衆院本会議で16日、2021年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する趣旨説明、及び質疑がおこなわれました。立憲民主党・無所属を代表して神谷裕議員が登壇し、コロナ禍で厳しさを増す地方財政に関する問題点を指摘した上で、新型コロナウイルス感染症の収束を見据えて、人口減少時代の地方財政のあり方や税源移譲を検討していくよう、武田総務大臣と麻生財務大臣に要請しました。

 冒頭、神谷議員は地方税と放送事業を所管する総務省の幹部職員が、利害関係者に該当する疑義のある、衛星放送事業社に務める菅総理の長男から接待を受けていた問題について、武田大臣に速やかに調査結果を公表するよう迫りましたが、武田大臣は明言を避けました。

 主な質問は以下のとおりです。

■来年度の地方財政と交付税について

(1)リーマン・ショックに匹敵する財源不足に見舞われる中、歳出特別枠の創設や交付税の別枠の加算を行わなかったのはなぜなのか

(2)地方から縮減・廃止を求められていた、赤字地方債である臨時財政対策債の元利償還金の増加にどのように対応するのか、後年度の交付税措置が確実に行われるのか

(3)2022年度以降の地方財政の方向について見解を求め、あわせて、臨時財政対策債の抑制と交付税総額の確保、交付税率引き上げについての所感

(4)内閣府の中期財政試算では、国は30年度もマイナスのまま黒字化できないが、地方は大幅なプラスになるとしている。地方にそのような超緊縮財政が可能と考えているのか

(5)人口減少時代の地方財政のあり方や税源移譲についての所感

(6)地域公共サービスの担い手不足について、今回感染症業務に対応する保健師を増員した保健所以外の分野についても、改めて必要な人材を確保すべき

(7)国の非常勤職員には勤勉手当が支給されている一方、地方の会計年度任用職員は期末手当しか支給されていない。会計年度任用職員制度の処遇改善について

■地方税制の改正について

 固定資産税について、21年度に限り、前年度の課税標準額に据え置く特別な措置を講ずることはコロナ禍での対応であると理解しているが、固定資産税は市町村税の基幹税であるため、市町村にとってはその分減収になってしまうとして見解を求めました。武田大臣は、特例措置に関わる減収分の補てんについて、国費による補填の対象にはあたらないと答弁しました。

 神谷議員は「アフター・コロナこそ、「Build it Back Better(よりよく再建する)」の考えで、前よりよいものをつくっていかなければならない」と訴え、立憲民主党は、コロナ後を見据え、分権・自治の社会に向け全力を挙げる決意であることを訴え、質問を結びました。

2021年度地方財政計画、地方税法等一部改正案、地方交付税法等一部改正案に対する質問(予定稿).pdf

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