命を落としました。職場における熱中症対策は、酷暑が続く日本にあって働く人々の命と健康、安心と安全を守るための喫緊の課題です。そのため、立憲民主党は厚生労働省に対し、以下の事項などを速やかに実施するよう強く要請しました。

(1)さまざまな作業環境がある事実に配慮しつつ、すべての労働者の命と健康、安心と安全を守ることを最優先に、屋内外で必要・十分な熱中症対策を義務付けるべく、労働安全衛生規則に盛り込むこと。具体的には、屋内における空気調和設備(エアコン等)設置と作業・業務遂行に適切な室温管理の徹底や、屋外での冷却服の着用、強い紫外線から目や肌を守るメガネ等の保護眼鏡・服等の着用に関する基準を盛り込むこと。また、酷暑の時間帯を避けた労働時間の設定など、酷暑対策としての働き方改革を検討すること。

(2)厚生労働省が労働安全衛生調査の中で実施する暑さ指数(WBGT・湿球黒球温度)の調査を毎年行い、できる限り速やかに公表すること。

(3)職場における熱中症対策の周知徹底のため、各都道府県の労働局が現在、企業団体に対して行っている説明会の回数及び参加事業主を抜本的に増やすとともに、事業主に対する周知を徹底すること。

(4)厚生労働省労働基準局や都道府県労働局で熱中症対策に取り組んでいる人員体制の抜本的強化を行うこと。

 要請文を取りまとめた田島麻衣子参院議員は、塩崎政務官との意見交換のなかで、「40度近くに気温が上昇しても休むことのできない屋外で働く人たちは自分の健康をリスクにさらしている」と現状を訴えたうえで、「冷却服や保護眼鏡の着用など基準を設けてほしい。また、熱中症対策の周知徹底や広報を強化するために、厚労省内の職場における熱中症対策の担当者をもっと増やすべき」と要請しました。立憲民主党の要請に対して、塩崎政務官からは、厚労省は熱中症対策を徹底する指導を建設現場などでも行っていること、基準を労働安全衛生規則に入れていくのかは専門家の意見も踏まえて考えること、周知や啓発活動の体制整備に向けた十分な人員確保のための予算要求の必要性、などの考えが示されました。

職場における熱中症対策の徹底を求める要請 高木真理 田島麻衣子 川田龍平 奥村政佳

 ネクスト厚生労働大臣の高木真理参院議員は、申し入れ後に記者団の取材に応じ、「職場においても熱中症による死者が出ている状況にある。命の危険を感じながら仕事をしている人が多い中で、職場に熱中症対策を求めても基準がないため対策をしてもらえないという現状を変えるために、今回の要請を行った」と要請の趣旨を説明しました。

 川田龍平参院議員は、「事業主に対する熱中症対策の周知・徹底に加え、労働基準監督署の人員体制を強化することも重要だ」と述べました。また、奥村政佳参院議員は、「この10年での気温の上がり方は、命を奪っていく暑さとなっており、熱中症対策の取り組みが急がれる」と述べました。

職場における熱中症対策の徹底を求める要請(240905厚労省提出).pdf