衆議院の内閣委員会で16日、閉会中審査があり、玄葉光一郎議員が質問に立ちました。
冒頭、玄葉議員はコロナ禍で膨れ上がる政府の財政支出に言及。2020年度の国債発行が112兆円と、リーマンショック時の約2倍に上ること、そして歳入に占める国債の割合も6割超となっていることを指摘した上で、「緊急時なのですべてが仕方がないということで、本当に良いのかどうか。担当大臣はよく胸に手を当てて考えなければいけない」と発言。西村康稔経済再生担当大臣らに猛省を促しました。
西村担当大臣は、補正予算が「経済再生なくして財政健全化なし」という基本方針や、民間需要を最大限引き出していくという方針に基づいたものであり、デジタル化やグリーン化などに重点を置いたものであると答弁しました。これに対し玄葉議員は、補正予算の編成は財政法上、本来「緊要となった経費」の支出を行う場合などに限り、認められていることを指摘(※)。また「いくらコロナ禍とはいえ、「これは見直すべき」という支出はしっかり見直していくという姿勢を政府が示すべきではないかとも主張しました。そして本来、本予算に含めるべき「自衛隊の安定運用」予算の3000億円が補正予算に含まれる一方で、ボーナス減などが報じられている看護師などの医療従事者に対する支援が含まれていない理由をただしました。補正予算や予備費で手当てし、新型コロナ感染症患者を受け入れている医療機関の医師や看護師らに対し、政府からの慰労金という形でもう1度20万円を支給すべきだと主張しましたが、政府側は「(ボーナス支給は)一義的には、各医療機関の経営判断や労使の話し合いによるものと考えている」との立場を崩しませんでした。
政府が急遽停止を発表したGoToトラベル事業と、「掛け声倒れ」となった政府の感染抑制の呼びかけについては、「『勝負の3週間』は、残念ながら効果がなかったと言わざるを得ない。効果がなかったのはなぜか原因をきちんと分析する必要がある」と主張しました。その上で「政府は『外出自粛』と『旅行の奨励』という正反対の要請を同時に行っていた。これでは感染抑制のメッセージが人々に伝わらない」「感染抑制と経済の両立は必要だが、政府の『戦略と方針』は明確にすべきだ」と述べ、国民にとって分かりやすい感染抑制計画や制度の設計を求めました。
※補正予算の編成は、財政法第29条の規定により「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」を行う場合などに限り認められています。