野田佳彦代表は10月12日、日本記者クラブ主催の党首討論会に出席しました。

 野田代表は「政権交代」と書かれたパネルを示し、「臨時国会では、本来、能登復興復旧の補正予算を審議して1日も早く成立させるべきだった。先の通常国会では、裏金問題にケジメもつけられず、実態も解明できず、これからどうするかも甘い法律で終わってしまった。その問題をもう一回議論して政治の信頼を取り戻す前に、すぐ解散した。『裏金隠し解散』だ。」と述べました。その上で、自民党のトップが代わり、総理が代わっても、政治は変わらない。『政権交代こそ、最大の政治改革』だとし、政治改革を行うつもりがない自民党に代わって、立憲民主党が政権を担い、政治改革し、政治の信頼を取り戻す覚悟を表明しました。

野田佳彦 日本記者クラブ 7党首討論会

 第1部の党首同士の討論で、野田代表は、被団協がノーベル平和賞を受賞したことに触れ、「日本は唯一の被爆国。被曝の悲惨さを語り継いできて、核廃絶、平和の尊さを発信続けてきた粘り強い地道な取り組みが評価されたことはとても意義がある。今日的な意義として、ウクライナでも中東でも核を使うおそれがある時であり、メッセージ性の点でも非常に意義がある」と述べました。そして、石破総理に「核保有、核共有、核の持ち込みを許容する発言をしている日本のトップでいいのか」と投げかけ、日本政府は核兵器禁止条約にオブザーバー参加すべきではないかと質しました。これに対し、石破総理はウクライナが核兵器を放棄したことが侵略を招いた遠因だと示唆し、核抑止の必要性を強調するにとどまりました。これに対し、野田代表は、「なぜ核共有が必要か、核の持ち込みの必要性の説明はなかった。封印するだけではだめだ。その考えは改めてほしい」と述べました。

 石破総理は、これまで能登半島地震に対して予備費で対応してきたことについて、必ずしも補正予算で対応する必要はないと述べ、野田代表に見解を求めました。野田代表は、「全く見解が異なる」と述べ、短期間で補正予算を組んだ他の震災と違い、能登半島地震に対しては、いまだに補正予算が組まれず、7回に及ぶ予備費で対応したことは前例がなく、補正予算を組んで、被災者の皆さんが見通しが持てることが重要だと政府の対応を批判しました。

 石破総理は、ウクライナがロシアに侵略され、抑止力が働かなかった理由に NATOに入っていなかったこと、核兵器を放棄したことを挙げ、野田代表に見解を求めました。野田代表は、その要因として「2014年のクリミア併合の制裁が弱すぎたことがある。日本も事実上抜けた。その甘さをロシアが突いてきた」と指摘し、日本外交も猛省しなければならないと述べました。さらに、今回のASEAN首脳会議にアメリカ大統領が出席しなかったことについて触れ、野田政権の時代に大統領のASEAN出席を実現したことと比較し、中国やロシアの勝手放題を許してはいけない、アメリカを呼び込む外交努力をすること、コミットさせ続ける外交をまずやるべきだと述べました。

 野田代表は、アベノミクスの功罪のうち、罪の部分について総理に見解をただしたところ、石破総理は、「コストカット型にしたことは実によくなかった」との見解を示し、実質のGDPはほとんど上がらず、実質賃金は下がりすらしたと認めました。野田代表は、「アベノミクスは道半ばと言い続け、10年以上継続したことの弊害がものすごく大きい」と指摘し、異次元の金融緩和という一辺倒の政策で、財政規律は緩み、金融市場が歪んだなどの事実認識を示した上で、対応してほしいと述べました。

 第2部では、記者クラブ代表団から質問を受けました。

 沖縄の米軍基地負担軽減に関してどのようにアメリカと交渉するかについて問われ、「沖縄の皆様の思いをしっかり踏まえ、アメリカ側と丁寧な交渉をすることに尽きる。基地の在り方と日米地位協定の在り方、両者を含めて交渉しなければならない。自分が総理の時に、地位協定の補足協定について合意できたものもある。粘り強い交渉は必要だが、全く不可能ではない。真剣に議論し、交渉したい」と述べました。

 安保法制について問われ、「日米関係が外交・安全保障の基軸で、基軸を踏まえながら対応する。政権を預かっても、違憲部分は廃止し、必要な措置を取るのが基本的な姿勢だ。その上で、法律成立から8年の経過を再検証するプロセスに入るということだ」と述べました。

 獲得目標議席について問われ、「公認した人たち全員の当選は当然だが、最低限の目標は、自公の過半数割れ、立憲民主党が比較第一党となることだ」と述べました。

日本記者クラブ 7党首討論会 野田佳彦
日本記者クラブ 7党首討論会 野田佳彦
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