立憲民主党は6月15日、「車内置き去り防止法案」(正式名称:保護者等による自動車内への子ども等の置き去りの防止に関する法律案)を衆院へ提出しました。

 2022年10月、通園バスで置き去りにされた子どもが亡くなった事故を発端に、2023年4月から通園バスに安全装置の設置が義務付けられましたが、自動車内に取り残された子どもが熱中症等で亡くなる事故は通園バス以外でも発生しています。子どもは体温が上がりやすく、発汗などの体温調節も未熟なため熱中症になりやすいと言われています。幼い子どもを車内に放置することは命の危険につながりかねません。親が子どもを「うっかり」忘れてしまい、幼い命が犠牲となる事故は、世界各国でも起こっています。アメリカやヨーロッパでは、自動車業界が先行して「子どもの車内放置探知システム」を採用しており、アメリカでは車に探知システムの設置を義務付ける「ホット・カー法」も検討されています。立憲民主党は、故意・過失の如何にかかわらず子どもが車内に置き去りにされた結果、命を落としてしまうような状況をつくらないための法整備が必要と考え、日本版ホット・カー法ともいえる「車内置き去り防止法案」を提出するに至りました。

 本法案は、小学校就学前の子ども、(自ら車外に出ることができない)障がい者が乗る自動車には置き去り防止装置、対象事業者(習い事のバスなど子ども等の送迎を目的とした自動車)には見落とし防止装置の設置を義務付けるとともに、違反事実を目撃した者が市町村や福祉事務所、児童相談所に通告できるようにすることで、社会全体で子どもの安全を見守り、事故を未然に防ごうというものです。また、子育てを担う保護者等の負担に配慮した装置等の設置費用に対する国の補助や、置き去りとは言えないケースなど多様な事情等の考慮、啓発活動の実施、駐車場等の警備員に対する研修なども盛り込んでいます。

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 法案提出後の記者会見で、杉尾秀哉参院議員(ネクスト内閣府担当大臣)は、「これから暑い季節に向かっていく中で、自動車内に置き去りにされた子どもが命の危険にさらされる事故がまた起こることが予想される。これまでの事故の反省を踏まえた法的措置が必要だ」と法案提出の意義を語りました。筆頭提出者の吉田統彦衆院議員は、「自家用車で、子どもを降ろしたつもりでも実は放置されていたなど、悪気はなくても予期せぬ事故は起こっているし、子どもの熱中症のリスクを理解していない方もいる。通園バスだけでなく保護者等が運転する自家用車にも装置を義務付けることで、子どもの車内放置への抑止につなげたい」と法案成立へ向けた意気込みを述べました。