衆院予算委員会で26日、2020年度第3次補正予算に関する2日目の基本的質疑が行なわれました。立憲民主党5番手として奥野総一郎議員が質問に立ち、GoToトラベル事業の感染拡大への影響、補正予算の緊要性について菅総理の見解をただし、補正予算の組み替えを要求しました。

 奥野議員は、厚労省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードのメンバーである西浦博・京都大教授らの研究チームが発表した、GoToトラベル事業の開始後に、旅行に関連する新型コロナウイルス感染者が最大6-7倍増加したと分析結果を取り上げ、GoToトラベル事業により感染が拡大したのではないか、「勝負の3週間」も失敗したのではないかとただしました。

 菅総理は「GoTo事業は約8000万人が利用し、経済効果は5兆円、雇用46万人を生み出す効果があると言われた。ホテル・旅館の稼働率が春に2割程度まで落ち込んでいたところ、7割程度に回復した」と経済効果を強調しました。感染拡大の要因として「飲食について当時、22時までとしていたことが少し甘かったかもしれない」との認識を示すにとどまりまりました。

 奥野議員は、人の移動を促したGoToキャンペーンが感染拡大に影響を及ぼしたことを改めて求めた上で、GoToキャンペーン停止に伴うキャンセル料を支出したとしてもまだ予算が約4000億円残っており、今年3月末までに執行しなければいけない3次補正予算にGoToキャンペーンの追加予算1.1兆円を計上する必要はないと主張し、撤回を求めました。

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 つづいて第3次補正予算の問題点として、総額19兆1761億円のうち、感染症拡大防止対策には4兆3581億円しか計上されておらず少なすぎることを指摘しました。また、カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発支援のための基金の創設に2兆円が計上されていることについて、脱炭素政策に不満を持つ産業界の協力を引き出すための迷惑料として入ったのではないかと報道されていることを取り上げ、見解をただしました。奥野議員は、カーボンニュートラルに向けた取り組みは重要であり、ドサクサで補正予算に入れるのではなく、本予算に計上すべきであると主張し、撤回を求めました。

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 奥野議員は一方で、新型感染症対応で疲弊している医療機関・従事者等への支援の予算こそ増やすべきだと訴えました。昨年12月25日に閣議決定され、2020年度予備費約2700億円を充てた新型コロナ患者の入院受入医療機関への緊急支援の執行状況を尋ねると、田村厚労大臣は「78件の申請があり、交付決定は20件」と回答し、緊急支援の位置づけでありながら現場に助成が届いていないことが明らかになりました。

 奥野議員は、「病院の損失を補償すべきだ」と菅総理に迫りましたが、総理は「受け入れ機関が損失を被ることがないよう政府として対応する」と言及するにとどまりました。

 奥野議員は、立憲民主党が提出する組み替え動議に応じるよう政府・与党に改めて求め、質問を終わりました。

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