野田佳彦代表は4月9日、トランプ米政権による相互関税が発動したことを受け、国会内で記者団の取材に応じました。米政府は、約60カ国に税率を上乗せ、日本には24%の関税を課します。
野田代表は冒頭、交渉担当に決まった赤沢大臣は速やかに訪米をし、ベッセント米財務長官と協議を始めるべきだと、早期の対応の必要性を強調。加えて、同日は日本のみならず世界各国の株式市場が混乱し株価が下落していることに、「トランプ政権にアメリカのメディアもアカデミーも物が言えない状況のなか、率直に意思表示をしているのはマーケット。このマーケットの動きをトランプ大統領ご自身も、世界中もよく注視していかなければいけない。金融市場だけでなく、実際に追加関税、あるいは相互関税の実体経済への影響に対する早期の万全な備えが必要だ」と述べました。その上で、「一番心配なのは中小企業の資金繰りの問題」だと指摘。「春闘の最中、大手の賃上げ状況が中小企業に波及していくかどうかが問われている大事な局面だ。中小企業経営者のマインドとしては、今回のトランプ政権の関税政策は経営判断をかなり冷え込ませる状況にあると思うので、例えばモラトリアム法案(中小企業金融円滑化法案)や、コロナ禍におけるゼロゼロ融資のような、金融支援、資金繰りについて心配しなくても大丈夫だというメッセージを早く政府として出すことが急務だ」と述べました。
相互関税発動に至るまでの政府の対応について評価を問われると、「トランプ政権が発足し、関税を軸とした政策を展開してくることは予想されていた。相互関税の規模などの想定を含めて対応が遅すぎるし、情報をきちっと入れていなかったのではないかということは猛省してもらわなければいけない。特に同盟国であるにもかかわらず、これだけ遅きに失した状況になっていること、あるいは右往左往感を含めてきちっとした体制を準備できてなかったことは猛省を促さなければいけない」と問題視しました。他国との連携等については、「残念ながらアメリカがこういった孤立主義に陥っているときに、自由貿易体制を守っていくために自由貿易の旗をみんなで守っていこうという国際協調路線を、日本が主導していくべきだ」指摘。G7サミットへの出席を一例に挙げ、「グローバルサウスにも関わる世界中、世界経済のテーマであり、アメリカがどんどん孤立していくのではなく、開かれた国際社会の中でも発言し、各国の声を聞くようにと促していく役割も日本は果たすべき。一方で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やRCEP(地域的な包括的経済連携協定)などの既存の国際経済秩序を拡充していく、いずれアメリカのカムバックを待っているという姿勢で、その体制強化も図っていくこともあわせてやっていかなければいけないときだ」と述べました。