「安倍政権、菅政権の問題の本質は、問題や不祥事の発生そのものよりも、問題や不祥事が発生しても誰も責任をとらないこと」(本多平直議員)。立憲民主党をはじめとする野党4党が3月31日に武田良太総務大臣に対する不信任決議案を提出したことを受け1日、衆院本会議で不信任決議案の討論と採決がおこなわれました。4党を代表し、本多平直議員が不信任決議案の趣旨弁明をおこないました。

 冒頭、本多議員は、国民の多くがコロナ禍で深刻な打撃を受けており「まさに今ほど、政治や行政に信頼が必要とされている時はない」にもかかわらず、政治と行政の側では「不祥事が連続している」と指摘。カジノ汚職に始まり、説明がないまま放置されている「桜を見る会」や「森友学園」問題、巨額選挙買収事件や鶏卵汚職問題、さらには菅総理や与党議員、官僚らによる一連の会食問題、今般相次いだ法案のミス――こういった現政権が引き起こした数々の不祥事に言及しました。

 その上で本多議員は、こうした「政治家、官僚と業界の癒着、緩みが象徴的に表れたのが、本日の本題である一連の『総務省接待問題』だ」と指摘。一連の接待問題が、20年以上前に起きた「大蔵省接待汚職事件」を彷彿とさせる「総務省の体質的な不祥事だ」と述べた上で、今回の接待問題が、歴史の教訓を踏まえた国家公務員倫理法を踏みにじるものであると批判。また飲食の提供は「状況によっては収賄にもあたる犯罪行為にもなりうる行為だ」と批判しました。

 続けて本多議員は武田大臣が不信任に値する理由として、次の5つを挙げました。

■武田総務大臣が不信任に値する5つの理由
  1. 総務省幹部職員の答弁に対する監督責任

     組織ぐるみの不祥事について、国会で問われた総務省幹部職員らが「調査中なので答えられない」「お答えは差し控える」「記憶にない」といった国会の時間を浪費する答弁を繰り返してきており、虚偽を含む答弁を繰り返す幹部職員への監督責任が「重大である」と指摘しました。

  2. 武田大臣自身の国会における「根拠なき発言」

     武田大臣自身も、問題が発覚した当初「適切に業務を行っている」などと、国会で根拠のない発言を繰り返していたと指摘し、「森友問題の経緯への反省が見られない」と批判しました。

  3. 内部調査のお手盛り

     問題発覚からしばらくして、NTTによる谷脇前総務審議官らへの高額接待が報道され、それまでの総務省による内部調査が「お手盛りであることが明らかになった」と指摘。武田大臣は、問題発覚の当初は事実解明に意欲を示していたものの、これ以降は一転して消極的となったと批判しました。

  4. 自身の接待問題に関する発言の悪質さ

     自身の接待問題が明らかになると、武田大臣の国会での発言は「さらに悪質となった」と指摘。「『個別事案は答えを差し控える』『国民が疑念を抱くような会食、会合に応じたことはない』と、いったい何度答弁されましたか」と、武田大臣に問いかけました。また衆院では「菅総理の長男との会食はない」と自分に有利な「個別事案」の答弁は行いながら、参院では「個別事案は答えない」と繰り返し答弁。それを指摘されると逆切れするなどして委員会を冒とくしていたと述べました。

  5. 委員会で答弁中の総務省幹部職員に対する「記憶にないと言え」発言

     3月16日の衆院予算委員会で、武田大臣が答弁席に向かう官僚に対し「記憶にないと言え」と発言したことに言及しました。議場外のパーティーなどでの軽口、失言で辞任に追い込まれる大臣が何人もいる中、委員会室での「真剣な質疑中のこの発言ひとつでも不信任の理由になる」と述べました。

■接待問題の本質

 本多議員は、総務省接待問題の本質があくまで「通信行政が歪められたことにある」と指摘。問題となった接待の前後で、総務省ワーキンググループの報告書の内容が大きく変わったり、衛星放送チャンネルの割り当てにも影響があったと思われること。また東北新社の外資規制違反について見過ごしたのみならず、発覚した後も対応を怠ったり、積極的に隠ぺいにかかわったのではないかと見られること――などをその事例として挙げました。

 さらにこうした問題の検証が、4人の非常勤メンバーで構成する検証委員会に委ねられ、未解決のまま放置されていることを問題視。その上で「安倍政権、菅政権の問題の本質は、問題や不祥事の発生そのものよりも、問題や不祥事が発生しても、誰も責任をとらないことだ」と指摘し、総務省の心機一転のためにも大蔵省接待問題で大臣を辞職した三塚博元大臣を見習い、「一連の問題の責任を取って武田大臣が辞めた上で、新しい体制の下で再調査を進めるべきだ」と訴え、趣旨弁明を終えました。

武田総務大臣不信任決議趣旨弁明.pdf

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