酒井なつみ衆院議員は、12月9日、衆院本会議において、政府の財政演説に対して(1)政治改革(2)補正予算編成(3)能登の被災地支援(4)物価高対策――等について質問しました。

 石破総理の答弁は、給食の無償化については「年末をめどに課題を整理」、選択的夫婦別姓についても「国民各層のご意見や国会における議論の動向を注視」との発言にとどまりました。

 予定原稿は以下の通りです。

財政演説に対する代表質問


立憲民主党・無所属 酒井なつみ

 立憲民主党・無所属の酒井なつみです。ただ今議題となりました財政演説に対して、会派を代表し質問させていただきます。

 私はがんの闘病をきっかけに政治の道へ進み、江東区議会議員を経て今年4月に衆議院議員となりました。前職は助産師・看護師で、12年間医療現場で勤めてまいりました。7歳の娘を育てる一児の母であり、衆議院議員のうち30代は5%しかいないことからも若者や現役世代・母親を代表して論戦に挑みます。先週の予算委員会同様、石破総理ご自身のお言葉で答弁をしていただけたらと思います。 

(1)まず、政治改革について伺います。
 12月5日の予算委員会で野田代表の企業・団体献金禁止をいつまでに結論を出すのかとの質問に対し、議論の熟度を上げると発言しましたが、「熟議と公開」の国会とは、議論引き延ばしという意味ではありません。引き延ばしではない密度高い徹底審議と、議論の経緯が国民に見える公開が必要です。政倫審も公開で行うべきではないでしょうか。
 政治改革の内容についても、非公開の「要配慮経費」などない、一切の政策活動費を禁止する法案を6会派共同で提出したので、石破総理・総裁のリーダーシップで成立させて頂きたいと存じます。
 加藤財務大臣に伺います。加藤財務大臣の政治団体が令和4年と5年に開いた7回分のパーティー券収入のうち3850万円分が減額修正されました。
 大臣は6日の会見で「事務的なミス」と説明しましたが「事務的なミス」というにはあまりに大きな額です。なぜ減額したのか。お答えください。

(2)次に補正予算編成について伺います。
 今回の補正予算案は総額13.9兆円となり、昨年の13.2兆円を上回りました。
 金額について、10月15日、衆院選公示日に石破総理は「昨年を上回る大きな補正予算を国民に問い成立させたい」と述べましたが、12月2日の本会議では「必要な施策の積み上げの結果」と答弁されています。既に10月15日の時点で必要な施策の積み上げができていたのですか。お答え下さい。
 内閣府は7月~9月期の日本経済の需要と供給の差は年間3兆円程度の需要不足と発表しています。これに比べて今回の補正予算規模13.9兆円は過大な財政出動ではありませんか。また、経済対策の三本柱のうちの一つは物価高対策にも関わらず、需要増加によって物価が上昇する恐れがありませんか。伺います。

(3)続いて能登の被災地支援について伺います。
 立憲民主党は「能登復興・物価高克服のための緊急総合対策」を取りまとめ、11月7日に発表しました。11月19日には予算委員長・与野党の理事らで被災地を訪れ、石川県馳知事からもご要望をお聞きしました。
 12月2日石破総理は「豪雨による被災者にも地震と同様の各種支援を行うなど、御党が提案した施策についても講ずることとした」と答弁されました。立憲民主党の提案が一部実現に向かうことは評価しますが、不十分なところがあります。
 地震によって被災された方の一部は介護や医療を自己負担なく受けられたり、国民健康保険などの保険料・障害福祉サービスの利用料を減らしたり免除されます。一方、豪雨により被災された方は対象外となっており、利用者負担が生じています。豪雨により被災した方も、各種支援を受けられるよう、国として支援すべきではありませんか。伺います。
 そのほか、被災地の近藤和也議員を中心にまとめた復旧・復興策に盛り込まれている、特に以下の2点は実現するべきです。
 住まいの再建を支援する被災者生活再建支援金の最高額を300万円から600万円へ引き上げること、及び被災した高齢者による家財・自動車の再購入などを支援する地域福祉推進支援臨時特例給付金の6市町以外への対象拡大と年齢等の条件撤廃について、速やかに実現すべきではありませんか。お答えください。
 私も11月22日に被災地を訪れ、看護師・助産師として市立輪島病院及び認知症グループホームで現場の声をお聞きしてまいりました。地元に戻りたい人のためにも懸命に働いていらっしゃいましたが、不安を抱え疲弊する様子が見られました。特に介護・福祉現場は、職員不足が深刻で長期的に人員派遣のできる仕組みの構築を求めています。また、被災地において他者へケアを提供する人への心のケアなどの支援も必要な状況です。石破総理、ともにいますぐ対応すべきではありませんか。お答えください。

(4)次に、物価高対策について伺います。
 政府は物価高の克服として住民税非課税世帯の約1,300万世帯に新たに3万円を給付するとしていますが、対象が狭すぎます。もっと拡大するべきではありませんか。
 子育て世帯に子ども1人当たり2万円を加算するとしたこと自体は評価しますが、こちらも対象を広げるべきです。児童扶養手当を受給するひとり親はそのほとんどが働いていることから多くが給付対象外であり、その支援のために、立憲民主党は緊急総合対策で児童扶養手当の増額も提案しています。総理は12月2日の本会議で「住民税非課税世帯以外の方々には、重点支援地方交付金を活用して自治体が行う物価高対策などを支援する」と答弁されましたが、これでは自治体ごとにばらばらになってしまいます。子育て世帯への支援は、給付対象を児童扶養手当受給世帯にも広げるべきではありませんか。お答えください。
 次に、政府は電気・都市ガス代の支援を今年5月で終了。その後、総裁選・衆院選の時期であった8月から10月に再開。そして今回の補正予算でまた1月から再開としています。電気利用が増える夏の6・7月、冬の11・12月は支援されず、電気・ガス代は上がっています。まさに選挙目当ての対症療法ではないでしょうか。
 政府の対策は、細切れなだけでなく、電気等の使用量の多い高所得者ほど恩恵を受けます。それより、中低所得者の方々に一貫して、継続的に別途支援をするほうが適切ではありませんか。お答えください。

酒井なつみ 衆院本会議

(5)次に補正予算の具体的な項目について、まず防衛費です。
 昨年11月27日、当時の岸田総理は、5年間で43兆円の方針について「円安の環境でも変わらない」と答弁されています。この補正予算には、円安によって不足する外貨関連経費として380億円が計上されています。一方で、43兆円の前提とも言える2027年度までに防衛費をGDP比2%に引き上げることについて、12月4日毎日新聞のインタビューに長島首相補佐官は「安全保障の状況によってはもっと増額していく議論が必要になる」と発言されました。総理、5年間43兆円の防衛費総額は増やさない前提の予算ということでよろしいですね。明確にお答えください。

(6)次に若者や現役世代の声を反映させる施策についてです。
 2022年に立憲民主党は国民民主党とともに「保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案」を提出し、また今般の緊急総合対策でも、保育士・幼稚園教諭とともに、放課後児童クラブに従事する放課後児童支援員の処遇改善を求めてきました。先般政府が、保育士等の人件費を人事院勧告に準拠して10.7%引き上げると発表したことは評価しますが、放課後児童支援員は対象外です。子ども・子育て支援に関するエッセンシャルワーカーの処遇は全産業と比較し依然として低く、こちらも処遇改善の対象とするべきではありませんか。お答えください。

(7)学校給食費無償化についてです。
 今年6月文部科学省の調査によれば、全国で約7割の自治体が未実施です。石破総理は、12月2日野田代表の質問に対し「実態調査の結果も踏まえつつ、課題を整理してまいります」と答弁されていますが、課題整理はいつ終えるのですか。全国市長会、全国町村会等からも実現や具体的な方策を求められていますし、立憲民主党は、昨年、日本維新の会とともに学校給食無償化法案を提出し、今般の緊急総合対策で先行実施を提案しています。石破総理は、総裁選の公約で「手当より無償化」の方向で支援の在り方を見直すとし、給食無償化を挙げていました。早急に課題を整理し、手当より無償化を来年度から実現すべきではありませんか。お答えください。

(8)官製婚活についてです。
 自治体が行う結婚支援、例えばお見合いやマッチングアプリ、結婚支援コンシェルジュの配置など、いわゆる「官製婚活」は、国が税金を使って行うことなのでしょうか。本来、国が取り組まなければならないことは、結婚の障壁となりうる社会課題を取り除くことに集中することで、特に雇用や経済的な安定を実現していくことではありませんか。お答えください。

(9)最後に選択的夫婦別姓の導入について伺います。
 民間における世論調査によれば全世代で約7割が賛成しており、現役の大学、短大、専門学校生の女性では約9割が賛成です。12月5日に総理は「責任政党として、答えを出さねばならないということは、党内で共有をしたい」と答弁されています。答えを出すために、反対をされていらっしゃる方は、これから結婚を希望する若者の声を聞くべきではありませんか。特に女性の声や旧姓とのダブルネームで困っている方の声を聞かれた上で速やかに検討・決断するべきではありませんか。お答えください。

     若者や女性、母親を代表して質問させていただきました。 
 財政演説では「若者・女性の機会を守り」と言われました。私たちは、若者や女性の政策・方針決定過程への参画をさらに進め、もっと人に優しい社会・ジェンダー平等社会の実現に貢献していくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

酒井なつみ 衆院本会議