衆院予算委員会で5日、2021年度予算案の基本的質疑が行われ、立憲民主党の4番手として屋良朝博議員が質問に立ちました。10万人当たりの感染者数が東京に次いで2番目に多い沖縄県での新型コロナウイルス感染症対策のあり方、米国でも疑義が指摘されている辺野古埋め立て事業の日米同盟への影響等についてただしました。

 感染爆発状態に陥った沖縄県宮古島を選挙区とする屋良議員は、防衛省が自衛隊の看護官を派遣し迅速に対応してくれたことに謝意を示しました。その上で宮古島のように医療体制が十分でない離島でのワクチン接種に関して、「医療従事者やフリーザーの確保などは大丈夫か」と確認しました。西村担当大臣は、「人口の小さい離島もある。柔軟にやることも検討しなければいけない」と答えました。

 玉城沖縄県知事と3日に電話会談したという屋良議員は、「医療はひっ迫しコロナ病床は約8割が満床、一般病床も約9割が埋まっている。行政も個人も医療機関も持てる資産、資材をすべて吐き出し、使い切った状態だ。それでも感染拡大がいつ収束するか見通せない」と知事からの窮状を報告。独自の取り組みができるよう予算と権限を地方に移譲してもらいたいという要望を伝えました。西村担当大臣から「玉城知事と連携をとって沖縄の感染拡大防止と経済的な支援をしっかりとおこなっていきたい」という答弁を引き出しました。

 米軍海兵隊普天間飛行場を移設するための辺野古埋め立て事業に関して、米国の連邦議会や会計検査院から疑問が投げかけられていると指摘しました。昨年6月、米下院軍事委員会・即応小委員会が国防総省からの国防権限法案に対して(1)軟弱地盤の詳細な状況(2)地盤強化策(3)環境への影響(4)軍事目的に関連した評価――を報告するよう求めたことや上下両院が国防権限法案に当初盛り込んでいた沖縄の基地問題を削除したことを説明し、「明らかな変化だ」と述べました。

 米会計検査院の2017年レポートでは、オスプレイの離陸時に滑走路が1500メートル必要とされているところ、現在の設計で1200メートルしかないことから、「滑走路端のオーバーランも使用した窮屈な運用になってしまう」などと指摘し、滑走路が短い辺野古が問題を引き起こすと分析していることを明らかにしました。

 米議会の指摘を受けながらも、「唯一の選択肢」と言い続ける菅政権の強行姿勢に対して屋良議員は、「沖縄の分断を招き、米軍に無用な負担を負わせ、いつ完成するかわからない埋め立て工事に驚愕の血税を注ぎ込む。そして日米同盟の信頼を弱めている。これが現実だ」と痛烈に批判しました。この事業について「私は間違っていると思う。それを進めることは国民を不幸にする。そのぐらいの問題だ」と訴え、菅総理に中止するよう強く求めました。

 ところが総理が辺野古移設が唯一の選択肢という答弁を繰り返したことから、「非常にがっかりした答弁だ。これからもアメリカに行き、真実を伝えていく。真実はいくらふたをしても、民主国家においては覆い隠せない。いくら公文書をシュレッダーで失くしても、いくら役人の口にふたをしても、真実は真実としてきちんと伝えていき、良心に訴えていく」と決意を示し、質問を終えました。

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