衆院議院運営委員会は2日午後、政府が同日夜に正式発表する前に、今月7日が期限の緊急事態宣言について延長する旨、菅総理と西村経済再生担当大臣から事前報告を聴取し、質疑を行いました。

 冒頭、菅総理は、緊急事態宣言が続く中、先月、深夜まで銀座のクラブに出入りしていたなどとして、松本元国家公安委員長、田野瀬・前文部科学副大臣、大塚・前国対副委員長に離党勧告をおこなったと報告し、「国民に理解と協力をお願いしている中、政治家は率先して範を示すべきで、こうした行動はあってはならず極めて遺憾だ。私からも国民の皆様に心からおわびを申し上げる」と陳謝しました。

 西村大臣は今月7日が期限の緊急事態宣言について、感染者数の減少が確認された栃木県のみ解除し、10都府県(東京、千葉、埼玉、神奈川、愛知、岐阜、大阪、京都、兵庫、福岡)においては医療現場への負荷を軽減するために、一層の感染者数の減少が必要があるため、3月7日まで1カ月延長することを今夕の対策本部で正式決定すると説明しました。

 立憲民主党から青柳陽一郎議員が質問に立ち、菅総理に「『1カ月後には必ず事態を改善させる』と説明してきたが、残念ながら緊急事態宣言を延長することになった。政治と国民の信頼関係はこわれているのではないか。多くの国民が怒りを越えてあきれている状況ではないか」とこれまでの政府の対応を断じました。

 緊急事態宣言下での与党議員の不祥事について、「菅総理には情報がいつ上がったのか。今さまざまな現場で踏ん張っている方、病気で苦しんでいる方、事業で苦労している方、家族にも思うように会えない方。こうした声は届いていると思う。コロナ危機に与党も野党もありません。助けが必要なところに、しっかりと手を差し伸べていく。われわれ議員が政治の原点を取り戻していかなければならない」と主張し、菅総理に国民に向けたメッセージを改めて求めました。

 菅総理は冒頭と同様、自民党議員3名を更迭したと述べた上で、公明党の遠山議員は辞職したと承知していると説明し、準備された原稿を読み上げました。

 青柳議員は昨年来の政府のコロナ対策について、「突然の休校措置、マスクの配布など、科学的知見に基づいた対策を打ってきたとは言えない。緊急事態宣言の解除の判断基準はどこに置いているのか」と述べ、今回の延長と対策で解除できる科学的根拠の説明を求めました。

 補償措置について、「飲食業界だけでなく、あらゆる業種業界に影響が出ている。厚く補償し、広く自粛を求め、短く収束させる方が結果的に経済にプラスではないか。そのうえで、貸し付けではなく、借金ではなく、給付をしてほしい。持続化給付金、家賃支援給付金、定額給付金の再支給を求めます」と強く訴えました。

 自民党本部職員全員のPCR検査について、「批判の声が出ているのは、いまだに検査を受けられない人が一定数いるということ。今の検査体制を積極的疫学調査・クラスター対策から、社会機能を維持するために働いているエッセンシャルワーカーに向けた社会的検査を一層推進することが必要だ」と提言しました。

 西村大臣は緊急事態宣言解除の判断基準として、専門家の意見を聞きながらステージ3を目指していくとし、対策については昨年の緊急事態宣言で実施した20時までの時短やテレワークなどに効果があったと説明しました。

 補償措置については、予備費3.8兆円を必要な方に機動的に講じていきたいと答弁しました。

 PCR検査については、感染が再拡大しないために拡充していく考えを示しました。