福山哲郎幹事長記者会見

2021年3月30日(火)17時15分~18時12分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/kJ3fPtrhvgM


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第19回常任幹事会を開催

【幹事長】
 ご苦労さまでございます。年度末ということもありまして臨時常幹を開催させていただきました。きょうは重要な案件も幾つか確認をさせていただきましたので、ご報告をさせていただきたいと思います。
 まず、代表の挨拶は皆さんご案内のとおりでございます。
 私からは、一つの再選挙、二つの補欠選挙に向けて、党内で平野代行と私の名前で各議員への要請事項という形で幾つか確認させていただきました。この三つの選挙区に関していえば、党本部を挙げて、それぞれの地域を越えて皆で戦おうということを確認させていただきました。
 国対委員長からは、まずは厚労省の23人の深夜の会食の問題についての報告がありまして、あしたそのことについての質疑も行いたいというお話がありました。
 参議院国対委員長からは、あす日切れ法案の採決が本会議でありますので、きょうの委員会は日切れ法案の委員会が動いているという報告がありました。
 泉政調会長からは、同意人事についての報告、それから閣法の審査についてそれぞれ報告がございました。デジタル庁法案については修正を我々求めているということで、なかなか与党側からは色よい返事が来ないというような話もありまして、内容についての報告がありました。議員立法の登録も幾つかありましたので、このことの内容についての報告が政調会長からございました。
 選対委員長からは、地方自治体議員選挙の結果について(報告が)ありました。首長選挙の推薦についても確認をいたしました。
 組織委員長からは、衆議院小選挙区総支部の設立、徳島2区。それから自治体議員の入党はきょうは1名ですが、東京都議会議員の自治体議員の入党承認で、1195名ということになりました。1200名までもう少しというところまできました。
 企業・団体交流委員長からは、報告はありませんでした。
 そして、重要な点でございますが、選対委員長からの協議事項として、衆議院小選挙区総支部長の選任について、岐阜5区の今井るるさん、愛媛1区の友近聡朗さん、2人の総支部長の選任を決めさせていただきました。これで総支部長は全国で206名ということになりました。
 岐阜5区の今井るるさんは来月4月4日に25歳になる女性候補でございます。高校のときに震災のボランティアに行って、ずっと政治に関心を持ち続けてきたという状況の中で、今回25歳でおそらくですが全国最年少の候補者になると思いますが、女性の25歳で、そしてその世代の声をしっかり国会に届けていただくということで、非常に元気な方でございまして、我々としても非常に期待をしているところでございます。枝野代表も非常に期待をしておりまして、何とか早々に記者会見等を地元でやる場合には枝野代表も行きたいという意向を示しておられますので、そういった状況のセットがされると思います。最年少ですが、25歳の女性で、やはり今の時代を反映して、しっかりと世代の声を、若者の声を上げていただきたいと考えております。
 愛媛1区・友近聡朗さんは、ご案内のように参議院議員を1期やられました。私は彼の参議院選挙の応援に愛媛に何回も入った思い出がありまして、残念ながら落選の後は財団の研究員などもやられておりましたが、今回1区から再度国政のチャレンジをいただく決断をいただきました。先般久しぶりにお目にかかったら変わらずに元気なスポーツマンで、爽やかな状況は変わらなかったのですが、やはりスポーツの問題も、オリンピックはもとより、実はJリーグもBリーグもこのコロナの状況で各チーム等々が経営が厳しいような状況もあります。地域で、やはりJリーグもBリーグもトップリーグも含めて、今後どういう形でのスポーツ振興をやっていくかという大きな課題の中で、Jリーガーで非常に愛媛の地域の事情もよくわかっている友近さんが国政の経験も踏まえて出ていただけるというのは非常に心強いと思っております。
 きょうはこの2人の総支部長選任を決めさせていただきました。
 それからもう一点、選対委員長からの協議事項で重要な点は、来年の参議院選挙に向けて最初の公認候補の発表がきょうになります。まず現職でございますが、白真勲議員、現職3期でございます。それから石橋通宏議員、現職2期でございます。それぞれ比例ということでの公認を決めさせていただきました。また、新人では、鬼木誠さん、古賀千景さん、柴愼一さん、3人の比例の公認を決めさせていただきました。きょうは参議院比例区の公認候補として5人を決めさせていただきましたので、もちろん足元はいつあるかわからない衆議院選挙に我々準備をしているところでございますが、当然来年夏の参議院選挙を視野に入れて具体的に第一歩をきょうからスタートしたということでございますのでご報告をさせていただきます。
 重ねて、参議院は選挙区もございます。比例の候補者の擁立については引き続き我々準備を進めていきたいと思っておりますが、一方で選挙区も各地域から選挙区の候補者の公認はいつになるんだという要請等を受けている地域がございまして、これも代表・選対委員長とご相談をした上で、各県連から上がってきた選挙区の参議院の候補者についても順次公認を出していくということできょう確認をいたしましたので報告をさせていただきたいと思います。
 衆議院選挙と参議院選挙がこれだけ近接して執行されるというのもあまり例がないと私は思っておりまして、衆議院選挙と参議院選挙、おのずとセットでの戦い方というのも考えなければいけないと考えておりますので、きょう来年の参議院選挙の公認候補者の最初の発表をさせていただきます。

○立憲民主党基本政策を決定

【幹事長】
 私から、これは政調会長の所管でもあるのですが、立憲民主党の基本政策をきょう常任幹事会で確認をさせていただきましたのでご報告をさせていただきます。皆さんのお手元にあるのが最終的な完成版でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 三つの点を申し上げます。
 まず、この立憲民主党の基本政策は、足元の課題とは少し距離を置いて、中長期的に実現、党として目指すべき政策を掲げさせていただいております。ですから総選挙の選挙公約もしくは重点政策とは一線を画すことになりますので、そこはご留意いただきたいと思います。また、当然ですが、足元は(新型)コロナの問題が、例えば感染防止、そしてそれぞれの事業者や生活の問題、経済の問題にかかわってきていますが、これは我々もう断続的に政府に要請・要望活動をさせていただいております。また、「zeroコロナ(ゼロコロナ)」戦略も発表させていただいていることもあり、これもこの基本政策でカバーをする射程ではないということでございますので、そこはご理解をいただければと思います。これが1点目でございます。
 2点目は、この基本政策を国民の皆様に提示するに当たりまして、立憲民主党の綱領、9月15日の結党大会で両党で大きな固まりになるに当たって確認をさせていただいた綱領を中長期的な視野で実現するために取り組むという観点から、綱領にある内容と、それに合わせた、平仄の合った政策課題についてまとめて列挙させていただいています。綱領でこのような理念・政策を目指す、それに対する具体的な政策がこのような形だという形で列挙させていただいておりますので、こういった形で編集させていただきましたこともご報告をさせていただきたいと思います。
 それから、これは中長期的な目標なので、なるべく数値目標等については最小限にとどめるということを留意いたしました。数値目標等については当然足元の選挙政策を考えるに当たって、選挙公約もしくは重点政策を考えるに当たって数値目標等が出てくると思いますが、この中長期の観点で実現に取り組む基本政策については最小限の数値目標にとどめさせていただきました。
 11月、12月、政調で精力的に部会、そして全議員集会でまさにボトムアップで議論をしていただいて一定の方向性をまとめていただきました。その後12月から、ご案内のように、特に臨時国会が閉会してからコロナの感染が急速に広がっておりまして、いわゆる「Go To トラベル」をやめるべきだと、それから中旬には枝野代表が「緊急事態宣言」を発出するべきだというような話があり、1月7日に「緊急事態宣言」の発出がありました。そういった状況の中ですので、全体として8割、9割方政調でおまとめいただいたことを、我々役員としては、その年末にコロナの感染拡大を横目で見ながら、そのものについては役員会で一旦引き取らせていただいて、役員の中でどういう形でまとめていくかについての議論を重ねてまいりました。
 役員会で2度ほど議論をした後、3月、今月ですね、予算委員会が一定参議院で終了したことをもって、2週間前ですか、予算委員会やっている最中でしたが、ほぼ予算委員会のお尻が見えてきたことも踏まえて、政調の役員会に、私と泉政調会長と大串役員室長で役員会で了解をいただいた内容について議論をして確認をいただきました。全体の役員、そして政調の役員会を通した後、より丁寧にということで、昨日、全議員集会をやらせていただいて確認をいただきました。
 全議員集会で一定の議論が出ましたので、その内容については私と泉政調会長と大串役員室長にそのことを留意するということでご一任をいただいて、多少の修正をした後、最終決定案、お手元にある決定案についてきょう午前中のうちに役員に確認をした上で、きょう常幹に諮らせていただいて常幹で了としていただいたということですので、手続的にも丁寧にやらせていただいたということでございますので、皆様にきょうご報告をさせていただいているところでございます。

○厚労省職員の大人数深夜会食について

【幹事長】
 冒頭発言、今のは常任幹事会の報告でございますが、冒頭発言としてどうしても言っておかなければいけないことがあります。厚労省の職員が23人、深夜まで会食に及んでいたということが明らかになりました。もうあきれるばかりというか、一体官僚組織はどうなってしまったんだと言わざるを得ません。
 国民に厳しい状況での協力をお願いしている立場で、それにもかかわらず、21時の時短要請を超えて深夜0時までその飲食の場所をあけさせたままで、入れかわり立ちかわり厚労省の職員が飲み食いするなどというのは言語道断で、言葉もありません。これは本当に日本の官僚組織の信頼を失墜させると思いますし、総務省の接待問題、法案の不備・誤字・ミスの続出問題、そしてコロナの責任の官庁である厚労省がこういった国民にお願いしているものに対して全く国民を裏切る行為をしていたと。国民にどういう申し開きをするのか、どういうお願いをするのか。ましてやこれだけ感染がリバウンドの状況が徐々に明るみになっている中で、菅政権の責任は極めて重たいと言わざるを得ないと思います。
 我々は「機能する政府」をつくっていきたいと、ずっと去年から菅政権のコロナ対策を見て主張してまいりましたが、訴えてまいりましたが、まさに機能しない、国民に信頼されない政府では、いささか、ちょっと本当に大丈夫かこの国はという懸念を持たざるを得ないということを冒頭申し上げたいと思います。


■質疑

○基本政策について(1)

【朝日新聞・小林記者】
 基本政策のエネルギー分野について幾つかお尋ねしたい。今回の基本政策と旧立憲民主党の基本政策を比べると、原発の再稼働の条件について「40年廃炉原則を徹底し」というのが抜けている。これをなぜ抜いたのかというのがまず一点。これによって高浜原発とか美浜原発の再稼働をある意味条件さえ満たせば認めるのかという問題が出てくると思う。
 もう一点、地元の合意が得られればというのが新たに加わったと思うが、現行制度でも立地自治体や都道府県の同意があればという条件が掲げられていると思うが、立憲民主党としてはそれよりもさらに広げて、近接する自治体の同意まで求めるべきだという趣旨でこれを盛り込んだのかというのが2点目。
 最後は、現在継続審議になっている原発ゼロ基本法案との整合性だが、基本法案には法律施行後5年以内に全ての原発を廃止するとあるが、一見今回の基本政策と整合性がとれていないようにも見える。今後の議論次第でこの基本法案については修正なり撤回ということもあり得るのか伺いたい。

【幹事長】
 私は政策責任者ではありません。政策は基本的には政調でまとめていただきました。そのことについて、役員会も含めて、どういう形でまとめていくかについては役員会で議論しましたが、基本的には役員会のスタンスとしては、先ほど申し上げたように全議員集会を初めとしてまとめていただいたものについていえば役員が介入して内容について何か変えようということはやめようということでやらせていただきました。ですから、この内容については党内で議論を積み上げた結果だと考えております。
 それから、(旧)立憲民主党との比較をされるのと、では(旧)国民民主党との比較も必要になってくると思いますので、旧立憲民主党・旧国民民主党それぞれあって、新しい政党として新たに議論を始めたということでございます。
 そして、あえて申し上げれば、2番目のところに「すべての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定」と書かれていますので、一つ目の質問はここにちゃんと表現されているということでございます。
 それから、今の東京電力の、先般の核防護に対するひどい状況からいえば当然地元の合意も得られないし、あれでは安全を確保できないわけですから、我々としてはここにも書いてあるような状況、再稼働は「実効性のある避難計画の策定、地元合意がないまま」では認められないというのはここに書いてあるとおりでございます。
 法案の中身については、法案は(旧)立憲民主党時代に出したものですから、今回そのことも含めて法案をどうするかというのは政調の中で議論いただくものだと思っています。

【朝日新聞・小林記者】
 一つ目の質問で、40年の廃炉原則を徹底するかどうかというのを質問したと思うが、それについての答えというのは。

【幹事長】
 だって、「速やかな停止と廃炉決定をめざし」ているのですよ。

【朝日新聞・小林記者】
 それで包含していると。

【幹事長】
 それは内容によりますが、そこは逆に言えば当然のことだと私は思います。
 我々の政権のときに40年の廃炉決定で「原則として」と入れろと言ってきたのは自民党ですから、法案(原子炉等規制法改正案)の中で。「原則として」と入れてくれと言って延長しているのは自民党ですから。
 当然ここに「速やかに」とあるわけですから、それは当然読めると思います。

【朝日新聞・小林記者】
 地元の合意というのは現行制度よりもより広くという解釈は、まだそこまではまだ言えない状況なのか。立地自治体だけではなく、より広く。

【幹事長】
 それは幅広い合意があったほうがいいに決まっていますよね。福島だって30キロ圏内まであれだけ避難の議論があったわけですから。当然幅広いところに議論が必要であるし、避難計画にしたって、きちっと避難ができるかどうかの検証は要ると思います。

【NHK・金澤記者】
 基本政策について、どのような形で国民に示していくのかということと、選挙とはまた別物だということだが、国民が見たときの位置づけというのはどういうふうに考えられているか。

【幹事長】
 綱領があって、綱領に基づいて中長期的な観点・視点で基本政策の実現を目指すという、まず位置づけです。
 足元の選挙については当然綱領それからこの基本政策をベースに議論が今後始まっていくと思いますが、一方で、足元は当然コロナの問題もありますし、国民生活や事業者の状況が厳しいこともありますし、そういった足元の課題についてスポットを当てて選挙の重点政策等は国民に訴えていかなければいけないので、ですから逆に言うと、この基本政策と今後衆議院選挙・参議院選挙で訴えていく政策を少し切り分けていただくためにこのような形の基本政策のまとめ方をさせていただきました。基本政策の1ページ目に「綱領に掲げた基本理念と私たちのめざすものを実現するため、中長期的な視野で、以下の基本政策に取り組みます」と書かせていただいたのはそのような意味ですので、今後はやはり足元や国民の関心の強い課題について解散・総選挙を視野に選挙公約もしくは重点政策という形でまとめていきたいと考えています。

○「入管法改正案」「難民等保護法案」について

【フリーランス・西中記者】
 入管難民法改正案のことで質問したい。立憲民主党の基本政策で、行政監視機能、あらゆる差別に対し断固として戦う、多様性を認め合う共生社会、人間の安全保障などに深く関係する問題だが、4月12日に衆議院法務委員会で審議入りすると言われている。入管行政の自由裁量に基づき、帰国できない状況の非正規滞在の方や難民申請者の方が多く長期収容されおり、この長期収容問題を解消する目的でできた入管法改正案だが、政府案は行政の裁量に歯どめがかからず従来どおり長期収容が可能な法案になっている。仮放免や在留特別許可といった身柄を解放し身分を保証する方向性にも機能していない。立憲民主党を中心に「難民問題を考える議員懇談会」があり、石橋通宏議員を中心に入管等のヒアリングなどを続けているが、この政府案に対して難民保護法案と新たな入管法案を国会提出された。参議院では提出されたが、衆議院の法務委員会ではこの点がまだしっかりと議論されていない、まだ話がまとまっていないと聞いている。これは基本政策を具体的な法案として世の中に知らせる、それから今本当に苦しんでいる方がたくさんいるので、これから多文化共生社会を目指す上できちっと取り上げるべき野党の共同法案だと思うが、幹事長はどう今の状況を見ていらっしゃるか。

【幹事長】
 法案の内容についての賛否それから中身についてはこれからたぶん政調でも議論が並行して始まっていくと思いますし、部会でも議論されていると思います。ただ、今、本当にご丁寧に説明いただいたように、石橋先生を中心に我が党も議員立法として入管法改正について対案をきちっと出させていただいています。まずはその内容を実現することが我々にとっての第一だということです。
 政府案についての足りない点、それから政府案の例えば疑問点、それから実効性が伴わないのではないかという話も私のところにはいろいろな情報が入っています。そのことも国会審議の中で明らかにしていくことも大事だと思っております。
 そういう状況の中で、衆議院の審議、参議院の審議が行われると思いますので、今後の法案に対する対応については、おそらく法案審議の進め方の中でそれぞれ党内で議論されると思います。私は今、問題点も僕は理解しているつもりですし、うちの対案を出していただいているのも、石橋議員を初め多くの問題意識を持って、うちの対案の議論は相当時間をかけていいものをつくったと聞いております。そのメンバーを私は信頼をしていますので、その方々が国会審議の中でいかに政府案についておかしきを正していくかということをまず見届けることだと思っています。

【フリーランス・西中記者】
 衆議院のほうが先に4月12日から始まるが、衆議院の法務委員会のほうで、せっかく参議院にそういった法案を提出したのにそれをどういうふうに国会審議の中で生かしていくかといったような議論がまだまとまってないと聞いている。そこは党全体としてやはり打ち出すべきだと、今の政府案だと今後も犠牲者は、この間も3月6日に名古屋入管でスリランカ人女性が亡くなったが、この十数年の間に20人近くの方が亡くなっているわけで、こういう状況を改善することをもっと党として前面に打ち出すべきではないかという意見もあると思うが。

【幹事長】
 改善したいと思っているから石橋先生を初めとして対案を出していただいているので、対案を出しているということは党の意思ですので、それは一番前面に出していると思います。僕はおっしゃっていることは全然否定はしませんが、まとまっていないとか言われると、少しそれは違っていて、党内ではそれは議論して、衆議院側も含めて議論していると思います。そこの衆議院側の対応も含めて、今後たぶん議論が国会の中でされていくと思いますので、僕もそのことについては注視をしています。

○基本政策について(2)

【京都新聞・国貞記者】
 先ほどの朝日新聞の質問の関連だが、原発の40年廃炉原則というのを旧立憲から抜いているという質問に対する幹事長の答えが私はちょっと理解ができなかったが、おそらく旧立憲の例えば地方議員やサポーターの人は先ほどの説明では納得できないと思う。類推するに、旧国民民主党の方も今回新立憲に入っているということで、そのあたりも少し言及されていたが、そういうところが結局影響したと考えていいのか。

【幹事長】
 それぞれ違う政党から一つの固まりになりました。(旧)国民民主党が言われたことをそのまま踏襲しているわけではないし、(旧)立憲民主党が言っていることをそのまま踏襲しているわけではないので、それぞれが議論している中で、「原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定」を目指すということです。
 極端な話で言うと、我々は今、野党です。政権をとってから何をするかだと思います。我々は先ほど申し上げたように政権のときに40年廃炉を決めました。それに対して「原則として」という言葉を入れてくれと言ってきたのは自民党です。そのことは事実です。ただし、今、僕らはやはり現実を見なければいけないので、政権を担わせていただいた後、どういう形でのエネルギー需給も含めて、それから地域の雇用も含めて考えなければいけない。しかし我々としては「速やかな停止と廃炉決定」を目指すということをここに掲げさせていただいたということは、我々の意思は国民の皆さんには通じると僕は思っています。

【京都新聞・国貞記者】
 40年という年限を今回特に触れなかったのは、幹事長の中でも別に。

【幹事長】
 いや、僕はこのプロセスは正直いって入っていないので、党の部会の中の議論でこれが上がってきているので、先ほど申し上げたように役員は実はそのプロセスに入っていません。ボトムアップで上がってきたものに対して、内容について介入はしない。ただし、私なりにこれを読めば、「速やかな停止と廃炉決定」ですので、それは皆さんには伝わるのではないかと思っていると申し上げています。

【京都新聞・国貞記者】
 福山さんは官房副長官で2011年を経験されて、廃炉とか原発政策に関してかなり強いこだわりがおそらくあると思うが、そこも踏まえた上でも、ご自身としても十分納得されていると。

【幹事長】
 先ほど申し上げたように、40年廃炉に「原則として」と入れてくれと言ってきて修正協議をしたのは、参議院のねじれを問題として、自民党です、当時は。我々は40年廃炉で法案を出しました。そして、私はあのときの事故に向き合ったので、私は将来的に日本は原発のない社会をつくるべきだと思っています。原発はなるべく動かさないほうがいいとも思っています。そのことは全く変わりません。ましてや東電のあの状況ですから、全く体質が変わっていないのはあぜんとするばかりです。ですから、そのことをもって我々の意思はここに十分に書かれていると思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 綱領はいろいろな綱領があり、共産党のように学びの対象のような綱領もあれば、自民党のようなものもある。しかし綱領はその政党の党員のアイデンティティみたいなもの、自分はどこにいるのかということを称するものであって、その短冊一つ一つに政策をぶら下げていったときにアイデンティティの危機をもたらすこともある。この非常に短くてシンプルな綱領をそれぞれ切り分けて、それぞれに基本政策をぶら下げて、さらに公約をぶら下げる、それが実は立憲民主党のある種の硬直性なのではないか。要するにもともとの綱領自体が非常にファジーというか。アイデンティティの確認だけだと思うが。こういうふうに綱領から政策が導き出せるほど政治は単純なものではないと私は思う。要するに国民から見て、綱領があって、基本政策があって、公約があってという3段階自体が普通は理解できないのだと思うが、その辺はどういうふうにお考えになっているか。

【幹事長】
 自民党も綱領があって、基本政策があって、選挙のときに政策が出てくると思います、たぶん。ですから、そこの形態については我々としては、綱領があって基本政策があると。綱領があっていきなり選挙政策になってしまうと全体として何を目指しているのかわからなくなるので、基本政策をあえてまとめさせていただいたというのが位置づけです。
 そして綱領は綱領でひとまとまりになっているので、これ読んでいただければ、宮嶋さんはファジーだとおっしゃいますが、我々はジェンダー平等の問題や、性的指向、LGBTの問題も含めて、差別の問題、エネルギーの問題も含めて、綱領にしっかりと我々のつくりたい社会についてのイメージをつくっています。ですから、この綱領の中で、じゃあ具体的に何の政策をやればこれに近づくのかということがきょうの基本政策にあるとご理解をいただければと思います。
 そして、この綱領や基本政策をもとに、今ある足元の問題として、国民が望み、国民が「こういう政策があれば」「こういう社会を」ということについて衆議院選挙もしくは参議院選挙で選挙公約として訴えていくことだと思っていますので、綱領からいきなり選挙政策になってしまうとちょっと一段階も二段階も幅跳びをすることになるので、そこは我々としては段階を置いて、中長期的にはこういう視野で見ていますと。
 ただし、残念ながら今、我々は野党です。与党になり政権を担わなければこの中長期的な政策も実現できません。ですから、まず与党にならせていただく、選挙で勝たせていただくために、この中長期の我々の考えている社会像、我々の考えている社会のあり方について提示をさせていただいているとご理解をいただければと思います。

○自治体議員の入党について

【フリーランス・堀田記者】
 都議の石毛茂さんの件だが。私の近所に住んでいます。

【幹事長】
 そうですか。お世話になっています。

【フリーランス・堀田記者】
 彼はこの前の都知事選のときに民進党都連幹事長で、松原仁さんが都連会長、それで古賀さんを一生懸命説得したがその翌日に鳥越俊太郎さんになったということがあった。彼はこの前の都議選に無所属で出て、その後で都民ファーストの追加公認になったが、この前、都民ファーストをやめた。除名です。で、今度こちらに入ってくるわけですか。そのときに何か、例えば誓約とかそういったのはあったのか。余りにもあっちこっち行っているので。

【幹事長】
 都連幹事長の手塚さんに聞いてください、誓約書か何かあったかどうか。

○参院補選について

【フリーランス・堀田記者】
 長野補選と北海道2区補選で、北海道2区の補選は自民党はいない。かわりの自民党公認が出ない女性がいるが。長野のほうは自民党がいる。それで、立憲民主が共産党と結んだのと同じようにやるべきなのか、やるべきでないのか、ケース・バイ・ケースで分かれるのか。原発とか消費税のことについて、北海道のほうは全然表記がないが、長野のほうは表記がある。これは差をつけていいのでしょうか。

【幹事長】
 何に差をつけるのですか。

【フリーランス・堀田記者】
 その書くこと、要するに有権者に対する約束ですね。原発のことと消費税のこと、松木さんのほうは全然書いていないが羽田さんのほうは書いてある。

【幹事長】
 それは地域でそれぞれやられているのでしょう、市民グループ、「市民連合」さんとかと。

【フリーランス・堀田記者】
 それについては、上である立憲民主党は是としているわけですか。

【幹事長】
 長野の件については我々はそこに拘束されないと申し上げて、一定、羽田次郎さんと連合さん、それから新政信州さんと新たな協定を結ばせていただいたということですし、北海道は市民グループと各それぞれの道連とが政策協定を結ばせていただいたと承知しています。
 しかし、政策協定はあっても訴えるのは候補者ですから。政策協定に全ての訴える政策を書くわけではないので、自分のやりたい政策を訴えるのは候補者の問題なので、一定のぎりぎりのところの最大公約数をそれぞれで協定をして皆で応援しようと、統一の候補として応援しようということになっているのだと思いますので、その地域の事情はそれぞれあると思います。

○厚労省職員の大人数深夜会食について(1)

【フリーランス・堀田記者】
 厚労省の飲食の問題だが、これはまた4控か何かに誰かを呼ぶということになるのか。

【幹事長】
 それは国対が判断するから、私はわかりません。

○政府の新型コロナ対応について(1)

【共同通信・小野塚記者】
 内閣不信任案に関して伺いたい。きょうもだが、安住国対委員長が、コロナ第4波なら内閣総辞職に値する、そのための行動はちゅうちょなくとるという発言をされ、一方で自民党二階幹事長も、発言の応酬になっていることについて、結構なことだとおっしゃっている。内閣不信任と解散をめぐる与野党の発言が顕著になってエスカレートしているような状態だが、これについての受けとめと、立民として実際コロナの第4波が来れば内閣不信任を出すという考えなのか、提出のタイミングについてのお考えを伺いたい。

【幹事長】
 率直に申し上げて、第4波が来て感染が急増して病床が逼迫するような状況になったら、政治空白なんかつくったら国民に怒られるのではないですか。正直申し上げると、第4波が来て感染がどんどんふえるような状況が各地で見られるようになれば、それこそ解散どころではないと思いますよ。しかし、第4波をもし起こしたとしたら、(緊急事態宣言を)解除して、ほとんど何もできずに第4波を招いた菅内閣の政治的な責任は免れないのではないでしょうか。
 国民の命と生活がかかっているのです。感染が広がるということは、命のリスクにさらされる人が多くなるということです。そのことに対して政治的な責任はあるのではないですか。じゃあ何で解除したのか、その前は何で延長したのか、全く説明ないですよ、我々が理解できる。その後、この感染がリバウンドのリスクが高まっている状況では、ほとんどお手上げ状態ではないですか。そして国民にお願いする、国民に自粛をお願いすると言って、結果としては厚労省の人間が23人、夜中まで飲食しているわけでしょう。それは総辞職に値するでしょう。国民はそんな政権に任せておけると思うでしょうか。たぶんそういう話だと僕は思いますよ。
 だから、きのうも申し上げましたとおりです。野党が不信任を出すとか不信任を出さないとか関係なく、このコロナの感染状況で、この経済状況で、オリンピックはどうなるのか、みんな不安な状況で、解散できるものなら、どうぞやれるものならやってくださいと。何が大義ですかと、何をもって解散をして国民に問うのですかと。私たちはいつでも、解散権は総理にあるから、解散をされたら受けて立つと申し上げていますが、何の大義で、何の信を問うて、このコロナの状況で解散をされるのですかと申し上げています。それだけです。

○「厚労省深夜会食(2)」「国家公務員法改正」について

【日本経済新聞・浮島記者】
 厚労省の飲食問題に関して、総理や田村厚労大臣の責任についてはどうお考えなのかということが一点と、政府が今国会で国家公務員法を提出するという報道があるが、検察幹部の定年延長部分は削除されるようだが、仮にこれが提出された場合、立憲民主党としてはどう対応されるのか伺いたい。

【幹事長】
 厚労省の飲食問題は、先ほど申し上げたように、結果としていえば、総務省の接待、農水省の接待、法案の不備、そしてこの23人の飲食、まさに官僚組織のモラルとモチベーションをおとしめている原因は菅内閣自身だと私は思います。そのことの責任は免れないと思いますし、厚労大臣の責任は、何か官僚がさも悪いみたいな、人ごとみたいなことを言われていますが、厚労大臣は大臣としての責任は当然監督責任が問われると言わざるを得ないし、菅内閣全体として責任は大きいと言わざるを得ません。自民党の議員の不祥事だけではなく官僚にもこれだけ不祥事が続いているなどということは、もう本当に私も二十数年国会にいますが、こんなのはあり得ないです。考えられない。そのことの責任はあると思います。
 国家公務員法改正は報道で僕は見ていますが、報道自身なので、まだ何とも発言しようがありません。検察庁法の改正という筋の悪いものを国家公務員法改正に無理やり入れ込んだ結果、やはり国民の反対も多くなったということもあって、(国家公務員の)定年延長については我々自身は一定の評価をしているところですが、出てくるかどうかわからない、提出されるかどうかわからないので、今のところは何ともコメントしようがありません。

○政府の新型コロナ対応について(2)

【産経新聞・田中記者】
 共同通信の質問の確認だが、内閣不信任決議案について、総辞職に値すると。一方で、提出したら政治空白をつくって国民に怒られるということだが、要するにどういう手段で総辞職を求めていくのか。不信任決議案を出すのか、それとも出したいが出せる状況ではないので次期衆院選で国民の審判が下るのを待つのか。どういう方法をお考えか。

【幹事長】
 今ここでそんなことを言う必要は全くないと思います。感染が広がれば、少なくとも第4波が来れば、菅総理の責任は大きいと思います。その責任は大きいということはまず存在する、総辞職に値すると思います。まずはそこまでです。そこから先の話は、まずは総辞職するかどうかを政府が考えるべき、菅総理が考えるべきではないですか。  加えて、本当にコロナの感染が広がり国民経済がこういう状況で、野党が内閣不信任案を出そうが出すまいが、解散できるのだったらどうぞやってください、我々は受けて立ちますと、そう申し上げています。
 なぜ野党に不信任案提出を求めるような質問をされるのか、私にはわかりません。
 大義があれば解散すればいい。本当に大義があれば。不信任案を出されて野党のせいにするような解散をする必要は全くないと私は思いますよ。解散するなら、大義があれば解散すればいいけれども、本当にコロナでこれだけ感染が広がりつつあって国民経済も不安な中で、本当に解散するならどうぞしてみてくださいと。我々、解散権は総理にあるので、いついかなる場合でも受けて立つ用意はありますと。そういうことを申し上げているだけです。

○公共サービスのあり方について

【フリーランス・西中記者】
 先ほど入管の収容問題に関する入管法の改正について質問したが、その一方で、コロナの中で長期収容も続いているが仮放免された方もたくさんいる。ただ、皆さん住民基本台帳に登録されていないということで行政サービスが全く受けられない。医療のサービスも受けられない。子育てをしていても児童手当とか行政サービスを全く受けられない状況がある。貧困も非常に大変な状況になっている。お互い助け合うことも今できなくなっている。これはおそらく仮放免の外国人だけではなく、ホームレスの方とか、住民登録されていない方は日本人でもいらっしゃると思うが、そういう方は本当に見えない存在になっていて非常に今大変な状況だと思う。住民基本台帳で全て括ってしまう今の制度のあり方について何か対策を考える必要があると幹事長はお考えか。それぞれの議員の地元の問題でもあると思うが、いかがお考えか。

【幹事長】
 私はそういったものに対する対策を考えなければいけないと思います。この間も申し上げましたが、私、「もやい」の大西さんがやられている食料品を配る事業を新宿の都庁前に見に行きました。たくさんの皆さんが雨の中並んで食料品を受け取りに来られています。その中には、今おっしゃったような状況で公的な支援を受けられない方もいらっしゃる可能性が非常に高いと思います。そういう方々が公的支援を、たまたま今言われた住民基本台帳に登録されていないからといって公的支援を受けなくていいということでは全くないと思いますので、そういったことの手当はしていかなければいけないと私自身は考えています。

○基本政策について(3)

【朝日新聞・小林記者】
 基本政策のエネルギー問題のことだが、先ほどからご説明を伺っていてもなかなか理解できないところがあり、角度を変えて質問すると、先ほど幹事長は「すべての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定をめざします」というところを強調されたが、菅総理も原発依存度を可能な限り引き下げると言っているので、基本的に目指す方向性はそこだけ見るとあまり変わらないのではないかと見える。どこで違うかというと、やはり再稼働を認める条件をいかに厳しくするかというところが問題になってくると思うが。

【幹事長】
 すみません、反論するわけではないですが、最初の質問の前提が違うので言わせていただきます。(2030年の電源構成で)原発の比率を20%台だと言っている政府と同じだと言われるのは遺憾です。全く遺憾です。20%ということは、動かすことを前提としています。そういう前提の違う事実誤認に基づいた質問はおやめいただきたいと思います。

【朝日新聞・小林記者】
 たぶん動かすことを前提にするかどうかというのは、再稼働の条件のところで。

【幹事長】
 私の言っていることにも答えてください、そうしたら。だって政府は20%原発を動かすとおっしゃっているんですよ。我々はここに書いてあるように先々原発ゼロ社会を目指すと書いてあるんですよ。それでなぜ一緒なんですか、最初の前提の質問が。

【朝日新聞・小林記者】
 原発ゼロの時期が明記されていないので、こういう質問をさせてもらっています。それで、原発再稼働を認める条件について、要はどこが現政権と違うのかというのを先ほど伺ったら、地元の合意という部分で。

【幹事長】
 今の政権と何が違うのかと聞かれていないですよね、先ほどは。そうは聞かれていないですよね。

【朝日新聞・小林記者】
 現行制度は地元の合意については立地自治体の同意だけだが、先ほど幹事長はより広い同意を求めるべきだとおっしゃったので、そこが違うのかなと思ったが。今の政権と原発政策についてどこが違うのか改めてお尋ねしたい。

【幹事長】
 全く違います。今の原発政策は再稼働を前提としています。それから、原発比率は20%から30%を前提としています。全く違います。カーボンニュートラルの主力に原発を位置づけています。全く違います。

【朝日新聞・小林記者】
 そういった数字の部分については公約に。

【幹事長】
 今、我々は野党です。政権を持っているわけではありません。我々が与党になれば、立地自治体の状況も考えながら、雇用も考えながら、しかしゼロにするために何ができるかを徹底的に具体的にやっていかなければいけません。ただ単に、今、何年にゼロにするみたいなことを無責任に言うつもりはありません。しかし我々は、ここに書いてあるように「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」ということを掲げさせていただいてきています。全く今の自民党政権とは異なります。