東京電力福島第一原子力発電所のトリチウムなどを含むALPS処理水について、政府が13日午前に海洋に放出すると決定したことを受けて、福山哲郎幹事長、金子恵美震災復興部会長が記者団の取材に応じました。今回の菅政権の決定に対して福山幹事長は冒頭、「遺憾の意」を表明しました。続けて「国民に対して、十分な説明が行われていない。初めに『海洋放出ありき』で進んだとしか言いようがない。また、この3月でようやく(魚介類の)試験操業が終わり、4月から本格操業へ移行し始めた矢先の海洋放出決定は、まさに水を差すようなものであり、現場の漁業者の操業意欲に非常に失礼な対応だったと思う」と厳しく指摘しました。
東京電力の対応については、「姿が全く見えない。これまでもタンクの増設の必要性は主張してきたけれども、このことに対して、今まで東京電力の努力は、どのように行われたのかが分からない。このことは非常に遺憾に思う」と言及しました。今回の決定に沿って放出が行われてしまえば、「30年、40年かかるという規模の放出になる。環境への影響、そして何よりも風評被害対策について、具体的に何も示されていない。国民の理解も進んでいない」と菅政権の対応を強く批判しました。
金子議員は、昨年10月に海洋放出に関して報道された際、復興庁に申し入れをし、海洋放出が止まったが、「そこから現在に至るまで、しっかりとした対応がなされないまま今に至っている。国民的な議論がなされていない。国民の皆さま、漁業者の皆さまの理解が深まることがないまま、本当に唐突感のある決定である。これでは福島県民も怒りだけである。極めて残念であり、福島の復興再生に向けた道のりに、まさに水を差す」と語気を強めました。
記者団から実際の放出が2年後とされていることへの受け止めを聞かれました。金子議員は、「今回、(海洋放出を)決めた段階でもう風評被害は広がる」と深刻な懸念を表明しました。経済産業省のウェブサイトに掲載されたALPS処理水の海洋放出に関する説明について、「全く細かいことは書かれていないので、これでは私たちも全く納得がいかない」と語りました。福山幹事長も「まともに説明もしない状況で、こういったことを決めることについては、非常に遺憾に思う」と述べました。