衆院予算委員会で22日、集中審議がおこなわれ立憲民主党3番手として奥野総一郎議員が質問に立ちました。この日の昼の予算委員会理事会に総務省が東北新社からの接待問題について「国家公務員倫理規程に違反する疑いのある会食関係資料(令和3年2月22日時点)」を提出したことを受け、放送行政が歪められたのではないかという観点から、菅総理らの責任を追及しました。

 総務書の報告では倫理規定違反の疑いがある会食は12人、のべ38件で、国会に報告済みの4人、のべ13件から大幅に増えていました。国会報告済みの4人については、のべ19件で6件が新規に報告されました。また、山田真貴子内閣広報官が2019年11月に東北新社から受けた接待の内容についても明らかになりました。

 奥野議員は、2016年以降、衛星放送の許認可に係る総務審議官、情報流通行政局長、総合通信基盤局総務課長ら、許認可のラインの役職者が代々、東北新社から接待を受けていたことの深刻さを指摘し、武田良太総務大臣の監督責任をただしました。武田大臣は「疑念を抱かせたことにお詫び申し上げる」と述べましたが、「行政が歪められたとする事実は確認されていない」「処分の時期については倫理審査会の了承が必要なので、いまこの場で私として言える立場にない。徹底した調査のうえで適切に対処したい」「弁護士にも入ってもらい、適切な調査をおこなっている」と答弁するにとどまりました。

 また、奥野議員は総務省の幹部が東北新社との会食に応じていたのは、総務大臣秘書官を務めた菅総理の長男、菅正剛氏が総務省の許認可を受ける対象で、利害関係のある衛星放送関連会社に就職したことに問題があり、「官僚による天下りと同じではないか」と、菅総理をただしました。菅総理は「長男が関係して、結果として国家公務員倫理法に違反する行為が起きた。このことについては心からお詫びを申し上げ、大変申し訳なく思っている」と述べました。奥野議員は、菅総理が長男を大臣秘書官に任命したのは「自助とは遠い。箔をつけさせたのではないか」と指摘した上で、総務省と利害関係にあたる放送関連会社への就職を止めるべきだったのではないかとただしました。菅総理は「東北新社への就職については後から報告を受けた」と説明し、長男の就職について自身は関与せず、就職先について指図をする必要はないとの考えを示しました。

 つづいて、東北新社と4回会食していた谷脇康彦総務審議官に会食相手が利害関係者にあたると認識していたかを尋ねると、「会食の時点で、利害関係者がいると思っていなかった。認識に甘さがあった」と答弁しました。また、会食が公務であったかを問うと「懇親の場に行くことが公務にあたるか、にわかに答えを持ち合わせていない」と明言を避けました。

 東北新社と5回会食していた吉田眞人総務審議官に会食でBS、CS放送の認可についての話があったかをただすと「個別具体の許認可の働きかけはあったという記憶はない」と答えました。また、東北新社も加盟している衛星放送協会が4K、8Kが受信可能世帯数が右旋帯域に比べて圧倒的に少ない左旋帯域に割り当てられていたことを背景に、衛星料金の負担軽減を総務省に求めていたことを取り上げ、行政が歪められた可能性があることを指摘しました。

 奥野議員は、東北新社の木田由起夫執行役員、菅正剛氏らの招致を求め、理事会で協議することになりました。

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