参院予算委員会で5日、総括的質疑がおこなわれ、立憲民主党の蓮舫代表代行が質疑に立ちました。日本学術会議の任命拒否問題、政府の事業委託に関する一般社団法人の迂回問題、感染症対策などについて、菅義偉総理をはじめ関係閣僚らの見解をただし、新型コロナウイルスの影響で困窮している方たちへの「公助」を最優先に実施するよう要求しました。
蓮舫議員は菅総理に「国民のために働く内閣と言っているが、国民は日本学術会議の任命拒否など求めていない」と苦言を呈したうえで、日本学術会議の任命拒否にどのように関与したか質問しました。
菅総理は「官房長官時代から日本学術会議のあり方について懸念を持ち、杉田和博官房副長官に伝えていた。9月15日に総理に就任した後、24日に杉田官房副長官から決裁起案の報告を受け、28日に決裁した」と答弁しました。
蓮舫議員は独立した代表機関である日本学術会議から推薦された人事案について、菅総理に「人選に口を出せる法的根拠はあるのか」とただしましたが、菅総理は明確な回答を避けました。
蓮舫議員は安倍政権で公文書を改ざんした森友学園・加計学園問題や、桜を見る会などの不祥事に触れたうえで、菅総理に「国民への背信行為にならないよう情報公開すべきだ」と国民への説明責任を求めました。
加藤勝信官房長官は、内閣府が杉田官房副長官とやり取りを行った記録を管理していることを明らかにしましたが、記録の提出には、応じられないという考えを示しました。
蓮舫議員は、「杉田官房副長官が菅総理の指示を受けて内閣府に決裁文書を提出するまで」の公文書の提出を山本順三予算委員長に申し入れました。また、杉田官房副長官の参考人招致と集中審議の開催をあらためて要求しました。
新型コロナウイルス対策の持続化給付金事業をめぐり、経済産業省から業務を受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会が、広告代理店の株式会社電通やその子会社などに経由した不透明な民間委託の実態について、蓮舫議員は梶山弘志経済産業大臣に中間検査の結果を確認しました。梶山大臣は「国が定めた委託契約のルールを逸脱した不当な支出は確認されなかった」と答弁しましたが、蓮舫議員は「同調査は一般社団法人による中抜き、トンネル、かさ上げなどの問題については調査されていない。最終的にはすべての委託先について厳しく調査していただきたい」と予算執行における透明性の確保を訴えました。
マイナポイント事業について、菅総理と武田良太総務大臣に質問し、マイナンバーカードの取得率は伸びず、国民の多くがマイナンバーカードのメリットを感じていない現状を確認しました。蓮舫議員はマイナポイント事業に投入した予算は8900億円に上ると述べ、「コロナ前に企画し、成果が出ていない事業予算を追加のコロナ対策に回すべきだ」と予算の組み替えを主張しました。
蓮舫議員は「2015年から2020年にかけて、政府の事業委託予算が1.3兆円に上っており、その多くが電通が出資している一般社団法人2社(一般社団法人サービスデザイン推進協議会、一般社団法人環境共創イニシアチブ)に応札されているが、以前のように政府が直接電通に委託すればいいのではないか」と行政改革に後ろ向きな政府の姿勢を批判しました。
また、「小泉政権で官から民への構造改革がおこなわれ、一般社団法人をう回する既得権益となっている」と述べ、日本学術会議の予算の何百倍となる既得権益を打破する行政改革を進めるよう、菅総理に申し入れました。
蓮舫議員は山本予算委員長に、税金の流れが適切かどうか、会計検査院による調査を要請しました。
感染症対策について、「家賃支援給付金の支給が遅れており、申請者の2割未満にしか届いていない。家賃が払えない国民のみなさんから悲鳴が上がっている」と述べ、菅総理に公助を速やかに実施するよう求めました。菅総理は「出来るだけおこなう」と答弁しました。
「すべての女性が輝く社会」について、2019年に世界経済フォーラムが発表した日本のジェンダーギャップ指数(GGI)が153カ国中121位であったと述べ、菅総理に「改善するためには政治分野の女性を増やすしかない」と迫りました。
一方、自民党の女性議員の問題発言や成長戦略会議メンバーの著書を問題視し、菅総理に見解をただしましたが、明解な回答を得られませんでした。