立憲民主党は6月11日、「租特透明化法改正案」(正式名称:租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律及び地方税法の一部を改正する法律案)を、日本維新の会と共同で衆院に提出しました。

 現在、租税特別措置(租特)については、民主党政権時に制定された「租特透明化法」に基づき、毎年その適用状況が国会に報告されていますが、適用された企業数や減収額は明らかにされているものの、肝心の企業名は公表されていません。しかしながら、企業・団体献金により政治が歪められてきたのではないかとの疑念が強まる中で、具体的にどの企業が政策減税の恩恵を享受しているのかを明らかにする必要性は高まってきています。

 また、この租特の適用による減収額は年々肥大化傾向にあり、法人税関係の租特で言えば、民主党政権時(2011年度)には0.9兆円だったものが、直近(2023年度)では2.9兆円にまで膨れ上がっています。我が国の厳しい財政状況を受け、高額療養費制度など、命を守るための予算までもが削られようとしている中で、漫然と租特を延長・拡充するようなことは、到底看過できるものではありません。

 本法案は、このような認識に基づき、租特の更なる透明化・適正化を図ることを目的として提出をしたもので、(1)法人税関係の租税特別措置(中小企業の軽減税率を除く)について、高額の適用を受けている法人上位10社の実名を国会報告の対象とすること、(2)租税特別措置について、原則として期限到来時に廃止することとした上で、例外的にこれを延長・拡充する際のルールを法定化すること(下記のイメージ図参照)――の2つの柱からなる法案となっています。

「租税特別措置の期限・内容に応じた見直し(イメージ)」.png

 法案提出後の記者会見で、筆頭提出者の川内博史衆院議員は「租税特別措置というのは、そもそも『公平・中立・簡素』という租税の3原則の例外として設けられたもの。例外がずっと継続をするということは、本来はあってはならないものなので、けじめをきちんとつけましょうねと、国民にとって分かりやすいものにしていきましょうと。国民の皆様が判断しやすい材料を、情報をしっかりと提供する。それが社名の公表であり、検証の厳密さということになると考えている」と述べました。

 また、党の「次の内閣」でネクスト財務金融大臣を務める階猛衆院議員は「我々としては、今年度の税制改正法案の審議が行われていた2月の段階から、この租特の問題点について指摘してきた。無駄な租特を少なくすることによって、国民にとって必要な部分に財源が回ってくるということだから、この法案は我が国にとって非常に有用であり、必要不可欠なものだと思っている」と、法案の意義を強調しました。

(要綱)「租特透明化法改正案」(租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律及び地方税法の一部を改正する法律案).pdf
(条文)「租特透明化法改正案」(租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律及び地方税法の一部を改正する法律案).pdf
(新旧)「租特透明化法改正案」(租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律及び地方税法の一部を改正する法律案).pdf
(概要)「租税特別措置の期限・内容に応じた見直し(イメージ)」.pdf
(参考資料)「政策税制措置の見直しの指針(「6つのテスト」)」(平成22年度税制改正大綱).pdf
「立憲民主党の税制修正案」(2025.02.21 衆予算委 階猛ネクスト財務金融大臣資料).pdf

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