衆院予算委員会で2月25日、令和7年度(2025年度)総予算に関する公聴会が開かれ、立憲民主党から早稲田ゆき、神谷裕両議員が質疑に立ちました。
■早稲田ゆき議員
早稲田議員は、(1)予算修正の在り方(2)中小企業支援策(3)介護・障害福祉従事者および保育士・幼稚園教員の処遇改善――等について質問しました。
早稲田議員は、立憲民主党は政権を担い得る責任政党として財源に責任を持つ立場で、3.8兆円の財源を確保した上で、「国民の負担を減らす」「国民の収入を増やす」の2点を柱に修正案を取りまとめて、現在与党側とは国民の暮らしを底上げしていく協議をしていると述べ、こうした予算修正の在り方について質問。株式会社日本総合研究所調査局主席研究員の河村小百合公述人は、「立派なやり方で高く評価できる」とした上で、中長期的に財政運営をどう進めていくべきかも今後考えてほしいと求めました。東京大学大学院経済学研究科教授の渡辺努公述人は、「全般にいい方向に議論が進んでいると思う。(物価や賃金上昇の過渡期にあっては可処分所得をきめ細かく確保するのは大事」と評価しました。
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早稲田議員はまた、修正案にも盛り込んだ、全産業平均と比較して月6、7万円低い介護・障害福祉従事者、保育士・幼稚園教員の処遇改善について、「全産業の国民の皆さんの賃上げの底上げになると考えるがどうか」と質問。渡辺公述人は、「非常に大事。政府が関われる部分での賃金、価格の正常化は民間に比べて遅れ気味だったが、そうした意図が出てきているのは望ましいこと」とする一方で、「毎回国会のなかで議論するのは効率的でないのではないか。今までは動かなかったことが前提だったが、今後は世の中的に上がっていくのが前提であれば、政府系のさまざまな雇用者の賃金もオートマチックに上がっていく仕組みも必要なのではないか」との見解を述べました。
最後に早稲田議員は、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の田中照巳公述人に対し、その長年の活動に心よりの敬意と感謝の意を表明。政府がオブザーバー参加等を見送ったことへの受け止めや意見、今後の活動について尋ねると、田中公述人は、今度の禁止条約の中には広島・長崎の被爆者だけでなく核兵器を作っていく、実験する段階で生まれる被害者への手当ても重視され当面の議論になっているとして、日本の原爆被害者に対する援護の対策は、不十分ではあるがやってきた経験を出してほしいという要望があると指摘。そういう意味からも日本政府は批准でないのであればオブザーバーとして出て有用な意見を言うべきだと主張。その上で、「禁止条約だけでは(核兵器が)使われる危険は非常にある。廃絶条約を早く作って地球上からなくすことを求めている。そのことを一番強く主張できるのは日本政府であり、その役割を十分果たしてほしい」と訴えました。
■神谷裕衆院議員
神谷議員は(1)令和7年度当初予算の党修正案(2) 給特法の改正案 (3)党政策「130万円の崖(壁)」「ガソリン暫定率の廃止」「給学校食無償化」「大学無償化」――等について質問しました。
神谷議員はまず令和7年度当初予算の党修正案について、日本労働組合総連合会事務局長の清水秀行公述人から評価を問いました。清水公述人は、「連合が求めている政策と内容が多く含まれている。また、物価高騰に苦しむ国民が求めている政策を提案している点も評価したい」「予備費と基金の積み替えについては抜本的な財源と言えるかについて、さまざまな議論がある」と述べました。
続いて今国会に「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)等の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことについて言及。本法案は長時間労働に対する残業代相当の一部を増やすとした内容で、神谷議員は本法案について超勤多忙化の解決策にはならないと主張。「たくさん給与を貰っているのだからもう少し働いてほしい」といった反動などの懸念も示し、清水公述人から超勤多忙化解消に向けた解決策などの提案と本法案への見解を求めました。清水公述人は「人事委員会に職安のような職権を持たせ、時間管理のもと勧告ができる仕組み」など、制度も切り替えていかなければ教職調整額1%の改善だけでは不十分だと答えました。
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また、昨年12月に立憲民主党が共同提出した学校給食無償化法案について、日本大学文理学部教授の末冨芳公述人に評価と見解を求めました。末冨公述人は「義務教育で学校に行かせているのになぜ給食は親が払うのだろうといった疑問は以前からあった」「子どもの権利の視点としても無償化は大変大事」「給食費未納問題からも義務教育の全ての学校が解放され、先生たちの精神的な負担も軽減される」と述べ、高い意義があると主張しました。神谷議員は「しっかり無償化を進めていきたい」と力を込めました。
神谷議員は立憲民主党の政策「ガソリン暫定率の廃止」「130万円の(崖)壁」などについても、清水公述人に評価を問いました。清水公述人は、ガソリン暫定率の廃止については「物価高対策の1つ、ぜひ廃止してほしいとの声がある。展開してもらいたい」と述べ、130万円の(崖)壁については「税額で賄うのか、社会保険料で賄うのか十分な議論ができていない」と述べ、今国会で議論を深めてもらいたいと求めました。