26日午前の衆院予算委では、前日に引き続き、第3次補正予算に対する基本的質疑が行われました。立憲民主党から質問に立った本多平直議員は、与党議員をめぐる報道が相次ぐ「政治とカネ」の問題に言及。冒頭、本多議員は「現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中、国民に厳しいお願いをしなくてはならないのが総理のお立場。まさに政治の信頼が問われている」として、今の政府と与党議員が「そのような期待に沿えているのかという観点からも『政治とカネ』の問題を問わざるを得ない」と述べました。

 まず本多議員は、 中国カジノ企業との間に金銭授受があったとして起訴された秋元司・元内閣府IR担当副大臣や、参院選における買収容疑で起訴された河井克行元法相・河井杏理参院議員夫妻らに言及。こうした議員たちが起訴されたり、有罪判決を受けたりしているにもかかわらず辞職せず、国会に出席はしない一方で、歳費をもらいながら国会議員を続けていることを厳しく批判。「辞職しないばかりか、誰一人、公の場で説明しようともしない。今日も西川公也前内閣官房参与を委員会にお呼びしたが、来なかった。このような人たちをこれだけ抱えていて、なおも信頼できる政府だと言えますか」と菅総理に迫りました。しかし、これに対し総理は「コロナ対策に全力を挙げており、きわめて残念なこと」と紋切り型の答弁に終始しました。

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 また、昨年の自民党総裁選の際の公開討論会の場で菅総理が、自身が総裁となった暁には、「(自民党本部から河井夫妻に交付された活動資金1億5千万円について)しっかりと調べる」と明言していたことにも言及。「事実関係を調べてくれと言っても調べてもらえないのですか」と詰め寄りました。すると菅総理は「(政治資金の使途の詳細は)検察当局に押収されている関係書類が返還され次第、党の公認会計士が監査を行い、チェックをすることになっている」と答弁しました。

 鶏卵生産大手アキタフーズの前代表から、500万円の賄賂を受け取ったとして、今月収賄罪で起訴された吉川貴盛・元農水大臣についてもただしました。まず吉川元農水大臣が菅総理と同期であり、しかも自民党総裁選では総理陣営の選対事務局長を務めていたことから、特別親しい関係が推測されると指摘。その上でアキタフーズ社の前代表との面識や、資金の提供の有無について問いただしました。これに対し菅総理は、「数年前にあいさつを受けたことはあるかもしれない」と面識についてはやんわりと認めたものの、資金提供については否定しました。

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 続けて本多議員は、この件に関連し、日本の農業政策への影響について触れました。アニマル・ウェルフェア(動物福祉)に配慮した諸外国の養鶏場に比べ、日本の養鶏場の鶏たちが置かれた環境が、かなり劣悪であるとされており、吉川氏が農水大臣を務めた時代に国会でも問題となったことに言及。そして吉川元農水大臣がアキタフーズ側から現金の一部を受け取ったとされる2018年11月21日の国会では、アニマル・ウェルフェアについて尋ねられた吉川元農水大臣が、かなり「生産者寄り」と捉えられるような答弁をしていたことを取り上げました。本多議員は「(賄賂により)農政が歪められたのではないのか」と追及しましたが、政府側は「吉川元農水大臣の答弁は前任者と変わっていない」と述べ、これを否定しました。

 さらにこの件について本多議員は「実は本丸は補助金である」とも指摘し、吉川元農水大臣の時代には、卵の価格が下がった場合に国が補助金を出す事業がかなり充実されたことに言及しました。本多議員は、自らが農水省に依頼して試算を行った結果、鶏卵生産者が同じ条件でもらえる補助金の金額が2019年と2020年では大きく異なることが判明したと説明。アキタフーズのような大手生産者の場合、補助金の額は年間で、394万円から626万円に跳ね上がると指摘しました。この補助金制度の転換により、実際にアキタフーズが受け取った補助金はいくらだったのかを政府にただしましたが、政府側は個別企業についての情報であることを盾にこれを開示しようとはしませんでした。

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