「『記憶にございません』は、ロッキード事件以来使われる常套句。早く記憶を取り戻して頂きたい」――逢坂誠二議員。16日の衆院予算委員会では総務省接待問題に関連し、菅義偉総理の長男が勤める放送関連会社の東北新社・中島信也社長と、日本電信電話株式会社(NTT)代表取締役社長の澤田純氏が参考人として出席。また東北新社が放送法の外資規制違反に気づき相談した相手とされる、総務省の当時の担当課長の鈴木信也氏が、初めて政府参考人として出席しました。立憲民主党の最後のバッターとして、逢坂誠二議員が質問に立ちました。

■総務省鈴木信也氏に対する質問

 前日(15日)の参院予算委員会で東北新社の中島信也現社長が、外資規制の違反に気づいた2017年の8月頃に、総務省の担当者と「面談し、報告した」と答弁した件について、当時、情報流通行政局総務課長を務めていた鈴木信也氏(現総合通信基盤局電波部長)に事実関係をただしました。

 逢坂議員は(1)2017年8月9日頃、当時の東北新社の木田由起夫社長(現執行役員)らと面談したり、外資規制違反についての報告を受けた事実はあったか(2)菅義偉総理の長男正剛氏らと携帯で会話したり、私的関係をもったことがあるのか(3)自らの携帯電話に東北新社関係者の番号登録をしているか(4)今日の委員会出席について、総務省内での打ち合わせがあったか――等について尋ねました。鈴木氏は、東北新社関係者との個人的な関係等は明確に否定する一方で、2017年当時、外資規制違反について東北新社社長と面談したり、報告を受けた事実については「報告された事実に関する記憶はない」という答弁に終始しました。

 逢坂議員は重ねて「それは単に記憶がないというだけで、可能性はゼロではないということか」とさらにただしましたが、鈴木氏は「記憶にない」と繰り返しました。

 逢坂議員は「2017年8月9日頃のスケジュール等についてぜひ仔細に調べて、記録があるかないかも含め、国会にきちんと報告をしていただきたい」と要請するとともに、「『記憶にございません』は、ロッキード事件以来使われる常套句だ。早く記憶を取り戻して頂きたい」と述べ、鈴木氏に対する質問を終えました。

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■NTT澤田純社長に対する質問

 次に逢坂議員はNTTの澤田氏に対し、総務省幹部や政治家との会食についてただしました。

 逢坂議員は、澤田氏が前日(15日)の参院予算委員会に参考人として出席をした際、菅義偉総理や武田良太総務大臣と会食をしたかを問われ「上場会社の社長は、個別にどなたと会食したかを公の場で公開することは、事業に影響を与える」として答弁を拒んだ件について触れました。

 逢坂議員は「この答弁は平時なら理解できる。ところが今は国家公務員倫理法に抵触する事案が発生し、職員が更迭されるなどの状況が起きている。これは平時の状況ではない。しかも1社の不利益の問題をはるかに超えて国民全体の不利益につながりかねない。そういう意味で国会にお越しをいただいている」と述べ、事実関係を詳らかにするよう改めて求めました。しかし澤田社長が「業務上の要請等は行なっていない」とする一方で、政治家との会食については「私どもの会社自身の事業に影響を与えるような発言をすることは、やはり控えさせていただきたい」と述べたため、逢坂議員が「単に『事業に影響があるから喋れません』であるならば、国会に来て頂いてる意味がないんです。委員長、お願いがあります。是非、澤田社長にきちんとご対応いただくように委員長からもお願いしていただけませんか」と金田勝年委員長に訴える場面もありました。

 続けて逢坂議員が、「総務省職員の問題もあるが、今、国会で特に問題になっているのは、政務三役への接待疑惑だ。歴代大臣経験者、高市大臣、野田大臣といった名前が表に出ている。これら政務三役も含めて事実関係を明らかにしないと、国民の皆さんの『おかしいな』という気持ちは晴れないと思う。今日の新聞各紙のほぼ全ての社説が『これでは疑問は解けていない』と。そういう論調だ。是非、政務三役も含めてしっかりとした調査をしていただけますか」とただすと、澤田社長は「今週から特別調査委員会がスタートしているので、そちらの方で意見を申し上げたい」と答弁しました。

 逢坂議員は「供応接待を繰り返す内に、知らず知らずの間に、一定方向へお互いの気持ちが向いていくということもある。だからそのようなことも含めて、事実関係を明らかにする必要がある。本当にそれが疑惑のない行為であったかどうかは、最終的には国民が判断する」と述べました。

 最後に、逢坂議員は「厳しいことを申し上げたが、 NTT は日本を代表する企業だと私は思っております。是非、頑張っていただきたい」と述べ、このテーマに関する質問を締めくくりました。

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